2004年09月04日

PDAがこの先、生きのこる道

iPodというポータブル音楽プレーヤーは、随分と人気がありますよね。
有名なアーティスト達も使っている。
先日ラジオを聞いていたら、YUKIさんも使っていると聞いて、ちょっと驚きました。
音に対する拘りのある人達が、MP3の音質でも満足するのかなあと思っていたけれど、かなり好評です。
しかしiPodは、単独では使えない機械です。
パソコンとつなげて、パソコンの中にある音楽データを流し込まないといけません。
(持ってないので、これで表現が正しいのか分かりませんが・・・)
多少なりとも、パソコンが使えないといけない。
そのMP3ファイルをネット上からダウンロードして購入するなり、所有しているCDからMP3へ変換してあげないといけない。
その分、ポータブルMD&CD&カセットプレーヤーよりも、敷居が高いのは間違いありません。
「簡単じゃん、そんなの」と云われるかもしれないけれど、それはあなたがパソコンを使いこなしているから。
会社でワード、エクセルは使えるけれど、こういったエンタメ系の機能を使いこなせない人達の方が多いんです。

かなりコアな人たちを対象にした商品なのに、物凄く人気があります。
清涼飲料水のプレゼント商品として、iPod miniを使っているところがあるぐらいです。
随分と社会的認知、そしてプレミア感もあるようです。
もし、このプレゼント商品が、PDAだったらどうでしょう。
「対象商品に付いているシール5点を集めて応募すると、抽選で1000名様に、ソニーCLIE TH55をプレゼント」
とアナウンスしても、果たして応募数は多いでしょうか?
そのプレゼント欲しさに、対象商品を大人買いする人が、どれだけいるでしょうか?
・・・あんまり、対象商品の売上倍増には貢献しなさそうです。

そもそも、世間の皆さん方の多くが、「PDAって何?」と思っています。
私が会社の机の上にクリエを置いておくと、それを見た人達が、不思議そうに「これは何?」と聞いてきます。
この回答が難しい。
「スケジュール管理、メール、WEBブラウズが出来て、ワードやエクセルも使えます。そうそう、カメラやマイクも付いていて、音楽・動画再生も出来ますよ。あと、それとね・・・」
上記のような事を云っていると、
「つまり、何でも出来る小さなパソコンなのね」
その返事に
「パソコンとは、ちょっと違うけれど、そう遠くも無い・・・・・・」
相手は、納得したようなしないような表情。
最初の頃は、そんな感じで、全ての機能を伝えていたけれど、最近は、
「ああ、これ? これは電子手帳ですよ」
と簡単に云っています。

これがiPodだと、説明がしやすい。
いろんなアプリでスケジュール管理や何やら出来るけれど、何も知らない人には「ああ、これ? ウォークマン」と云っておけば、多分納得するでしょう。
そんなに間違ってもいないし。
「ウォークマン」は商品名だけれど、既に機能そのものを表す言葉になっていますから。
相手も頭の中で、「ポータブル音楽プレーヤー」だと認識できます。
その上で、「随分と小さいね。お洒落だし。MDを再生するの? けれど、MDを入れる場所もないようだけれど・・・」と質問してくるから、じょじょに解説してあげれば、かなり納得してもらえます。

やはり、その商品の一番代表的な機能を説明するのが手っ取り早いです。
だから私は、PDAを「これは電子手帳ですよ」と説明します。
パソコンとか、あまり操作しない人にも「電子手帳」ならば、なんなく理解してもらえます。
紙の手帳は誰でも使ったことはあるし、案外、シャープから発売しているPDA「ザウルス」の名称だけは知っていたりしますから。

