実はここしばらく腱鞘炎でキータッチがろくに出来ず、更には母親の具合も悪かったので、自分自身で記事を書くことが出来ませんでした。
ようやく落ち着いてきましたので、ぼちぼち書き始めようかと思います。
復活初日のお題は、「なぜ人は99%のゴミ情報に踊らされるのか?」で行きましょう。
雑誌「PRESIDENT(プレジデント)2007.3.19号」の最新号表紙に、このお題が書かれています。
今回の「PRESIDENT」は実に、つまらない内容でした。
ブログサイトを毎日運営している人間ならば、誰でも知っているようなネットの知識、情報検索のコツが中心でした。
世間の「PRESIDENT」を購読する読者のスキルをなめとんのかと思う内容。
しかしこの雑誌は別に「週刊アスキー」のようなパソコン雑誌ではありません。
だから、パソコンやネットのスキルに関しては、その程度でも良いのかもしれません。
今号に登場した多くの人物の言葉を読みますと、決して読者にネットの達人になれと訴えかけている訳ではありませんでした。
「その収集した情報を自分なりに加工して、初めて価値が生まれること」をテーマにしていたのです。
ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長の大前研一さんの記事をご紹介します。
●大前研一 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%89%8D%E7%A0%94%E4%B8%80
世界で有名な経営コンサルタント、経済評論家である大前研一さんは、現代の日本人の情報能力の欠如を嘆いています。
アメリカ人も驚くほど、スポンジのように情報を吸収していたのは昔の話し。
現在の中間管理職層は、受験戦争のピークに育った偏差値世代の為、学校で答えを教わる教育ばかりを受けてきたから、手探りで失敗を繰り返しながら答えを導き出す習慣がありません。
答えのない世界に生きたことがない世代は、とにかく教えられた答えを覚えて吸収しようとします。
だから、新聞やテレビから流れてくる情報を全て正しいものと思い込んで覚えようとする。
しかし、その情報が自分の体の中で蓄積されることはなく、翌日には綺麗さっぱり忘れてしまいます。
どうして忘れてしまうのか?
それは、自分の血となり肉となるように、その情報を自分で加工しようとしていないからです。
情報と云うのは、加工しなければ何の価値も生みません。
手に入れた一時情報の意味を考え、時に疑い、ストックした情報と照らし合わせて、栄養のある情報だけを吸収して自分の中に取り込み、あとは捨てる・・・・・・こういうプロセスが大切なのです。
加工するためにはまず、自分の頭の中に「棚」を作らなければいけません。
棚とは、情報を整理しておく場所のこと。
新しい情報が入ってきた時に、棚に置いておいた情報を引っ張り出して合成し、そして最後に必ずこう自問自答します。
「要するに、これってどういうことなんだ?」
こうして初めて自分なりに加工した情報=新しい考えが出てくるのです。
「要するにこういうことなんだ」と考えたことが、個別の知識としてではなく、文章として頭の棚に入ってくるので、忘れることがないのです。
なるほど。つまり「その事について何かと問われたとき、自分の言葉で説明できる」と云うことなんでしょうね。
むしろ、本に載っている文章そのままを口から発するのは難しいものです。
何せ、その文章を書いた著者の考えは埋め込まれているけれど、自分の考えが埋め込まれていないのだもの。
そりゃあ、そのまま自分の口から発するのは難しいというものです。
実は大前さんは、かれこれ10年ほど新聞を購読していないそうです。
新聞は、掲載されている記事によって重要度、印象の操作が行われているからです。
テレビのニュースもあまり見ないそうです。
NHKのニュースは人畜無害で役に立たない。
見るのはBSでやっているアルジャジーラなど世界の放送局のサマリー(簡単に分かりやすくまとめたもの)だけで十分と云い切っています。
雑誌に関しては、編集方針が偏っているものばかりを買うそうです。
知識よりも、ものの考え方が分かるからです。
幕の内弁当のような雑誌は栄養にならんと。
大前さんの情報源は、もっぱらネットだそうです。
見た目が結構なオッサンなので意外でした。
ネットのニュースが好きな理由は、記事が全て均等の大きさで並んでいるからだとか。
つまり、自分にとってのトップ記事は、自分で決められるのです。
私もネットのニュースが好きです。
私がよく使うサイトは下記。
●Bulknews - RSS Syndication
http://bulknews.net/
見れば分かるのですが、どのニュースも同じ文字の大きさ、表示の仕方をしています。
これに慣れると、オッサンが読むエログラビアが付いている週刊誌とか、若い女の子が読むファッション雑誌のレイアウトの過剰すぎるレイアウトに船酔いします。
大前さんの場合、RSSリーダーを使って読んでいるそうです。
RSSリーダーとは、気に入ったWebサイトのRSSのURLを登録すると、そのWebサイトにアクセスしなくても最新情報の概要を確認できます。
その概要を見て、さらに詳しく読みたい場合は、クリックして該当ページを表示させます。
大前さんは、自分の興味のあるカテゴリ・・・例えば「日本経済」「重要な国の地政学的な変化」などに分別して情報を収集しているそうです。
RSSリーダーを使って毎日500ほどの記事を読むそうです。
