2008年04月26日

企業の55%、心の健康すぐれぬ社員「増加」

●企業の55%、心の健康すぐれぬ社員「増加」・民間調査
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080425AT3K2501025042008.html

・企業のメンタルヘルスに関する調査結果。
・心の健康状態を崩している「メンタルヘルス不調者」がここ3年間で「増加している」と回答した企業は55.2%に上り、3年前の前回調査(52.0%)を上回った。
・理由は「人手不足感が強まって長時間労働が慢性化しているため」と考えられている。
・増加が目立つ世代:「30代」(51.9%)、「20代」(41.2%)
・「40代」は19.1%、「50代」は0.8%にとどまり、若手社員の精神的な負担が重くなっている実態が明らかになった。
・1カ月以上休職している従業員がいると回答した企業は62.7%に上り、人数は1社あたり平均9.5人となった。


人ごとでは済まされない内容です。
自分自身もついこの前まで、長時間労働で意識が朦朧としていました。
このままではマズイと感じ、心の落ち着きを取り戻せるような書籍を読んだり、仕事を工夫して早く帰宅できるように努力してみました(工夫というよりも、強制離脱に近い・・・)。
長時間労働というのは、誰かから評価される訳じゃないので、やっていて馬鹿らしくなりますね。
長時間働いた事に対して、対価が支払われる訳じゃありませんし。
それに、かえってマイナス評価としてとらえる会社もあります。

入社しても過酷な環境のせいで、すぐに辞める人も多いです。
そうすると中間管理職が、本来の仕事以外である雑務もやらなければいけなくなります。
当然、労働時間も増えます。
健全な心身を保つのが難しくなります。

他にも、入社してすぐに管理職として店長をやらされるケースもあります。
経験も少ないのに、ドタバタと日常業務に追われます。
それでも業績が良くなければ解雇させられてしまいます。

「地位」「業務内容」「賃金」・・・この三本柱のバランスが崩れているのが日本の社会です。
そんなアンバランスな中で、高い水準の品質・売上を確保しなければいけません。
ちゃんとした環境が保てないトップが、その責任を放棄して、部下へ向かって業績アップを強要する・・・そんな事が当たり前になっているのです。

こうなりますと、会社の業績が悪化している中なので、会社に改善を期待などせず、自分自身で工夫するしかありません。
人によって、同じ会社内でも仕事が違いますから、一つの方法で全員を統一するよりも、各人で工夫していく方がいいのかもしれません。
それで無理ならば、退職するのも手です。
転職活動で面接を受ける際、前の職場を辞めた理由を聞かれるでしょうが、それならばマイナス評価にはならないでしょう。

権利と義務というのは、国の法律だけの話しではなく、企業という小さい単位でも存在します。
当然、わがままな主張は双方にとってメリットは無いのですが、出来ない事は出来ないと言った方が良いのは確かです。
我々よりも年配の人たちならば、「辛抱が足りない」と言うかもしれませんが、過酷過ぎる環境の中で、それなりの報酬が見返りとしてない場合、誰もついてはきません。
それに、ちゃんとした業務に関する教育も受けず、いきなり実戦投入されたって、高成績を出せる人は稀です。
いきなりガンダムを操縦し、ザクを倒したアムロじゃないのですから。

派遣やパートの割合が高くなっているのは、労働者を使い捨て感覚になってきている現れでもあります。
正社員として雇うと、企業が国等へ支払う負担額も相当なものになるのが理由です。
若い人たちの雇用に対して、まるで「使い捨て世代」として扱っている企業が多く見受けられます。
そのお陰で、技術の伝承という部分が出来なくなっています。

日本電産の永守重信社長は23日、記者会見で「社員全員が休日返上で働く企業だから成長できるし給料も上がる。たっぷり休んで、結果的に会社が傾いて人員整理するのでは意味がない」と持論を展開。
10年間で売上高が6倍超という成長の原動力が社員の「ハードワーク」にあることを強調しました。
実際に営業利益が768億円で過去最高でした。
今後も積極的な買収戦略を進め、10年度に売上高1兆円、15年度に2兆円に押し上げる青写真も披露。
「成長しているからこそ休みが無くても優秀な技術者がどんどん転職してきてくれている」と現路線に自信をみせました。

そういう発言に対してネット上では、相当な批判があがっています。
持論は持論として持っていても良いですが、それを公の部分で言ってはマズイでしょう。
この企業に勤めている社員の本音を聞いてみたいところです。

働く環境の悪化は、うつ病以外にも会社員に様々な影響を及ぼします。
アルコール中毒、メタボリックもその一つです。
家庭の不和もそうでしょう。

会社から長時間労働を強要されるような環境ならば、様々な手段で対抗することも考えられましょう。
しかし、もしあなたが「収入を増やしたい為。現状の生活レベルを維持いる為」という目的ならば、その考えはやめた方がいいです。
それならば、自分の収入に見合った慎ましい生活へ改善する方が得策だからです。

賃金の不相応が問題になっています。
介護関係は特に顕著です。
新潟の介護系の専門学校は今年、学生を募集したけれども、定員を大きく下回りました。
卒業して介護系の就職ができても、過酷な労働と低賃金だと実態を知ってしまったからです。

労働者にとって魅力のある企業というのは、人によって基準は違うでしょう。
しかし、こんな歪んだ労働環境が当たり前になっている昨今、誰もが魅力を感じる企業は少ないです。
まあ、それだけ魅力があれば、入社するのに競争倍率も高そうですが・・・。

歪んだ環境に対して、自分の心まで歪ませる必要はありません。
仕事を離れたところで、自分を取り戻せる環境も作っていきましょう。

Posted by kanzaki at 2008年04月26日 07:24