●心が強い人はみな、「支える言葉」をもっている(著:齋藤 孝)より
その男性が憧れていたのは、一流の放浪者であり俳人の種田山頭火 です。
一日放浪をして、山頭火気分を味わいました。
日本の俳句は、言うまでもなく季語と五・七・五の十七文字を基本とする定型詩です。
山頭火はこの伝統的な定型から解放された自由律俳句を数多くつくりました。
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まつすぐな道でさみしい
分け入つても分け入つても青い山
どうしようもないわたしが歩いてゐる
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これらの句は、現代の子どもたちにも人気があります。
私は長年Eテレ「にほんごであそぼ」の総合指導をしており、番組で扱う言葉をセレクトしています。
こういった山頭火の句を入れると盛り上がるのです。
たとえば「まつすぐな道でさみしい」という句に、幼児は喜びます。
幼児なりに言葉がすっと入ってきて、情景も思い浮かびやすいのでしょう。
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「どうしようもないわたしが歩いてゐる」も、人気の高い山頭火の代表句です。
内からも外からも「どうしようもない」、そう自分で客観的にとらえているからこそ、表現ができるわけです。
山頭火の残した日記を読むと、山頭火は自分のことを愚かでだらしない人間だと思っていることがわかります。
お酒が好きでよく失敗をし、反省をするけれどもやめられません。
威張ったりおごったりすることなく、常に自分をどうしようもないと感じています。でも、変えることができない。
仕方なくやっている。
そういう私が歩いているのです。
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そもそも、放浪し、一人歩くというのは孤独のひとつの技法でもあります。
ひとつのところにとどまっていると、孤独につきまとうさみしさはふくらんでしまうもの。
歩けば風景が変わります。
風景に溶け込んだ自分自身の心も、変化していくように感じられます。
歩き続けていると、一人だけれど一人ではない感覚にもなります。
言ってみれば大きな何かとつながっている感覚です。
自分を見つめつつも、うちにこもりすぎないですみます。
だからこそ、孤独を味わい、楽しむこともしやすいのです。
一人でいることには、さみしさと同時に豊かさもあります。
自分自身を見つめ、掘り下げ、深めていくような濃密な時間は、一人でいるときにしか持つことができません。
「どうしようもないわたしが歩いてゐる」のような山頭火の句を味方につければ、 孤独も必要以上に恐れる必要はありません。
孤独の豊かな面を味わう気持ちになれるのです。
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【コメント】
孤独という時間は、どの世代にとっても大切です。
思考を深められるから。
けれどその反対の感情として、寂しいとか不安に襲われるものです。
自分というものを心のなかに留め続けると、やがて苦しくなります。
堂々巡りになるから。
人間関係に疲れたら、この世の中の自然の風景に溶け込ませる方が良いのかも。
抗っていた心がほぐれていく。
人も地球の一部ですからね。
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