2006年06月29日

トラウマ

動物の象の調教についてのお話。

象使いが象を調教する方法を知っていますか?
まだ小さい時、足に鎖を繋いで、その先を太い丸太に縛り付けるのです。
どんなにもがこうが鎖は外れません。
そのうち象は、鎖をはずすのを諦めます。
やがて大きくなるわけですが、既にその巨体は、地面から丸太から引きぬいて逃げ出すことの出来る力を身につけているはずなのに、逃げようとはしないそうです。


イジメにあった子供がいます。

その子は小学校時代に、級友にいじめられ、とても辛い思いをしていました。
もっと小さい頃は明るくて快活な子だったのに・・・。
いつしか口をつぐみ、何事に対しても消極的な性格になりました。
やがて大人になり、イジメをしていた級友は既に自分の周りにはいないのに、未だに内向的な性格は直らず、人とも接しないで暗い生き方を続けています。


小さい頃の辛い思い出は、心にとても大きな傷を残します。
その傷は、事あるごとに痛み、その辛さを思い起こさせます。
トラウマ。

これを克服するのは、本当に難しいことです。
けれど、いつまでも過去のトラウマに縛られ、自分の人生そのものをつまらないものにするのは勿体無い。

大きくなった象は、本当は逃げ出せるのに、自分の呪縛の元である鎖と丸太を見ようとしない。

大きくなった子供は、自分に優しく接してくれる素敵な人々が周りにいるのに見ようとしない。

どちらも本来、見なければいけないモノを見ず、諦めてしまっているのです。
あなたもそんな風に、真正面からモノを見ることが出来ない事ってありませんか?
そして、それを理由にして自分の人生をせばめていませんか?

これを克服した方が、きっと人生にとってプラスになると思います。
克服する方法とは、真正面からモノを見ることです。

ドイツの哲学者ニーチェは、こんな言葉を残しています。

「君の魂の中にある英雄を放棄してはならぬ」

この言葉は「君」と相手をさしていますが、大切な事から目をそらしてしまう自分に対して戒めともとれる言葉です。
英雄とは、自分の出来る事を実行する人だと私は考えます。
そして更に付け加えるならば、トラウマの元凶に対し、まっすぐ視線を向けて、それを人生の失敗の言い訳にしない人だと思います。

この世の中は、絶えず前に時が流れ続けています。
時間が止まってしまい「過去」と呼ばれるものは、ゴミ箱の中身だけなのです。
我々は前に進んでいかなければいけません。

是事とも、あなたの心の中に眠る英雄を目覚めさせてください。
ヒーローはテレビの中にではなく、あなたの心の中にいるのですから。

Posted by kanzaki at 2006年06月29日 00:14