PDAの市場は狭いです。
ソニーはアメリカ等のPDA市場から撤退しました。
日本でだって、以前のように多くの新商品を発売しません。
他のメーカーのPDAも、あまり発売サイクルは早くありません。
そのうち、PDAそのものが無くなってしまうじゃないかと危惧するほど。
パソコンと多機能携帯電話の間にあり、非常に危うい存在。
一般の人たちに、PDAそのものの存在を知ってもらえない。
電気屋でのPDA販売スペースも、殆どありません。
それより、電子辞書の販売スペースの方が広いし、今じゃ学生が普通に使っている。
電子辞書は、世間一般の人達に認知され、便利さを感じてもらえているせいでしょうか、かなり市場としては大きいし、今後も新商品が多くリリースされるでしょう。

PDAは、マニア好きのするアイテムです。
買ってそのまんまじゃ、あまり使えない商品。
いろいろとカスタマイズすることで便利になっていくし、その過程も面白い。
知れば知るほど、いろんな機能があって便利さを感じるし、そういうアイテムを使っている人達同士のコミュニティも発生する。
けれどもやはり、一部のマニアだけのアイテムとなっている限り、市場は拡大しませんよね。
使いこなせる人達が多くなればなるほど、メーカーが新商品を気合を入れて発表しても、「青歯が付いてないじゃん。イラネ」とか、細かいことの論評になってしまい、そりゃ、メーカーも売れないわ、文句云われるわで、やる気を無くしちゃいますよ。

流行するアイテムは、マニアだけじゃなく、一般の人達も巻き込んだからブームになったのです。
正直な話し、それを買った多くの人達は、その商品の全てを知って買った訳ではないし、買ってからも100%使いこなしている訳ではありません。
けれど、何かしらの魅力を感じたから買う。
多くの人達が買ってくれれば、メーカーも次の機種を出す。
そのうち、他社も似たようなものを作る(今までのマニアックさを払拭し、流行した理由を取り入れる)。
いろいろと良い方向へ進むのですが、PDAにはそういう「流行するアイテムとしての武器」が無い。
そのジャンルに知識が長けていない人でも買ってもらえるには、「分かりやすくて便利な単機能」「しかも魅力的な単機能」が無いといけません。
「単機能」の中には、「デザイン」も含まれています。
ちょっと前だとauの携帯電話「インフォバー」がそれに当たります。
ドコモの携帯電話を所有し、デジタルガジェットに興味の無い普通の女の子でも知っている商品でした。

さて、タイトルにも書きました「PDAがこの先、生きのこる道」。
マニアだけでなく、一般の人達も巻き込んだブームを作らない限り、消えていくでしょう。
だって、パソコンと多機能携帯電話があれば(多機能携帯電話だけの人も多いけれど)、PDAはいらないもん。
けれど、同じような危ういポジションにいるiPodは成功しています。
マニア好きのするアイテムだけれど、あまり「ヲタク」っぽいイメージがありません。
過去に多くのMP3プレーヤーは存在したけれど、iPodほど社会的に人気を博したものはありません。
機能の良さもあるけれど、アーティストやお洒落な人達が使い、有名でお洒落な雑誌等のメディアで紹介されているのが理由の一つだと思います。
やはり一般の人達には、ヲタク的なアイテムは嫌がられます。
男性でもそうなんだから、女性なんて尚更。
もし、PDAをヒットさせるならば、ヲタクっぽい感じを払拭したアイテムにしないといけない。
少なくとも、敷居は低くしないと。

ソニーはTJシリーズで、シンプルな電子手帳的なものを提案し、機能は少なめだけれど低価格で、敷居を低くしました。
今でも売れています(PDAの市場の中では)。
シンプルにしたのは正解だと思いますよ。
おかげで、所有していない一般の人達に、この商品の説明がしやすい。
相手も理解できる単機能を聞けば、それなりに納得してもらえる。
そこから、話しが深くなっていき、聞けば聞くほど欲しくなる。
「××が出来ますよ」が幾つもあるより、一つだけ提示されて、それについて深く話し合った方が、相手にPDAの良さを理解してもらえます。
シンプルになって、多少はヲタク的な色合いが薄まりました。
これで更に、女性に好感を持たれる知的でスマートなデザインになれば、もっとヲタク的なものが排除されるでしょう。

