2005年04月21日

不便ゆえの満足

以前、私はコーヒーが飲めませんでした。
飲むと、胃の辺りがシクシクと痛むから。
そんな私が、グーグーガンモよろしく、コーヒーを毎日飲んでいます。
一日3杯ぐらいは飲んでいるかも。
それに、飲んでも痛くなる事があまりない。

ドリップコーヒーってありますよね?
コーヒー豆を挽いたものを一杯ずつパックしたもの。
それをコーヒーカップの上に乗せ、お湯を注ぎます。
簡単に本格的なコーヒーが味わえる。
私が会社で飲んでいるのは、これです。

自動販売機のコーヒーよりも安くて美味しいと云うのも理由ですが、それより何より、お湯を注いでいる時間が好きなんですよね。
会社の仕事をしている最中、タバコを吸う人ならば、ミーティングルームへ行って一服し、小休止が出来ます。
しかし、私のようにタバコを吸わない人間は、そういう小休止ができません。

給湯室でお湯を沸かし、ドリップコーヒーでコーヒーを作る時間が私にとっての小休止。
コーヒーに軽くお湯を注いで蒸らし、その後、少しずつお湯を注いでいく。
コーヒーの入ったパックがお湯で満たされたら、しばし待つ。
パックの中のお湯がコーヒーカップへ移って無くなったら、またお湯を注いでしばし待つ。
慌ててお湯を注いでも、一定以上はお湯を入れられないから、どうしても待たなければいけません。
自動販売機ならば、すぐにコーヒーを飲めるところをわざわざ待って作ると云うこの行為が、仕事でイライラしていた心を落ち着かせます。
コーヒーそのものの香りにもリラックス効果があるのでしょうが、そうやってお湯を注ぐ行為そのものも、空回りした心を安定させます。

今までコーヒーを飲んでいて痛くなっていたのは、自動販売機のカップコーヒー、缶コーヒーだからみたい。
こうやって自分で作ったコーヒーは大丈夫(喫茶店や料理店のコーヒーも大丈夫)。
出来合いのものと違って、サラッとした感じだからかも。

そして昔と違い、砂糖とクリームを入れなくなりました。
胃が痛くならないように、砂糖やクリームを入れていたのが、かえって逆効果だったようです。

コーヒーには様々な効果があるそうです。

利尿効果
刺激作用(中枢神経・心臓・筋肉等に刺激を与える)
活腸作用(胃腸の活性を促す)
血流促進
肝臓の働きを促進。二日酔いに効果
エネルギーの代謝を良くして脂肪酸を分解。ダイエット効果
結腸ガンや直腸ガンを抑制
活性酸素を抑え、老化を防止
口臭を防ぐ
動脈硬化の予防

飲みすぎは良くないのでしょうが、適度な飲み方ならばメリットも多いようですね。

私の場合、ドリップコーヒーに何度もお湯を注ぐ行為そのものが楽しく、完成してからも味と香りが楽しめるからだけなんですけれどね。

coffee01.jpg

世の中は、手間をかけず快適に過ごせるよう、様々な発展をしてきました。
人間が何もしなくても、身の回りの事をなんでもやってくれる世界。
その一方、わざわざ手間をかける事に楽しみを感じるのも人間。

例えば、車のシフトチェンジはオートマが当たり前になってきている中、操る楽しみを感じたいからマニュアルの車を運転する人もいます(私もその一人)。

ちょっと例えが違うかもしれませんが、映画「イノセンス」等を手がけたのは、押井守監督。
彼はペットとして、犬を飼っています。
テレビで見たことがあるのですが、この犬の世話は大変です。
仕事を早く切り上げて、犬の為に帰ることもしばしば。
どうして手間のかかるペットを飼うのかと云うと、「自分の思い通りにしてくれないところが良い」というような事を云っていました。
映画の世界では、自分の思い通りの作品を作る為、多くの人を指揮する彼。
みんな彼に従う。
そんな環境の中、愛犬だけは云う事を聞かない。

やはり人間、便利だからと云って、全ての行動を放棄はできない生き物のようです。
面倒な事をあえてやり、それに満足感を味わう。

きっと誰でも、似たような事をしていると思います。
不便ゆえの満足。

Posted by kanzaki at 2005年04月21日 19:13 | トラックバック (0)