今月1日の日曜日は「映画の日」でした。
母を連れて「おくりびと」を観にいきました。
当日はたいへん混んでおり、やはり年配の方々が多かったですね。
「おくりびと」は重く深刻な展開ではありません。
私の中では、「ウォーターボーイズ」「スイングガールズ」と同列の作り方だと感じました。
これらの作品同様、ひょんなことから、主人公が普通だったら取り組まないであろうジャンルへ飛び込み、その中で生きがいを見つけていくストーリー。
後日談のような余計なものを入れていないところも似ていますね。
笑いの連続で、そして最後にウルッとさせる、誰もが映画館を出て行くとき、とても幸せな笑顔を作ることができる作品でした。
「死」をこれほど柔らかく救いのある作風にしたのは、本当に素晴らしい。
親を連れて行って良かったと思います。
行きはバス、帰りは徒歩で移動したのですが、道中、他愛無い内容ではありますが、なんだか穏やかに話せたような気がします。
少子高齢化時代になり、誰もが「死」というものを気になり始めています。
無視したところで、絶対に避けることはできませんから。
けれどやはり、「死」というものを取り扱うのは非常にデリケートです。
なかなかメディアに出てきません。
今回の記事のタイトルであるエンディングノート(エンディング・ノート)とは、自分に万が一の事が起こった時のため、伝えたい様々な内容をまとめてノート形式で記入しておくものです。
認知症になったり、突然の死を迎えたりしたとき、財産をどう処分し葬儀をどのようにしてもらうのか等、あらかじめ考えておくきっかけになればと、大阪府豊中市が独自のエンディング・ノート「老いじたく〜ほっと覚書〜」という冊子を作成しました。
冊子は8ページで、書き込む内容は次の通りです。
・緊急連絡先
・家族との思い出
・自分自身の記録(好きだった先生や友達、印象に残る出来事、これからどんな風に過ごしたいか等)
・病名の告知、延命治療の可否
・介護場所(自宅か施設か等)
・介護費用(預貯金や年金の範囲内か、財産を処分しても工面するか等)
・訃報を知らせて欲しい人
・葬儀をする場所や規模の希望
・献体の希望
・預貯金や保険のリスト
・家族や友人、知人らへのメッセージ
小さくてほんの数ページの冊子なのに、内容はとても重いですね。
この冊子を作ったのは豊中市の公的支援窓口「中央地域包括支援センターほっと」です。
このセンターでは、認知症になったり、ひっそりと死を迎えたりした人と向き合ってきました。
センターの人は火葬場にて、身寄りが見つからない人の骨を拾うこともあります。
その隣で、涙を流す大勢の遺族に見送られる人を見た時、いろいろと思ったそうです。
また、恩給や年金で月に30万円程度の収入があるのに、使うすべも分からず風呂の無い部屋で暮らす認知症の高齢者と出会うこともあるそうです。
その度に「どのように見送られたいか、老後をどう過ごしたいのか、本人には考えもあったのではないか」と思い悩んだそうです。
そんな中、健康であるうちに自分の意思を書き留めておく「エンディング・ノート」という考えを知り、独自に冊子を作ることにしました。
市販されている本等を参考にして、「更新も出来て、構えず書けるように」とページ数を抑えて簡易なものにと工夫し、昨年1月に完成しました。
昨年11月にエンディング・ノートをテーマにした講演会を市内で開いたところ、50人の予想に反して、なんと1,200人の市民が集まったそうです。
やはり関心のある内容なのですね。
この冊子を欲しい人はセンターへ問い合わせてください。
●豊中市役所第2庁舎1階
・TEL 06-6858-3034
認知症になったり、突然の死を迎えたりしたとき、いきなりこのようなエンディング・ノートを書こうと思っても書けませんよね。
短時間で書ける内容ではありませんし、生きていればどんどん考えも内容も変わってきますから、事前に準備すべきものなのでしょうね。
そしてこれは、年配になってからではなく、私達若い世代にも必用かもしれませんよ。
なにせ健康体だったとしても、突然、交通事故で他界する可能性だってあるのですから。
私は株式の取り扱いをする関係から、相続などの件にも立ち入ることがあります。
相続人・遺族の方々から、「突然死んだものだから、何(財産)を持っていて、どこに保管してあるのかさっぱり分からず大変でした」という言葉をしょっちゅう聞きます。
皆さん、本当に大変だったようです。
エンディング・ノートは、自分の死後の事を書くというスタンスだけではなく、「自分の人生の棚卸し」と捉えても良いかもしれません。
案外、自分の生きてきた略歴、財産その他を完璧に把握している人はいません。
自分が今後、どのように生きていくかを考えるには、過去の自分の生き方を振り返って模索するのが一番だと思います。
皆さんも、エンディング・ノートを書いてみてはいかがでしょうか。
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