2009年08月26日

敗者のいない決勝戦〜ありがとう日本文理

し、仕事が終わらないorz
一段落しかけると、また別の波がやってきて、いい加減休まる気配がありません。
だから達成感とか感じる事も無いし、延々と続くだけ。
仕事の進み具合も昨年より悪くなっています。
そりゃそうだ、幾つも同時にやっていれば進むわけが無い。
いい加減、積み上げていくばかりの仕事のスタイルを根底から崩さないと駄目でしょう。

そんな嫌な毎日を過ごしている私ですが、唯一笑顔を作ることができたのが第91回夏の甲子園大会決勝戦です。
名門・中京大中京に対して決勝戦初となる新潟の日本文理。

日本文理が見せた「19分の奇跡」は凄かった。
9回2アウト、ランナー無しの状態から5点も追い上げたのですからね。

平日の昼間でしたが、地元の高校の試合という事で、事務所内のテレビを映していました。
勿論、音量はゼロです。
しかし9回の猛攻に、じょじょに皆がテレビの前へ集まりだし、いつの間にやらテレビのボリュームも上げられていました。

あの追い上げのシーンを見ていて、「まるで野球漫画みたい」と感じるほどです。
「劇場版ROOKIES」も同じような展開でした。
だから余計に、現実なのに漫画や映画みたいに感じました。
日本文理のピッチャー伊藤直輝くんは、投げるのも打つのも見事で、まさにROOKIESの安仁屋(市原隼人さん)ですね。

さらに脅威の粘りで1点差にまで持ち込み、打者がカキーンといい音を響かせて打った球により、よしこれで同点かと思ったら、サードのグラブの中に球がスポッと収まる・・・・。
テンションが上がりまくったところでいきなり終了というのがなんだか、あだち充の野球漫画みたいでした。
もしこの試合を漫画にして編集部へ持って行ったら、「あまりにベタだろう。出来すぎだ」とボツになってしまうかも。

会社内で観戦していた際、女性陣はこの展開に本当に鳥肌が立っていました。
特に日本文理のピッチャー伊藤直輝くんがバッターボックスに立った時。
伊藤コールが球場内を埋め尽くし、アナウンサーが異様な雰囲気と表現するほどです。
しかもそんな中でちゃんと打っちゃうんだから凄い。

攻撃する側も守る側も、あんな状態の中でよくまあしっかりと戦ったと感心しますよ。
私だったら精神的に参ってしまい、足が震えて立っていられないでしょう。

漫画的と言えば、9回の猛攻の途中、平凡な三塁へのファウルフライがありました。
あれで試合終了だと、誰もが思ったことでしょう。
しかし何とボールを見失ってしまい、地面に落ちてしまいました。
ミスをした理由は、後のインタビューを聞いてもはっきり分かりません。
ここがまた、漫画チックな展開です。

試合結果としては負けてしまった日本文理ですが、日本文理が凄かったという事のみが記憶に残りました。
今大会にも、いろいろとプロへ行きそうな選手がいましたが、そんな事を全部忘れてしまうほどの試合展開。
長年、高校野球を見てきた人でも、そうそう見られない内容と思います。

そのせいでしょうか、その日の夜9時からのNHKのニュースも、最初にオンエアしたのは日本文理のバッテリー、伊藤直輝―若林尚希のダブルナオキの故郷紹介からでした。
負けた方の選手紹介がトップに来たのは、やはり誰の心にも日本文理の戦いが印象的だったからでしょう。

勝った方より負けた方が爽やかな顔をしてるんですよねえ。
日本文理の選手はみんな笑顔。
ピッチャー伊藤直輝くんは「幸せだった」という言葉を何度も繰り返していましたね。
あれだけ見事な巻き返しをした後です。
全く悔いなくやったからこそ泣かずに笑顔なのでしょう。
逆に勝った方のエースが悔しくて泣いてんだもんなあ。
なんだか全てが丸く収まり、選手達もそうですが、見ている我々の中にも、清々しさしか残っていません。
こんな全員が幸せで終わる結末というのは、そうそう無いですよね。

死闘を繰り広げた彼らはいつしか社会へ旅たちます。
また再び選手達が集まった際も、笑顔で昔話を語り合える素敵な人生を迎えられそうですね。

スポーツは殆ど見ない私ですが、この前のWBC決勝戦のイチローの活躍や今回の試合のように、ストーリー性のあるものはやはり熱く見てしまいます。
今回の大会決勝戦はDVDレコーダーに録画しておいたのですが、何度も9回の名シーンを見てしまいましたよ。

昨日、日本文理の選手達は新潟へ戻りました。
夕方から凱旋式を行ったのですが、生徒達だけではなく、多くの市民も温かい拍手で出迎えました。
正面玄関まで大勢の市民が並んだ1500メートルの花道をゆっくり行進。
主将が応援してくれた皆に感謝をしていましたが、いやいや、感動をもらったのは私達ですよと、ねぎらいの歓声が上がりました。

今回の功績をたたえ、新潟県は県民栄誉賞贈呈の方針を決めました。
贈呈が決まれば、シドニー五輪水泳で銀メダルの中村真衣さん、歌手の故三波春夫さんに続く3件目となります。
野球後進県である新潟のコンプレックスを大きく転換させただけではなく、最後まであきらめない精神を埋もれさせたくないと、新潟県知事が贈呈の理由を語りました。

地元民以外の人達も感動させたこの決勝戦。
冒頭に愚痴を書いていた私ですが、日本文理のみんなの活躍を見ていて何も心が動かないわけがありません。
書いているうちに今の会社の現状に良い要因が無いと不平を言っているより、自分がその良い要因を作ろうと心が高揚してきましたよ。
明日から頑張りますよ。

Posted by kanzaki at 2009年08月26日 22:10