2004年12月04日

年収400万円以下に照準、日清が所得2極化にらみ低価格麺開発へ【ロハス】

「日本人は年収700万円以上と400万円以下に2極化する。700万円以上の消費者向けに高付加価値の健康志向ラーメンを、400万円以下の消費者向けに低価格商品を開発する」

日清食品の安藤宏基社長は2004年9月中間期の決算発表の場で、藪から棒にこう発言した。
食品に限らず日本で消費財メーカーのトップが、具体的に所得階層別の商品戦略を示したのは初めてだろう。
業界の注目を集めるのは、その真意と、来秋にも発売すると見られる年収400万円以下向けの商品の値付けだ。
看板商品である「カップヌードル」の店頭売価は通常150円。
新商品は100〜130円を想定していると見られるが、もしカップヌードルより安価なカップ麺を本格投入することになれば、同社では約30年ぶりになる。

ソース:nikkeibp.jp
http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/jp/biz/345802

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株主へのリップサービスとは云え、聞く人が聞けば反感を買うこと間違いなしの発言ですね。
高級タイプ、普及・低価格タイプとか、そういうグレード別に販売をするのならば分かるんですよ。
例えばドコモの携帯電話だと、FOMA90×iシリーズは、その当時のハイスペック端末が欲しい人へ。
MOVA2××iシリーズは、シンプルで扱いやすいものを欲しい人へ。
そんな感じで分かれているじゃないですか。
決して、高収入の人はFOMA、低所得の人はMOVAを買えとドコモが云っている訳じゃない。
ユーザーのライフスタイルに合わせて、お好きなものを選んで下さいと云っているのです。
だから日清が、「高付加価値の健康志向ラーメン」と「低価格商品」というグレード分けをして、その人のライフスタイルに合わせて買ってくださいね・・・と云うのならば分かります。
けれど、この発言じゃ、「貧乏人は、安い方を買え」と云っているようなものです。
もし発売されたら、買った人がレジに持って行く際、「あっ、この人は400万円以下の収入なんだ」と店員に思われるのが恥ずかしくて、とても買えないですよ。
テレビCMは、お笑い若手芸人を使い、映像は家庭用のビデオで撮ったしょぼい感じにするのかな?
ちゃんとした名称があっても、「貧乏人ラーメン」「負け組みラーメン」と呼ばれる事でしょう。
そして、高級な方は「リッチ麺」。
カップヌードルのCMは、ミスチルの曲を使い、戦争反対みたいな感じの映像で「NO BORDER」と云っているくせに、所得で線引きするのは、日清流のギャグですか?

元記事に書いてある文章の途中に、
『日清は昨年以降、カップヌードルを常時100円以下で販売するドラッグストアなどの「安売り」には不快感を示してきた』
と書かれていますね。
低所得組だけでなく、販売店まで敵に回していますね。
独占禁止法に触れかねない考え。
自分の周囲を敵だらけにして大丈夫なんでしょうか、この会社は。

でもさあ、本当の貧乏人は、カップラーメンなんて食べませんよね。
私が大学生の時は、仕送りゼロのサバイバル生活を送っていたので、カップラーメンなんて食べませんでしたよ。
やはり、「パスタ最強伝説」ですよ。
パスタ。
ディスカウントストアへ行くと、パスタが1キロとか2キロで100円とかで売られていますよね。
そのパスタにかける具は、一緒に販売している缶詰のミートソース。
その缶詰も一つ100円。
安さとボリューム、そこそこの味わいでは、これに勝てるものは無いかと思います。
しかし、食べ過ぎると下痢になってしまうと云う諸刃の剣。
生活費で一番削る事の出来る部分は食費ですから、いろいろと工夫する訳ですよ。
今では、もうしたくありませんが・・・。

誰かがこんな事を云っていました。
「金持ちだろうが貧乏人だろうが、バカは金の使い方が同じ」
頭は金髪、ジャージを身にまとっているくせに、手にしているカバンは高級ブランド。
大金を投じて走り屋仕様にしたセルシオを乗り回し、いつも行く場所はダイソー、吉野家、パチンコ屋。
もし仮に、この人が年収1000万円だとしても、誰も尊敬しませんし、羨ましくもありません。
他にも、自分の収入を無視して高級品を買いあさってローン地獄になる人。
くだらないガラクタに大金を投じて買いあさり、ごみ屋敷のような部屋でコレクションする人。

日本の場合、所得の大小だけでは、その人の生活様式は比較できないんですよね。
アメリカとかだと、所得階層によって生活様式が違うらしいのですが、日本は所得が違っても、極端な違いはありません。

正統派ジェントルメンさんの図

こんな人って、見たことないでしょ?
みんな似たり寄ったりの格好と生活なんですよ。

それと「値段が高い=高級品→それを買っている人は偉い」みたいな風潮がバブルの頃から続いていますが、少しずつ「お金の大小とは関係ない、素敵な生き方」を求める人も増えてきました。
己の身の丈を把握した上で、向上心のある素晴らしい生活を送る人達。
そんな人達の間で耳にするキーワードは「ロハス(LOHAS)」
LOHASは「Lifestyle Of Health And Sustainability」の略。
「環境と人間の健康を最優先し、持続可能な社会の在り方を志向するライフスタイル」の総称。
アメリカの社会学者ポール・レイらが1998年、全米15万人を対象に15年間に渡って実施した価値観調査から生まれた言葉。
「シンプルライフ」「スローライフ」などに続くもの。
FMラジオ「J-WAVE」で月曜から金曜・朝5時から7時までオンエアされている番組は「LOHAS MORNING」。
これを聴いている人には御馴染みの言葉ですよね(私もリスナーの一人)。
ナビゲーターは鳥越さやかさん。
ロハスをキーワードに、素敵なライフスタイルを提案しています。

J-WAVE:LOHAS Morning 公式サイト
http://www.j-wave.co.jp/original/lohas/

この番組を聞き流ししていると、スローライフとロハスの違いが分かりません。
ちょっと小洒落たライフスタイルだとも云えます。
しかし、それだけに留まらないのです。
高収入、エリート、仕事のエキスパート・・・字ずらだけ見れば凄い人に見えるけれど、「幸せ」かどうかは見た目じゃ判断できない。
誰もが羨む一流企業に入って高収入にもなったけれど、毎日夜中まで仕事をしていて、休日は疲れているからグウタラと寝て過ごす。
昔、希望に燃えていた人間がいつしか、日々のマンネリの中で没個性化し、ふと自分の生き方に疑問を持つ。
「本当に幸せなの?」って。
ロハスについて上手く説明できないので、これから色々と研鑽し、このサイトで語っていこうと思っているのですが、少なくとも、今までの価値観や生き方に疑問を持つ事が大事なんじゃないかな?

そんな事を考えていると、冒頭のカップラーメンの商品展開は、そういうロハスとは対極にあり、とても俗物的な考えですよね。
お金の大小だけでは「幸せ」は語れない。
せめて日清と云う企業の中に、ロハスの考えを持ち、今回のトップの発言に疑問を持つ人がいることを期待するばかりです。

Posted by kanzaki at 2004年12月04日 00:12 | トラックバック (0)