2009年07月27日

「大数の法則」とは

生命保険料の算出根拠には幾つかの法則があります。
その中のひとつ「大数の法則」についてお話しをします。

「大数の法則」とは、個々の事象は偶然起きることであっても、事象を数多く集めるほど、その確率は一定の数字に近づいていく、という法則です。

一番分かりやすい例えはサイコロです。
サイコロを振る回数が少ないと、どれかの目に偏ってしまう可能性があります。
しかし、可能な限りたくさん振ってみれば、どの目が出る確率も6分の1に近づくのです。

30歳の男性が亡くなる確率というのは、普通ならばあまりあり得ません。
しかし病気や事故などによって、ある一定の確率で起こりえる事なのです。
例えそれが、その人にとっては偶然だったとしても、30歳の男性に関して可能な限り調査すると、一定の確率として数値が出てきます。

保険会社は、癌にかかる可能性は何歳だと何パーセントなのか等を調べて、それを基に保険料を決めます。
保険会社はたくさんの契約者を扱うのですから、「大数の法則」が活かしやすい業種ですよね。

この「大数の法則」というのは、我々の普段の生活や仕事にも当てはまることです。
これを頭の中に入れておくと、トラブルが起きた時に冷静に対処できるのではないかと思うのです。

例えば、「業務上の事故を0にしよう」とスローガンを掲げても、「大数の法則」から考えれば、たとえ偶発的に起きたトラブルであっても、それが起こる可能性はゼロじゃないという事。
ゼロにならないのは、必ずそういう事象が起きてしまう理由があるからです。
その理由を消し去らない限りゼロにはなりません。

確率をゼロにする方法は昔だと、声の大きい権力のある人が、「絶対に事故を起こすな!!」と喚きちらし、精神論でゼロにしようとしていました。
事故を起こした人に怒鳴り散らし、起こさない周りの人も萎縮させる。
しかし怒鳴ったところで、その確率を減らす法則になんら貢献しません。

それよりも現代は、「このような場合、事故の起きる確率は何パーセント」だと理論的にはじき出し、その確率を減らすのに障害となる原因の究明・解決、事故が起きた際に最小限に食い止めるワークフロー等を会社全体で共有すべきなのです。

スローガンを打ち出し、事務所内に喚起のポスターを貼った事により、確率に多少は変動があるかもしれません。
それによって意識を芽生えさせますから。
しかし業務改善によってルールを変えない限り、確率を大きく変えることはありません。

いろんなところで人はミスをします。
それぞれ理由はあるでしょうが、それは確率的にはゼロじゃないのだと思うのが良いのではないかと思うのです。
ミスをした事により、自分自身を精神的に追い詰めて廃人になったとしても、それを会社はリカバリしてくれません。
自分の心と身体は自分で守らなければいけません。
会社は組織なのですから、あなた一人でその責任を背負い込む必用は無いのです。

精神的にタフになると言うのは、何も鈍感になるという事ではありません。
世の中の事象には必ず法則があるという事を知り、広い視点から観察する事だと思うのです。
そうすれば、解決も早いですし、精神的に押しつぶされる事もありません。
人は経験の中でそれらを知っていくものですが、むしろ積極的にそういう法則を理論的に学んでおくのが良いのではないかと私は思います。

daisyo01.JPG

そのくぐり抜けた先に見えるものは・・・。
こんな景色、どこかで見たと思ったら、NHKドラマ「ちりとてちん」でした。
主人公が迷子になった際、このような場所をくぐり抜け、その先に師匠の家を見つけたのでした。
このくぐり抜けが、落語家への道しるべとなっており、非常に印象的でした。
上記の写真は、金沢の兼六園内で撮影したもの。
高さは大人一人分ぐらいの低さなんですよ。

Posted by kanzaki at 2009年07月27日 22:16