2008年05月23日

定年退職後の人生を考える〜工藤 宇一(くどう ういち)さんの場合

定年退職・・・・自分自身が体験するには、まだまだ先のお話しです。
しかし最近、学生時代に比べ、一年が過ぎるのがとても早く感じます。
学生時代の頃の記憶も断片的に忘れ始め、それどころか入社当時の事ですら、だいぶ記憶が薄らぎ始めました。
まあ、大した人生を歩んだとは思えませんので、記憶として蘇らせるほどの内容でもないのかもしれません。
過去は過去。
蓄積した知識と資産は有効活用し、蓄積したゴミはとっとと捨ててしまいましょう。
修正の効かない過去を振り返るより、これからをどうするのかを考えた方が、非常に建設的です。

定年後の事を知りたいのならば、既に定年を迎えている人に聞くのが一番。
「投資&IRマガジン ジャパニーズインベスター」の最新号No.57にて、それに相応しい人が紹介されていました。

●「ジャパニーズインベスター」公式サイト
http://www.104ka.net/

その相応しい人とは、工藤 宇一 (くどう ういち)さんです。

●[定年後の楽しみ方]All About
http://allabout.co.jp/family/teinen/

●工藤 宇一さんのホームページ「Going my Way」
http://members3.jcom.home.ne.jp/myownway/

工藤 宇一(くどう ういち)さんとは、1999年に定年を迎えて以来、定年後の楽しみ方について情報を提供し続けている人。
大手メーカーの技術職だった工藤さん。
定年退職後は毎年、気の向くままに新しいことに挑戦をしているそうです。
料理屋、ワイン、ヨーロッパ自転車旅行、旧東海道の区切り歩き、トランプゲーム等。

定年前は全くの無趣味だった工藤さんが、いかに生き方が変わったかをご紹介します。

しかし、明るい未来の前に、まず考えねばならないのが「お金」のことです。
当然、定年後は収入が減ります。
お金を使い切るには、自分が何歳まで生きられるかがポイント。
平均寿命の83歳から余命を考え、その間にお金を使おうと考えました。
前半の70歳までと後半とで2:1くらいで使えたらよいという結論に至りました。

年金の手続き等を済ませると、今度は「定年後をいかに過ごすか」が気になり始めました。
もともと食べることと飲むことが好きだったので、定年3年前から料理教室に通い始めました。
花嫁修業の女性の中で異色の生徒でした。
その後平行して、ワイン教室にも通い、世代を超えた交流を楽しむことが出来たそうです。
工藤さん曰く、「定年後に何かを始める際は、その場所で自分の居場所を作ることが大事」だそうです。
工藤さんは、通った教室でそれ(自分の居場所)を見つける事が出来て、定年後の良い予行演習になったそうです。

定年を迎えて最初の挑戦は、四国88か所お遍路巡り。
とても贅沢な時間を過ごせたとか。

定年5年目には、「夫婦フランス自転車旅行」にチャレンジしました。
なんかこの流れ、「水曜どうでしょう」に近いものがあるなあ・・・。
藤村プロデューサーが、画面の外から話しかけてきそうだ。
全くの素人でしたが、海外を走るという目標に向けて、自己流で学んだそうです。
そして、サークル、イベントに参加したりして実力をつけていきます。
一人で行くつもりだったのですが、奥さんが「心配だからついていく」という一言で、二人旅になりました。

大手メーカーの技術職だっただけあり、機械を扱うのはお手の物。
初の海外自転車旅行の成功要因は、IT機器を駆使したことです。
GPS機能の付いている自転車用ハンディカーナビ(ガーミンかな?)、パソコン、携帯電話を使ったそうです。
事前に調べたルートをパソコンに入れておくと、カーナビが矢印で方向を示してくれるのだそうです。

定年8年目には、ドイツ・オーストリアを自転車で走りました。
この時は、レンタルサイクルとホテルがセットのパック旅行。
おかげで、重い自転車の持ち運びをしなくて済み、オペラ観賞用のスーツを持っていくことが出来ました。
ドイツでは、自転車人口のシニアの割合が高く、そういう人達を見て、「人生の楽しみ方を知っているな」と感じたそうです。

