2009年06月17日

貧困肥満〜下流ほど太る新階級社会〜「海草格差」

貧困肥満〜下流ほど太る新階級社会〜(扶桑社新書)
著者: 三浦展
出版社/メーカー: 扶桑社
発売日: 2009/02/27
版型: 新書判
定価: 777円(税込)
発売日: 2009年2月28日
ISBN 978-4-594-05874-6


階層意識が低い人ほど太っていて、
高い人ほど痩せている?
一億総中流の時代の終焉を断言した著者三浦展が、独自の統計データをもとに、「体形格差社会」の到来に鋭く言及した、単行本『下流は太る!』を新訂改題新書化!


著者プロフィール:三浦 展
1958年、新潟県生まれ。
消費社会研究家、マーケティングアナリスト。
一橋大学社会学部卒業後、パルコ入社。
マーケティング情報誌『アクロス』編集長を経て三菱総合研究所入社。
1999年、消費・都市・文化研究シンクタンク「カルチャースタディーズ研究所」設立。
マーケティング活動を行うかたわら、家族、消費、階層、都市問題などを研究。
社会学、家族論、青少年論、都市計画論など各方面から注目されている。
近著に『非モテ!男性受難の時代』(文春新書)、『女はなぜキャバクラ嬢になりたいのか』(光文社新書)、『下流大学が日本を滅ぼす!』(ベスト新書)など


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雑誌「PRESIDENT」にて、「貧困肥満〜下流ほど太る新階級社会〜」に関する著者のインタビュー記事が書かれていました。

「貧乏人は食うものも食えないから骨と皮だけ」というのは昔の話し。
いまは所得の低い人ほど肥満しているそうです。
日本も世界的な経済危機の影響を受け、階層格差が広がっています。
それに伴い、下流の体重も増加の一途を辿っているとか。

なぜ下流ほど太るのか。
原因として考えられるのは、ファーストフードやコンビニ食などの食べ物には原価を安く抑えるため、安いパーム油や高果糖コーンシロップという甘味料が使われているのですが、これが肥満を誘発するからです。

著者の三浦 展さんは、下流の人たちは働くことだけではなく、「生きること」への意欲が低いと考えています。
一言で言うと「面倒くさがり」。
だから運動も嫌いだし、自分で料理をしなくてすむインスタントやレトルト食品をよく食べます。
三浦さんの調査によると、彼らはおにぎりやスナック菓子など、インターネットやゲームをしながら片手で食べられるようなものを好むとか。
つまり、箸やフォークのような道具を使うことすら、面倒くさいのです。

今の社会は、人任せにする部分が多ければ多いほど太ります。
歩かないでクルマに乗るとか、自分で料理せずに出来合いのものを食べていると、どんどん太っていく。
下流に転落するのが嫌ならば、自分で手を動かして、手間暇かけた生活をすることです。

下流の人達が好む食物は、食品として原型をとどめていないものが多いです。
例えば、冷凍のハンバーグやギョーザなどです。
しかし自分で肉や野菜など食品の原型を買ってきてハンバーグを作れば、怪しげな添加物が入るスキはありません。
それを人任せにしていると、安い材料でも味にコクを出すことができる人工甘味料や油のたっぷり入ったハイカロリーのハンバーグを食べることになります。

勉強の好き嫌いと食生活にはかなり相関があるそうです。
特に女性に顕著に表れます。
勉強の嫌いな女性は「よく食べるものは何ですか?」という問いに対して、「カップめん」「ハンバーガー」「フライドポテト」などと答えます。
ところが勉強好きな女性は、「野菜」「豆腐」「果物」「納豆」「海草」等をあげます。
これこそ、「階層格差」ならぬ「海草格差」なのです。

三浦さんはこの事に気づた一年ほど前から、なるべく原型をとどめた食品を食べ、ダイエットをするようになったそうです。
新潟出身のせいか煎餅や柿の種などの米菓が好きだそうですが、間食は一切やめました。
その代わり、茹でたジャガイモをつぶして油で揚げたスナック菓子風のものを作って食べているそうです。
カロリーも100キロカロリー程度ですし、満腹感もあり、実際にダイエットに成功したそうです。

人によっては「いちいちジャガイモを茹でる暇なんてない」と反論する人もいるでしょうが、この不況で仕事が減ってはいないでしょうか?
残業が減れば収入が少なくなるけれど、自由に使える時間は増えます。
そんな時こそ、下流太りから脱出のチャンスです。

「弁当男子」がもてはやされている昨今ですが、メタボ父さんも台所へ立ってみてはどうでしょうか。
コーヒーだって、一缶あたりスティックシュガー7本分の糖分が入っている缶コーヒーを飲むより、100グラム3,000円の豆をひいて25回味わうコーヒーの方がどれだけうまいか。
1回当たり120円だから、金銭的には変わりません。

不況をメタボ脱出の好材料と考え、いろいろと取り組んでみてはいかが? というのが著者の意見です。


著者のインタビュー内容は上記の通りでした。
私が気になったのは、「人任せにせず、自分で行うこと」です。
これは確かにその通りだと思います。
今は便利になりすぎて、お金さえあれば自分でやらなくてもいい事がたくさんありすぎです。
しかしそれは、色んな事を経験したり、技能を身につけるチャンスを自ら失っていると思います。

著者が新潟の人だから新潟らしい話しでいいますと、マイカーのタイヤ交換。
秋から冬、冬から春の二回、ノーマルタイヤとスタッドレスタイヤの交換を行います。
ガソリンスタンドでやってもらうと、下手すると1本1,000円。
4本あるから4,000円もとられてしまう事があります。
ディーラーでタイヤ交換をしてもらっても1本600円します。
4本で2,400円。それを年二回です。
以前、私はディーラーでいつもやってもらっていました。
しかしこの不況です。
少しでも節約をしなければいけないと思い、自分でやることにしました。
何回かやっているうちに、大して面倒な作業でない事に気付きました。
お金もかからないし、技術も身につきました。
不況のおかげで、自分の経験値が上がったのは良かったと思っています。

趣味的なもので言えば写真。
今までだったら、人の撮影した写真を見て感動を味わっていたのですが、自分で撮影している方がもっと色んな事に感動を味わえました。
人任せではなく自分の足で移動し、自分の目で色んなところへ視線を配り、いろんなモノに気付く。
自分の住んでいる街なのに、見過ごしていた事が沢山あったことに気付きました。
自分でやったからこそ分かったことです。

仕事でもそう。
面倒なことで、できれば避けたい事なんて幾らでもあります。
しかし、自分で調べたり聞いたりして考えを深め、作業をしていると、どんどんスキルが上がりますし、いつしかその仕事に無くてはならない人になります。
誰でも替えがきくような人物では悲しいじゃありませんか。
せっかく就いた仕事です。
他人に負けない能力を見につける事は、本人の自信にもつながりますよ。

いつまでも逃げてばかりいては駄目。
立ち止まって振り返り、辛くても何とかやりこなしてみようと思った瞬間、あなたは既に下流ではないと思います。

Posted by kanzaki at 2009年06月17日 23:24