偉そうに500と書いていますが、500程度ならば、我々一般人でもチェック出来ますよ。
何せ、各記事のタイトルをナナメ読みしていくだけですから。
そして、毎週日曜に、その中から重要と思われるものをコピペして仕分けをし、情報整理用のメールアドレス(多分、gmailなんじゃないかなあ。こういう用途に適しているから)、そしてスタッフ全員へ送信するそうです。
テレビ・新聞などの情報源との大きな違いは、このように記事をコピー&ペーストして、二次加工出来ることです。
一部のニュースサイトでは、右クリック禁止=コピペ禁止を施しています。
そういうサイトは不便で困りますね。
けれど、java scriptをオフにすれば良いだけです。
スタッフはこれをパワーポイントで一まとめにして整理し、大前さんがもう一度読み返し、加筆修正をして、さらに必要に応じてスタッフに分析の指示をします。
それを日曜夜に放送されるCS番組で解説するそうです。
スカパー!757chの「ビジネス・ブレークスルーチャンネル」ですね。
そこで毎週、2時間の生放送をしています。
・チャンネルのホームページ
http://www.bbt757.com/
・番組ホームページ
http://www.bbt757.com/servlet/ShowLecturer?lecid=0001&sbj_id=123
月額17,850円(税込)と云う馬鹿げた価格設定なので、私は見る気が起きません。
それならば、アニマックスを見ていた方が有意義だ。
話しを戻しまして、更に翌週には、それらの情報を経営塾「エアキャンパス」と云うネットスクールで、ディスカッションをします。
こうして、同じ情報を4度は見ているので、記憶としての定着率も相当なものだそうです。
こういう事をしているから、世界中のどんなテーマの取材・講演でも最新情報に自分なりの分析を加えた話しが出来るという訳です。
世界の要人と呼ばれる人達は、大前さんのようなことを実践しているそうです。
そういう人達が出会えば、前置きなんて必要ありません。
なにせ全員、その事について予備知識と自分なりの見解があるからです。
だからいきなり、そのテーマの本質について討論が出来るのです。
これが日本の経営者と話しをすると、いちいち相手に用語説明からしなければいけない。
例えば、グーグルがYou Tubeを買い取った事について話し合おうとしても、まず、グーグルとは何か? You Tubeとは何か? を説明しなければいけない。
更に世界の要人達は相手に対して、前回に出会って話し合いをしてから今回出会うまでの「差分」を聞いてくるそうです。
そういう差分だけを取り込む情報源を世界中に持っています。
そこから得た情報を自分の頭の中の棚の情報とつき合わせ加工し、常に最新の情報に「アップデート」しているのです。
まずは頭の中に棚を作ることからはじめましょう。
そして、棚を作りっぱなしにせず、随時引き出してみては新しい情報と照らし合わせ、反芻し、自分なりに納得した形に再加工するのです。
それを習慣として続けていきます。
他人の見方を覚えるのではなく、自分の頭に思考の脈略を持って取り入れましょう。
自分の考えを加えて、棚の情報を整理。
そうやると物事に対する見方がどんどん変わってくるし、広がっていきます。
自ずと、情報に対する感度も高まっていきます。
そして、その情報をアウトプットしてみましょう。
批判されたり、色々と云われるかもしれませんが、それによって更に磨かれていくのです。
以上が、掲載されていた記事の要約です。
最初から完璧なものなんて出来ません。
最初は億劫でしょう。
とは云え、やらなければ磨くことも出来ません。
最初は、ブログをやってみてはどうでしょうか?
特定のジャンルにこだわって見るのが一番楽です。
そのジャンルにだけアンテナを向けていると、だんだん自分なりの情報源を見つけられるものです。
そして、ブログに掲載する時に、自分なりのコメントを書く。
これを続けていくといつの間にか、その分野のエキスパートになれるかも。
プロにはなれなくても、同じ思考・考えの人との出会いがありますし、無駄にはなりません。
こういう事を続けていくことで、大前さんのような思考能力を楽しく身につけられると思います。
「なぜ人は99%のゴミ情報に踊らされるのか?」と冒頭に書きましたが、ゴミ情報なんてものは、本当は無いと思いますよ。
他人にとってはゴミ情報でも、当人にとっては有益な情報だってあるのです。
大前研一さんにとっては、仮面ライダー電王の新フォームの情報は意味が無くても、私には有益なのです!(お
いろいろとある情報群の中から、自分にとって必要なものを取捨選択できる能力が必要だと云いたいのでは。
そして、自分なりの考えを見出せればよいのです。
そういう事を知らず、ただ単に口をポケーと開けて情報を鵜呑みにしていると、ずる賢い人たちの標的になってしまいますよ。
ps.
「PRESIDENT」の今号76Pに「ナナメ読みで「一人称の話」に目を留めろ!」と大きく見出しがありまして、うちのサイトと同じ「ナナメ読み」と云う単語にドキッとしてしまいました。
ちなみに、「ナナメ読み」と云う単語をグーグルで検索しますと、検索結果171,000件のトップに当サイトが表示されます。
ITmedia エンタープライズの連載記事よりも上に表示されるのは、なんだか嬉しいです。
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