2009年04月30日

なぜ無印良品の業務マニュアルは1683ページなのか?

雑誌「PRESIDENT」に、「なぜ無印良品の業務マニュアルは1683ページなのか?」という記事がありました。

「無印良品」の各店舗には「MUJIGRAM」と呼ばれる業務マニュアルが常備されています。
この「MUJIGRAM」は全13分冊、合計1,683ページにも及ぶものなのです!

マニュアルの内容は、店舗におけるほぼ全ての業務を網羅しています。
「売り場に立つ前に」から始まり、「店内業務」「売り場作り」等の通常業務、さらには「労務管理」「危機管理」のようなマネジメント系にまで及びます。

ほぼ全ての事が書いてあるマニュアルは飾りじゃありません。
日常業務で自然に活用され、無くてはならないものだそうです。
また、店長不在時の判断材料や、未経験の業務に携わる際の心強いバイブルとしても活用されています。

無印良品は、2000年度に売り上げが前年割れをおこしました。
1995年の上場以来初の現益決算。
そんな中、松井忠三さん(現会長)が社長になりました。
業績はV字回復となり、2年で増収増益に転じました。
松井社長の行った改革の要点は、全業務の「見える化」による「仕組み化」でした。
これが後に「MUJIGRAM」へ繋がります。

例えば、商品の生産過程や発注数量などの情報は、「MD」と呼ばれる担当者の頭の中だけにありました。
そのため、情報が社内で共有されず、本人が退職すればゼロから業務設計を始めなければなりませんでした。

また、過度な発注が行われても、本人以外に誰もそれをマネジメントできません。
仕組み不在の個人プレーによる弊害が、急成長の影でじょじょに広がっていたのです。

松井社長はそれら業務をひとつひとつ見える化し、仕組み化してドキュメントへ落とし込んでいきました。
情報やスキルの共有化。
それによって仕事のムダやムラの発生が大幅に抑えられ、収益構造の改善に繋がりました。

「MUJIGRAM」も、店舗における業務スキルの共有化、標準化を目的に作成されました。
業績回復後の2003年に「業務基準書」が作成され、その後必要に応じてジャンルを広げていき、現在の13分冊になったのは昨年2008年のことでした。

内容は、「新人でもわかる記述」をキーポイントに構成されています。
図や写真、書類の記入例なども詳しく掲載され、一項目あたりのページ数が一般的マニュアルに比べて多いのが特徴。
1,683ページもの分量になった理由はそこにあります。

無印良品といいますと、高い感性にお客が魅力を感じています。
高感性なビジネスをより効果的に展開するためには、下支えする仕組みや作業の標準化が必要です。
この分厚い業務マニュアルは、無印良品の改革を支える仕組みの堅固さをあらわしていると言えましょう。

この不況下、アホなトップほど「思いつきの新しい政策」を始めます。
そして最も最悪なのは、「お客ではなく、従業員からお金を搾取するビジネス」です。
単純な賃下げは元より、従業員へ無理やりな社内販売の押し付け。
貧困ビジネス」が問題になっている昨今ですが、こういった「従業員にご協力いただく」のではなく、「従業員から搾取する」事を収益の一部にしているのが当たり前になっているのが日本の風土です。
外部よりも内部の者へ売りつける方が楽ですからね。

「思いつきの政策」を進めるより、現在の業務がどうして駄目だったかを検討する方に時間を費やす方が効果的です。

検討するには複数の人によって検討をしなければいけません。
そのためには、検討するたたき台が必要。
こんな時、ちゃんと業務マニュアルがあるか無いかで、検討の時間と質に大きな違いが出てきます。
目に見えるからこそ、第三者の冷静な視線で検討が出来ますしね。

実は私自身も最近、業務マニュアルを作成しています。
理由は、「あまりにも特殊すぎる業務」を「一人で行っている」からです。
仮に私が明日、交通事故で死んだとします。
そうしたら、私が抱えていた業務を誰もやることが出来ません。
別に過信している訳じゃありません。
前任者の頃から相当な年月が経っており、業務のやり方も変化し、新しく始めたことも多々あります。
自分の頭にはマニュアルがあるのですが、「見える化」はされていません。
それに、本当に今やっているやり方が正しいのか分からなくなる事もあり、不安を感じています。
その為、マニュアルを作成しはじめました。
作っていると、非常にめんどくさく感じる事もしばしば。
逆に言いますと、めんどくさく感じるような業務方法をやってきたと言うことになります。
これはいけません。
あくまでも私はサラリーマンであり、フリーランスでもアーティストでもないのですから。
いろんな事情で自分が仕事を出来なくなっても、会社はそれ以降も動き続けるのです。
それを滞らせるのは、サラリーマンとしては失格です。
まだまだ時間はかかりそうですが、必ずやマニュアルを完成させたいと思います。

MUJIGRAM01.JPG

Posted by kanzaki at 2009年04月30日 22:37