定年後にはじめたものの中には、上手くいかなかったものもあったそうです。
でも失敗をなんとも思わない。
定年後は、一つのバリアを越えると、どんどん壁を越えられ、活躍の場がどんどん広がったそうです。
最初のバリアを越えられないが為、すべての壁を越えられない人がいるけれど、たとえ失敗しても大したことではない。
「やりたい」と思ったら、頭で考えずにまずやってみる。
工藤さんは、知らないことに挑戦したり調べたりするのが好きだそうで、そういう事から言いますと、好奇心は大切なのかもしれません。

定年前から事前に少しずつ調べ、予行演習をしていたのも成功の秘訣でしょう。
オリジナルの人生を謳歌する姿は素敵です。

なかなかアクティブな老後ですね。
確かに、雑誌で取材を受けるだけの事はあります。

でも、誰にも真似出来ない話しという訳ではありません。
ちゃんと事前準備をして、知識なり体力を身につけてから挑んでいるから成功しているのであって、他の人にだってやろうと思えば可能なところがミソですね。
だから共感を得られるのです。

色々と試行錯誤してやるからこそ、自分らしい生き方になるのでしょう。
でも、工藤さんの記事を見て不安になった事があります。
工藤さんがやっている事というのは、我々会社員の休日の過ごし方のスケールアップ版。
「毎日が日曜日」の状態です。

私も色々と趣味的なことに手を出して楽しんでいます。
この神ナナもそう。
仕事とかお金儲けとは全く関係ありません。

そんな、仕事やお金儲けと関係の無い事をやる原動力は、「仕事やお金儲け」に対するアンチテーゼだからです。
拘束され、無理強いをさせられ、必ずしも自分の思い通りに出来ないのが「仕事」。
そういうものから、休日とか余暇に、少しでも脱却したが為にやっている節があります。

もし今、自分が仕事を辞め、収入がぱったりと途絶えてしまったら、果たして神ナナの更新や、自転車での旅をやり続けるでしょうか?
否、仕事を全くしなくてもお金が手元に入ってくるような環境だったとしても、それら趣味的な事を継続できるのか自信がありません。
何せ、アンチテーゼなのですから。

定年を迎えたら、考えも変わるのかもしれません。
しかし今は、仕事があるから趣味をやり、趣味があるから仕事をやるという感じです。
どちらにも一長一短があり、どちらか一辺倒では駄目で、バランスを保っているから生活できているのかなあと感じます。
極端なパラメーターの振り分けは、やはり無理があると思うのです。

そういう考えだからでしょうか、工藤さんのインタビューを読んでいますと、私は定年退職してから何十年もの間、趣味をやるだけの人生では精神的に続かないのではないかと考えてしまうのです。

私は多分・・・多分なのですが、仕事をしている間は色んな趣味に没頭していますが、おそらく定年退職後は趣味に時間をあまりかけないように思います。
趣味で人と繋がるのではなく、ボランティアや仕事という形で人と繋がっていたいですね。
できれば、自分の知識を若い人達へ指導できるようなものがいい。
もしくは、もっと仕事のスキルを上げ、手に職("脳に職"でも可)を身に付け、一生現役で働くのもいい。
ボランティアにせよ、一生現役で働くにせよ、どちらも社会に対して貢献・生産し続けるところが魅力的です。

定年退職は、あくまでも一つの会社を辞める一区切りと考え、次の仕事へのステップだと考えたいです。
これからの老人は、昔には考えられないほどアクティブになると思います。
趣味でアクティブに生きる人の人生を否定するつもりはありませんが、私はやはり仕事の中で充実感を得たいです。

果たしてどんな定年を迎えるのでしょうかねえ。
まあ、そもそも、今の仕事を定年まで続けるのか疑問ですが(お

Posted by kanzaki at 2008年05月23日 23:56