●外資系コンサルの知的生産術〜プロだけが知る「99の心得」〜 (著:山口 周)より
「プロセッシング」とは、何をやることなのでしょうか?
一言でいえば、「集めた情報を分けたり、組み合わせたりして、示唆や洞察を引き出す」 ことです。
もう少しくだけた言い方をすれば「じゃあ、どうすればいいの?」という答えにつながるような示唆や洞察を引き出す、 ということです。
知的生産に従事する立場にある人であれば、「常に行動を提案する」という意識を持っておいてほしいと思います。
「行動を提案する」というのはつまり「ではどうするべきか?」という問いに対して解答を出す、 ということです。
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知的成果として世に訴えられる情報は基本的に三種類しかありません。
その三つとは「事実」「洞察」「行動」 です。
かつて世の中に生み出された知的考察の全てが、これらの三つのどれかに分類されます。
特にビジネスにおける知的生産は「行動の提案」まで踏み込むことで初めて価値を生み出す、 ということを意識しておきましょう。
たまに「あの人は評論家ですね」という悪口を聞くことがありますが、この枠組みに当てはめれば評論家というのは「洞察までしかアウトプットできない人」ということになります。
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膨大な情報を集め、緻密な分析を積み上げ、そこから得られたさまざまな示唆をドヤ顔で説明することはできるのに、「ではどうすればいいのですか?」とたずねると、そこから先に進めない人があまりにも多い。
少なくともプラトン以降、ほとんどの哲学者が向き合ってきた問いは二つしかないように思えます。
それらは「世界はどのように成り立っているのか?」と「その中で、私たちはどのように生を全うするべきなのか?」という問いです。
最後の最後、では、いま、ここにいるわたしは、これから何をすればいいのか? どう生きるべきなのか? という問いに答えを出すことがもっとも重大であって、それになんらかの答えを出せないようであれば、そんな「知的生産の技術」は無価値でしょう。
知的生産に従事する際には、常に、最後は「では、どうすればいいのか?」という問いに対して答えを出すのだ、という気概を失わないようにしてください。
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一次情報の分析や整理を行う際には、最終的に行動の提案につながるような意味合いを抽出していくことが求められます。 ここで重要になってくるのが、「常にポジションを明確に取る」 という点です。
ポジションを取る、というのは論点に対する回答について肯定または否定の立場を明確にする、ということです。
よくリーダーの要件として「決断力」が挙げられますが、 決断力というのは要するにポジションを取れるかどうかということです。
ポジションを取る、というのは、知的生産のみならず、リーダーシップにおいても必須の要件になります。
ポジションを取らないと評論家になってしまう からです。
先述した通り、ポジションを取ることは要するに「自分はこう思う」という立場を明確化させることですが、これをいいかえれば、自分が証明しようとしている、あるいは反証している命題について明確なコミットメントを持つということです。
コミットメントが生まれると自分の主張の正しさを証明するための努力が生まれます。
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【コメント】
「行動」「決断力」・・・・・・仏教につながる心構えではないかと思いました。
仕事などいろんな場面において、自分で考えて行動しない人が本当に多いように思います。
バブル時代より上の世代だと、自分で考えは決断はするけれど、行動自体は下へ丸投げという人が一定数います。
下の世代だと、そもそも自分で考えず、指示待ち(しかも、簡単な行動のみを期待し、過大な評価も期待する)という人が一定数います。
共に共通するのは、本を読まないで文章が下手くそな人です。
第三者へ文章・言葉で的確に伝える表現力、語彙力が乏しい人です。
就職氷河期世代は、「低賃金で働かせ放題」という最悪なブラック料金プランで働かされています。
しかも、人数を絞った採用だったので、構造的に人数も少ない。
その人達のおかげで今の時代は、なんとか維持運営されています。
なにせ、自分で考え、自分で行動してきた人たちですから。
あと10年ぐらいで大抵の組織は崩壊すると思います。
その前兆まであと5年。
前兆は、現状に我慢できなくなった就職氷河期世代の発言が強めになった頃です。
生き残るのは会社ではなく、「行動」「決断力」を持つ人です。