この後ですが、下衆な話しですが、高視聴率テレビドラマで、キムタクやヨン様が効果的に使ってくれれば、それでブームになると思いますよ。
実は、ヨン様は「ホテリアー」というドラマでPDAを使っているけれど、やはり「冬のソナタ」級の有名どころでないと。
いきなり下衆な話しになりましたが、多分、真理だと思う。
ブームなんて、そのブームに乗っかっている人の殆どが、実は深く理解していないものだから。
けれど、それを持っていても、ヲタク的な印象が無ければいいんです。

PDAは使ってみると、その良さが分かります。
しかし、買わないと分からない。
私はソニー製品が好きだから、もしソニーの人がこれを読んでいたら、こう伝えたい。
「多機能でマニアックなものは、海外に任せればいい。クリエは単機能でお洒落なデザインに特化してもらいたい」
その商品のアピールする部分を限定すると、それだけに深く長く開発時間を割けるので、良いモノが出来やすいですから。
どの機能を搭載するかですが、やはりPIM・・・スケジュール関連に特化するのが良いと思います。
せっかくソニーは気合を入れて、クリエオーガナイザーなるものを開発したのに、未だTH55にしか搭載されず、しかも未消化の部分が多々あります。
そこをブラッシュアップしてもらいたい。
あと、パソコンとの連携が前提になっているけれど、パソコンを持って無くても気軽に使えるようにしてもらいたいです。
パソコンとの連携よりも、携帯電話との連携を優先にした方が良いかもしれません。
どうせクリエは今後、日本でしか販売されないんですから。
パソコンとのシンクロケーブルだけでなく、携帯電話用シンクロケーブルも標準装備になるといいかもしれません。
携帯電話の中にある電話帳、写真、メモなどをPDAで管理できると便利そうです。
モバイル機器同士の連携は、相性が良さそうですし。
PDAが世間的に認知され、装備過剰になってきた頃、通信部分も連携して欲しいですね。
第三世代携帯電話は、パケット通信が月額料金固定の料金プランがあります。
ただし、その携帯電話の中でのみ。
パソコン等に接続した場合は別料金です。
特定のPDAとの接続の場合のみ、その月額固定料金が適用されれば、かなり売れるかもしれません。
けれど、それはPDAが、もっと認知されてからのお話し。
今、仮にやっても、マニアしか飛びつきません。

PIMは地味だからアピールしにくいので、後はデザインを重視してもらいたい。
多機能のせいでデザインが制限されることはありますよね。
例えば、カメラ機能を搭載してしまって本体が分厚くて重くなったり。
単機能ならば、デザインを制限しないので、良いと思います。
最近、アップルから、iMacG5が発表されました。
パッと見た感じ、液晶ディスプレイだけのような形です。
パソコンの部分が見当たらない。
シンプルで初代iPodのような感じですね。
最近のアップルのデザインは、奇抜さよりもシンプルさを求めているみたいです。
シンプルゆえに飽きもこない。
ヲタクっぽくもないし、正常進化だと思います。
PDAも、デザインはメカニカルなものより、シンプルで、お洒落な雑貨屋さんに陳列されてもおかしくないものの方が、万人受けすると思います。

Palmはマニアックな世界だけれど、クリエまでマニアックになる必要はありません。
いっそのこと、クリエをマニアから取り上げるぐらいの気迫でやって欲しいと思います。
もし市場が拡大すれば、きっとまた、多機能化・恐竜化していくでしょうが、今はその時ではないと思いますから。

私の勝手な意見ですし矛盾したところも多々あり、とても人には語れないので、自分一人で運営しているサイト内だけで語ってみました。

Posted by kanzaki at 2004年09月04日 07:36 | トラックバック (0)
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