2008年05月31日

「プリントゴッコ」出荷終了へ(理想科学)

●「プリントゴッコ」出荷終了へ 理想科学
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080530AT3K3000A30052008.html

理想科学工業は30日、家庭用簡易印刷機の「プリントゴッコ」本体と、消耗品を加えたセット商品4品目の出荷を6月末で終了すると発表した。インクや製版の際に必要となるランプなどの消耗品は販売を当面継続する。
プリントゴッコは1977年に最初の製品が発売され、累計約1050万台を販売した同社の代表的商品。販売台数がピークだった1987年には年間72万台を売った。手作り感のある年賀状などを簡単に印刷できると根強い人気があるが、パソコンや家庭用インクジェットプリンターの普及で、近年は売り上げが大幅に減少していた。

●理想科学工業
http://www.riso.co.jp/

●RISO:ニュースリリース:2008年5月30日号
プリントゴッコ本体販売終了のお知らせ
http://www.riso.co.jp/release/20080530.html

理想科学工業株式会社(社長:羽山 明)は、プリントゴッコ本体のメーカー販売を終了いたします。
 プリントゴッコは昭和52年(1977年)に発売され、以来31年の長きにわたり家庭用のコミュニケーションツールとして多くのお客様に年賀状印刷や布印刷などに広くご愛用いただいて参りました。しかしながら90年代後半からのパーソナルコンピューターやインクジェットプリンターの家庭への急速な普及など市場環境の変化を受け、近年プリントゴッコの需要は著しく減少しておりました。
 このような背景の下、当社は慎重に検討を重ねた結果プリントゴッコ本体の販売を終了することといたしました。
 なお、ランプ・インク・マスターなどの関連消耗品につきましては当面販売を継続いたします。

●プリントゴッコワールド
http://www.riso.co.jp/pg/index_top.html

●プリントゴッコ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%88%E3%82%B4%E3%83%83%E3%82%B3

プリントゴッコ、懐かしいですねえ。
懐かしいという言葉が出てくるぐらいの商品ですから、ある意味、21世紀の現在まで継続販売していた事自体が驚きです。

小さい頃、年賀状は手書きか、児童雑誌の付録についてきたスタンプを押していました。
しかし、年賀状を大量生産するには面倒なので、プリンゴッコを買ってもらいました。
年賀状の作成が楽になるだけではなく、原稿をフラッシュランプの熱で熱転写する時が楽しかったです。
あの、ピカッ!と光るのは、幼心には一大イベントでした。
そして、光った後のランプの匂いと、くすぶった音は今でも記憶に残っています。

今じゃパソコンとプリンタでの印刷が当たり前となり、販売終了となりました。
6月末で出荷終了だそうですが、年末で終了すればいいのにね。
そうすれば年賀状作成シーズンですし、販売終了を知った人達の駆け込み需要があったかもしれないのに。

まあ理想科学工業としては、リソグラフ(業務用の輪転印刷機(りんてんいんさつき))等が本業ですし、プリントゴッコはあくまでも「ゴッコ」だったという事でしょうかね。

こういう一つの用途に特化した家庭用製品というのは、オールラウンドで使用できる機械によって淘汰される運命です。
例えば、ワープロ。
私はワープロをリアルタイムで使用していた世代なので、キーボードの文字入力のデフォルトが平仮名入力だったりします。
確かに文章作成・保存・プリントならば、パソコンとソフト、周辺機器で事足りますし、応用性も高いですものね。

音楽や写真、動画なんかの利用方法の変化も、パソコンの影響が大きいですよね。
パソコンだけでそれらを活用できるようになった今、専用機器をスタンドアローンな商品として販売するのではなく、パソコンとの連携を前提にした商品が主流となっています。
そういう付加価値を付けなければ生き残れない時代なのでしょう。
しかし便利になった分、操作が複雑になったのは事実。
そんな中「iPod」は、パソコンを使うことを前提とした音楽プレーヤーなのに、ここまで一般に普及したのは驚きです。
発売当初は、ヲタ向けグッズだったのですが、女性雑誌とのコラボによって、ヲタ臭を払拭できたのが成功の要因です。

そういや携帯電話も多機能化したおかげで、色んな専用機器が淘汰されましたね。
更には、毎月の通信費維持の為、他の用途へのお金の支出がシビアになりました。

プリントゴッコもパソコンの周辺機器として、「プリントゴッコjet」が発売されました。
小型スキャナ、メモリーカードリーダ、インクジェットプリンタ、液晶画面を内蔵したものですが、プリントゴッコならではの良さを失い、スキャナを備えたインクジェット複合機の登場によって、こちらも消滅。

プリントゴッコと同じような立ち位置にあるものとして、ラベルプリンター(ラベルライター)があります。

●ラベルプリンター - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%BC

KING JIMの「テプラ」が有名です。
家庭用はやはり下火ですが、業務用の「テプラPRO」シリーズは健在です。
従来からあるスタンドアローン型や、パソコンの周辺機器型などがあります。
会社の書類を綴ったファイルの表紙、背表紙にタイトルを入れるのに、やはりラベルプリンターは便利です。
私自身、会社で重宝しています。
業務用に特化したのが生き残った要因でしょうかね。

プリントゴッコのような、手作り感が演出できる商品は素晴らしいと思います。
しかし、時代がその商品を風化させました。
手間を惜しんで作業をするのを楽しめる商品というのは、今後も減っていくでしょうね。
唯一元気なのは、一眼デジタルカメラでしょうか。

次に淘汰される商品は何でしょうかね。
ガソリンの高騰や価値観の変化から、自動車を買わず、公共機関で事足りる人も増えてきました。
もし、ガソリンがリッター200円になったら、いくら地方在住でも、手放す人が続出するでしょう。
流通業界も倒産ラッシュになるでしょう。

放映されている内容の質の低下・価値観の変化から、テレビを見ない人も増えてきました。
そして、地デジへの移行に積極的でない人も多いです。
せいぜい、携帯電話等のワンセグで十分という人もいます。
もし、地デジ用機器を導入しない家庭が多いと、2011年には、テレビ・広告業界には大打撃となるでしょう。

そういや、青年コミック誌「週刊 ヤングサンデー」の休刊が正式に発表されました。
これも淘汰の一つでしょう。
私は「1ポンドの福音」、「冬物語」の世代です。
そういや私自身、漫画を読まなくなりました。
コミックも買っていません。
せいぜい、医者へ行った際に待合室で、ビッグコミックスピリッツの「上京アフロ田中(のりつけ雅春)」だけ読んでいます。
あの漫画、特にストーリーがある訳ではないのですが、現代人を的確かつ面白く描いていますよね。
大好きです。

パソコン雑誌の多くが廃刊に追い込まれた理由が、パソコンとインターネットの普及というのは、なんとも皮肉な話しです。

淘汰というのは、洗練されていく為の過程なのでしょうが、この先、この日本で、何が生き残るのでしょうか。
実は、日本そのものが淘汰されたりして・・・。

Posted by kanzaki at 2008年05月31日 14:19