2024年08月25日

映画『ラストマイル』の感想〜「アンナチュラル」「MIU404」の続編的なものは期待しないで

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●映画『ラストマイル』公式サイト

監督:塚原あゆ子
脚本:野木亜紀子
出演:満島ひかり、岡田将生

【あらすじ】

タイトルの「ラストマイル」は、通常は「ラストワンマイル」と呼ばれることが多いと思いますが、商品などを顧客に届ける「物流サービス」で使われる用語で、「荷物を顧客に届ける最後の区間」を意味しています。


テレビドラマ「アンナチュラル」「MIU404」の監督・塚原あゆ子と脚本家・野木亜紀子が再タッグを組み、両シリーズと同じ世界線で起きた連続爆破事件の行方を描いたサスペンス映画。


流通業界最大のイベントである11月のブラックフライデー前夜、世界規模のショッピングサイトの関東センターから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生し、やがて日本中を恐怖に陥れる連続爆破事件へと発展する。
関東センター長に着任したばかりの舟渡エレナは、チームマネージャーの梨本孔とともに事態の収拾にあたるが……。


2024年製作/128分/G/日本
配給:東宝
劇場公開日:2024年8月23日



『ラストマイル』最新予告映像【8月23日(金)公開】


※※※※※


【感想】

●公開最初の日曜朝一番の上映回を鑑賞。
早朝にもかかわらず、1番スクリーンの大箱は観客でいっぱいでした。
30代・・・否、40代以上が多かったかなと(明らかに若い感じの人はほぼいない)。
劇場版『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』の興行収入は45億円でしたが、あの時より客入りは若干少ない感じ(あの時は、前3列も埋まっていた)。


●観客の殆どは、「アンナチュラル」「MIU404」のTVドラマファンではないかなと。
「アンナチュラル」「MIU404」の続編的な感じを期待していたのではないかなと。
2つの作品の登場人物たちが協力して事件を解決するのではと期待していたのではないかなと。
東映まんがまつりの「マジンガーZ対デビルマン」みたいな。
そういう私も、この数週間で2作品の全話を配信で再び視聴し、楽しみにしていました。


●「アンナチュラル」「MIU404」の続編的なものを期待していくと、完全に肩透かしとなります。
ご注意を。


てっきり内容も、劇場版「踊る大捜査線(1作目)」、劇場版「機動警察パトレイバー(1作目)」みたいなものを期待していたのに・・・。


あくまで本作の主人公は、満島ひかりさんと、岡田将生さんです。
Amazonみたいな巨大倉庫の会社員です。
刑事でもない、捜査権限もない会社員が、自分の会社で起こった事件を解決するお話しなのです。


「アンナチュラル」「MIU404」の主役格キャラはほぼ全員登場します。
しかし登場はすれど、主人公たちとは一切共演なし。
全部、別撮り。


ドラマに出ていた大倉孝二さん、酒向芳さん演じる刑事だけは、ものすごく沢山出てきます。
この2人も良いですが、観客の多くは、そのポジションは綾野剛さん、星野源さんを期待していたでしょうね。
綾野剛さん、星野源さんは後半、いつの間にかフェードアウト・・・。


「アンナチュラル」「MIU404」の主役格キャラは正直、登場しなくてもストーリーは進展できます。
しかも登場時間も少ない。
唯一の救いは、TVドラマから時間が経過して、現在はどうしているのか、どういう変化があったのかは分かること。
まあ、その程度です。
主役級の人たちは沢山出るけれど、それぞれ別シーン。
忙しい人達を同じ画面に出すのは難しいのでしょうね。


もう一度言いますが、「アンナチュラル」「MIU404」の続編を期待すると肩透かしです。


●本作の主人公は、満島ひかりさんと、岡田将生さん。
この2人は主人公なのに、殆ど舞台となる巨大ショッピングサイト関東センターでの演技のみです。
驚くぐらいに移動はありません。
2人が動かない分、警察や提携している運送会社の人が動く感じ。


正直、この2人の演じたキャラは、感情移入できません。


満島ひかりさん演じる主人公は帰国子女な感じで賢いけれど、温かみはない。
ようやく最後で、人間らしい感じや、主人公らしい部分は出したけれど、そこまでヒーローっぽいものではない。


岡田将生さん演じるキャラは、「虎に翼」で演じているキャラと丸かぶりで、今ひとつ感情が表に出てこない。


2人とも外資系のビジネスマンらしい感じで賢いし、仕事はできるけれど、仲良くなりたいとは思わないね。


●本作は、「アンナチュラル」「MIU404」のようなミステリーではないです。
事件があって、その犯人は誰かを追求する話しではありますが。
犯行に使う手段や、犯人探しそのものは、そんなに大げさなものではない。


どっちかというと、会社の中間管理職が、仕事に追い詰められて自殺するお話しが中心。


番宣などで出演陣のクレジットには無いけれど、犯人と疑われる役の中村倫也さんを中心に、企業の中で精神的に苦悩する人たちにスポットをあてているので、痛快なミステリーにはならないよね。
どっちかというと、社会派ドラマ。


中村倫也さん演じる人物は、5年前に自殺未遂して昏睡状態。
エンタメな感じでやるなら、劇場版「機動警察パトレイバー(1作目)」の犯人・帆場暎一みたいな分かりやすいものの方が良かったかも。
自分が死ぬ前に仕掛けたトリックが発動し、あらゆる場所で爆発事件が起きるみたいな。


しかし、エンタメミステリーではなく、社会派な内容なので、そういう分かりやすいものには意図的にしなかったのでしょうね。


●たくさんの有名俳優が登場するけれど、観客は置いてけぼりで、どんどん知らぬ間に話しだけは進んでいく感じ。
さりとて、良い場面も多いし、さすがにセリフとか上手い。
けれど、最後まで観てもなんかモヤモヤする。


やはり、「アンナチュラル」「MIU404」の続編が観たいなあ。
多分、同じ世界感のドラマがいつか放映されるでしょう。


その時、満島ひかりさん演じるキャラが、どういう仕事をしているのか楽しみです。
岡田将生さん演じるキャラもハッカー能力があるからコンビ復活もあるかも。

Posted by kanzaki at 2024年08月25日 18:38