2004年07月22日

青山ブックセンター倒産

芸術書を中心にした特色ある品ぞろえで知られる東京の書店、青山ブックセンター(本店・東京都渋谷区神宮前、磯貝栄治社長)が16日午後、本店や六本木店、自由が丘店など7店舗すべてを閉鎖した。
関係者によると同日、債権者である取次店から東京地裁に破産の申し立てがあり、閉店を決めたという。
民間の信用調査会社によると、同センターは1980年に六本木店を開店したのを皮切りに、青山、広尾、新宿などに書店を相次いで開店した。
アート、写真、デザイン関係の書籍を中心にした品ぞろえに定評があり、深夜営業やインターネット上のオンライン書店など活発な事業を展開した。
しかし、長引く不況でハードカバーなど高額書籍の売れ行きが鈍るなど業績が悪化。
昨年3月には六本木の2店のうち、1店舗を閉店。今年4月にはオンライン書店も閉鎖した。

* * * * *

先週の記事なんですが、親が本屋なので、ちょっと気になって取り上げてみました。
私自身は、実際に行ったことはないのですが、以前から各メディアで耳にしていました。
いわゆる「お洒落な本屋」なんですよね?
アート、写真、デザイン関係の書籍・・・・・・単価は高いですが、なかなか売れないジャンルです。
最近だと、この手の本は、amazonで買う人の方が多いんじゃないですか?
洋書だと、そっちの方が安く買えたりしますからね。
親に聞きますと、やはり本屋でよく売れるのは、コミックと雑誌だそうです。
云ってみれば、ブックオフで多く取り引きされる類が売れ線。
正直、がっかりな気はします。
みんな本を俗物的な部分でしか、とらえられなくなっているのかなあ。
本屋じゃないけれど、雑貨関係だって、お店の人の情熱が込められたセレクトショップよりも、ドンキホーテの方が受け入れられている時代です。
「センス云々を語ったって、売れなきゃ商売にならんでしょ!」と云われれば、まさにその通りなんですけれどね。
だから、偏ったジャンルの本だけを扱っていると、閉店に追い込まれてしまう。
それも困るんで、一般的な本も扱いだすと、そのお店本来の持ち味が薄れてしまう。
志を高く持って開店させたはずなのに、いつの間にか、ツタヤと大差ない店構えになってしまう。
そもそも問屋に対して、「××と云う本を50冊欲しい」と注文しても、「あなたの本屋の売り上げは、これだけだから、10冊しか駄目」となってしまうそうです。
本を売った儲けなんて本当に少ないのに、更に自分が仕入れたい本まで制限されてしまう。
日本の出版界で、一番損をしているのは、本屋なのではないかと思います。
しかも追い討ちをかけるように、問屋がネットで書籍販売を始めていますから。

親に、買っていく人の傾向を聞きますと、「最初から目的の本を買いに来る客」よりも、「偶然、お店に立ち寄り、本棚を何気なしに眺めて買う客」の方が、圧倒的に多いそうですよ。
だから、「お客と本との出逢い」を演出させるのが、本屋の腕の見せ所です。
その為に陳列に気を使うわけです。
私は最初から何が欲しいか決めてから買うタイプの人間です。
そういう人間には、気を使った陳列は不要(だから最近じゃ、親に頼んで買ってきてもらっています)。
一番気になるのは、自分が買い求めたいと思っている本が、そこのお店にあるか。
また、その本が立ち読みをされて傷んでいないか。
目的を持って買いに行く人間にとって、立ち読みほど邪魔なものはありません。
否、本との出逢いを求めている人も、その立ち読みに邪魔されているかもしれません。
最近じゃ、椅子とか用意している本屋もあります。
それは、買う人が選択する際に腰を落ち着けて考えてもらうためであり、立ち読みを推奨している訳ではありません。
図書館ではないのです。
あと、本屋を「待ち合わせの場所」と勘違いしている人も多いですね。
不快な事を感じず、目的の本をなるべく保存状態の良い形で確実に手に入れる場合は、ネットで買った方が良いかも。
けれど古い書籍だと、店頭に出ていた返品本の時もあるので、注意が必要かもしれません(本屋で取り寄せする際も、同じ危険はあるんですけれどね。一番多いのは、出版当時の本の帯がないとか)。

そして、親が一番悩んでいるのが「万引き」だそうです。
日常茶飯だそうです。
犯人はたいてい、中高生の馬鹿。
ここでは、そんな犯人は馬鹿と書かせていただきます。
その万引きされた本の損を取り戻すのに、何冊の本を売らなければいけないか・・・。
昨年の大晦日、そんな特別な日にも、馬鹿な10代の女の子を捕まえたそうです。
盗もうとした本は、「ザ・テレビジョン 新年特別号」orz
なんでそんな時期に、その程度の雑誌を盗むかねぇ。
盗まれた本・・・特にコミックは、ブックオフへ流れていきます。
一応、ブックオフでも、同じコミックを複数売りに来たりする怪しい客からは、引き取らない等の措置をしているそうですが、正直、古本屋の制度が変わらない限り、永遠に本屋から盗まれた本が、古本屋へ流れていくでしょう。
まあ、その古本屋に、自分の弟が勤めているというのも、何か変な因果ですが・・・。
自分の親が、そういう「被害」にあっているのを度々聞きますと、本当に腹が立ちます。
そういや、こんな記事もありました。

* * * * *

ブックオフコーポレーションなどリサイクル書店チェーン7社で構成するリサイクルブックストア協議会は5月25日、ICタグを使った実証実験を27日に実施すると発表した。
ICタグを貼付した書籍を使い、万引きされた書籍のリサイクル書店への流通を防止できるかどうかを検証する。
実施場所は神奈川県相模原市のブックオフ古淵駅前店。
実験で使用するICタグの周波数は13.56MHzである。
実験は書籍を買い取る場面を想定している。
あらかじめ書籍に貼付したICタグには、代金支払済みか未払いかの情報を格納してある。
店舗の買い取りカウンタに設置したリーダー/ライターでICタグの情報を読み取り、他の書店で代金支払済みであると判断した書籍だけを買い取る。
実証実験には経済産業省と日本出版インフラセンター(JPO)、オムロン、日立製作所、NTTコミュニケーションズも参加している。
JPOは物流作業の効率化や万引き防止を目的としたICタグの実証実験を昨年から実施している。
今回の実証実験は、出版業界の動きに歩調を合わせたもの。

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まだまだ、本格的な導入は先になりそう・・・。
小売店レベルでの対処なんて、あんまり意味がありません。
正直、パフォーマンスレベル。
出版業界そのものが本格的に進めない限り、絵空事で終わるでしょうね。
あの業界は、今も昔も、あんまり進化はありません。
そして行き着くところ、一番損をするのは本屋。
好きじゃなければ、なかなかやれない商売です。
それに、本屋へ来るお客は、皆さん方のような常識的な人だけじゃないんですよ。
本当、我々とは考えも生き方も違う、困ったお客もたくさんいるのです。

個性を出しすぎれば売り上げに影響が出るし、売り上げ重視にしても、大手チェーン店には敵わない。
なかなか難しい商売ですね。
お勤めの方々には、大変な状況だと思いますが、万引き少年の馬鹿でカリカリせず、本に囲まれる楽しさというものを肌で再度、感じ取ってくださいね。

Posted by kanzaki at 2004年07月22日 22:08 | トラックバック (0)
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