2007年07月27日

人間いろんなものを失うが、何が一番失いやすいかと言うと、自己である

時間は戻すことができないものだなあと、大人になってつくづく思います。
あの時、ああすれば良かった、こうすれば良かったと思っても無駄です。

日本の陽明学者・東洋思想家である安岡正篤(やすおか まさひろ)さんの言葉に、こんなものがあります。


「人間いろんなものを失うが、何が一番失いやすいかと言うと、自己である」


調子づいても自己を失うし、心配事を抱え込んでいても自己を失います。
平穏な精神を保つと云うのは非常に難しい。

人に云われて一番嫌だなあと思う言葉は、相手に面と向かって、「●●君、変わったね・・・」と寂しそうに云われることです。
この場合の「変わった」は、良い意味ではなく、大抵は悪い意味に使われます。
自分は特に考え方、生き方を変えたつもりはないのに、そんな言葉を云われると辛いものがあります。

人間って突然、考え方をガラッと変えられるものではありません。
いろんな経験を積んでいくうちに、自分では知らないうちに変化しているのでしょうか。

人間の体は細胞で作られていますが、常にそれらは分裂をして、新しい細胞が生まれます。
何十年も経過すれば、頭のてっぺんから足の爪先まで、全ての細胞が入れ替わります。
けれど、その体内に宿る命と云いますか、己の心は入れ替わる訳ではありません。
何十年かして、体の細胞が入れ替わるのと一緒に、人格まで入れ替わったら大変です。

心と云うのは入れ替わるのではなく、積み重なっていくものだと思います。
だから心の奥底にあるものは、年老いても変わるものではありません。

けれども生き方によっては、その奥底にある大切なモノの上に、醜いモノ、汚いモノが積まれてしまい、自分がどんな人間だったのか忘れてしまうことがあると思います。
そんな時、「●●君、変わったね・・・」と云われ、はじめて気づくのです。

時は止めることも、戻すこともできません。
けれど、心の奥底にあるものを時間をかけて掘り起こすことは可能だと思います。

どうやったら見失った自分を再発見できのか?
これが私の最近のテーマであります。

そうそう答えの見つかるものではないでしょうから、少しずつ前へ進んで見つけていきたいと思います。

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Posted by kanzaki at 2007年07月27日 23:33