2007年10月22日

私の無事故の秘訣

知人が勤める運送会社の社内報にて、「私の無事故の秘訣」と言う記事が書かれていました。

運送屋ですから毎日、ドライバーの皆さんはトラックを運転しています。
運転は常に事故の可能性を秘めており、最悪、死に至ることもあります。
仮に怪我をしなかったとしても、トラックや運んでいる荷物を壊してしまい、会社に大きな損失を与えてしまいます。

そんな中、なんと25年以上も無事故のドライバーさん達がおり、社内において表彰されたそうです。
表彰の際、各人よりコメントをもらいました。
それが、「私の無事故の秘訣」です。

以下、各人のコメントの抜粋。


●自分の運転技能を過信せず、家族や・会社の為に安全運転を心掛けています。

●無理をしないこと。

●朝、出勤前には必ず家族の誰かが言葉を掛けてくれます。それが私にとっては励みになっています。朝食は必ずバランスよく食べて、最後にコーヒーを飲むようにしています。健康に注意し、楽しく仕事をするようにしています。

●あせらず・無理せず・マイペースで運転しています。

●過去に数回の確認不足による事故があり、私は安全確認しかないと思っています。特に死角に入る丁字路や交差点は1〜2回の安全確認を実行しています。運行の際、積荷や道路状況に合った運転を心掛けています。

●無事故に秘訣などないように思いますが、長年のヒヤリハットの経験から「十分な車間距離」と「指差し呼称」の実践が今日までの無事故のポイントだと思います。今後も事故とは無縁であるように会社の運転ルールを遵守してまいります。

●私は豊橋交通刑務所の受刑者が泣きながら読む作文をラジオで聞き、受刑者の「少しの油断」という言葉に私がハンドルを握るときは油断はしない!家族のため・会社のため事故を起こしてはならないと一日一回は交通受刑者の作文を思い出して今日まで無事故で来たと思います。

●秘訣「健康管理」、モットー「初心忘れるべからず」


さすが、ベテランドライバー。
シンプルで含蓄のあるお言葉です。

要約すると、「当たり前の事を当たり前にする」と言う事だと思います。
しかし、それを毎日・何十年も続けるのは、本当に難しいことでしょう。

今の世の中、「楽をして金と富を得られたらラッキー!」みたいな、まるでスーパーマリオブラザーズの1-2、4-2のステージでワープを繰り返し、最短ルートでクリアしたがる輩が多いのです。
むしろ、こういう思考の方が当たり前になっています。怖いことですが。

仕事で運転をしない私。
更に最近では、自転車通勤をするようになり、ますます自動車を運転しなくなりました。
この一ヶ月、ガソリンの給油を一度もせず、原油価格の高騰に関係の無い生活をしています(そう思っていたのですが、冬に備えてホームタンクに灯油を入れてもらったら、2万円の請求が来たorz)。
自動車に乗らない日々故に、たまに自動車を運転する機会がありますと、非常に緊張します。
まるで、免許取り立ての頃みたいな感覚です。
つい最近までは、適当な安全確認、適当なハンドリングとアクセルだったのに、これでもかと言うほど安全運転になりました。
自分の運転に自信がないからですが。

私のような状況の人間ならば、無事故で一生を過ごす事も可能でしょう。
けれど、運送屋のドライバーさんの場合、無事故を続けるのは至難の技です。
何せ仕事なので、現状から逃げられませんからね(逃げる時は、会社を辞めるとき)。

健康管理や健全な精神を保つ。
事故に繋がるような危険な行為をしない。
過信しない。
小さな安全確認の積み重ねにより、大きな事故を未然に防ぐ
これらは、我々一般のドライバーにも共通する、無事故の秘訣だと思います。

どのような職種の仕事でも、長く勤め、更には大きなトラブルとは無縁で無事に過ごせてきた人と言うのは、本当に凄い人なのではないでしょうか。
その人達は、たまたまトラブルに見舞われなかったのではなく、トラブルを上手く回避して、最悪な状況にならないように事を進めていたのではないでしょうか。
それは、辛い仕事から「逃げる」のではなく、大きなトラブルになる前に、気づいた時点で処理を施して、最悪な事態にならないように済ませているのです。
事が大きくなってからでは、自分だけでの解決は難しく、他人をも巻き込み、引いては会社に損害を与えます。

悪い芽を小さいうちに摘み取る能力は、その仕事に熟知して、経験を積まなければ得ることが出来ません。
時には人脈を利用する事もあるでしょう。
その為にも、周りの人達と友好関係を保たなければいけません。
そういった事柄は、短期間で得られるものではなく、日々の積み重ねが必要です。

凄い人ほど、地味に物事をコツコツと続けますよね。
凄いと相手に思われた部分と言うのは、氷山の一角であり、その下には膨大な知識・能力があるのです。

人それぞれ、真面目にコツコツと続けたい、続けなければいけない事は違います。
しかし、必ず成果が現れることは間違いない事実です。

老子の言葉に、こんな言葉があります。


●天網恢恢疎にして漏らさず(てんもうかいかいそにしてもらさず)


天の網は広く、その目は粗いようだが、悪人を漏らすことなく捕える。
すなわち、天道は厳正で、悪事をなしたものは早晩必ず天罰を受ける。
つまり、「人が見ていないからと思って陰で悪い事をしても、天は何でもお見通しです。人が見ていようとなかろうと、一生懸命努力しなさい」と言う意味です。

店頭にいったん陳列した商品を工場に戻し、製造日を書き換え再包装、再び出荷していた伊勢名物の「赤福餅」。
結局、その事がバレて、ニュース等で色々と叩かれていますね。
白い恋人、雪印・・・数えればきりが無いのですが、やはりこういった事は駄目なんですよね。

我々の生活・仕事は、冒頭に書きました無事故を続けられているドライバーさんのようにならなければいけない。
そんな事を思う秋の夜です。

Posted by kanzaki at 2007年10月22日 20:27