2011年01月10日

2010 NIIGATAショップデザイン賞関連企画「魅力ある店づくりから始まるまちづくり」シンポジウム〜川島蓉子(かわしまようこ)さんによる基調講演【1】

新潟市は昨年、「2010 NIIGATAショップデザイン賞」を開催しました。

●新潟市―2010NIIGATAショップデザイン賞ホームページ
http://www.city.niigata.jp/info/kikaku/shop-design/index.html

「2010 NIIGATAショップデザイン賞」は、デザインの素敵な店舗やディスプレイに工夫を凝らしている店舗オーナーやデザイナーの想いの詰まった店舗を発掘し、光を当て、まちあるきの新しい楽しみ方の1つと広く紹介するとともに、こうした魅力的な店舗を設計したデザイナー等にも注目することで、魅力的な店舗を更に増やしていこうというものです。

●2010NIIGATAショップデザイン賞 認定店舗紹介
http://www.city.niigata.jp/info/kikaku/shop-design/award2010/award2010.html

本日は、デザイン大賞の授賞式がありました。


●「魅力ある店づくりから始まるまちづくり」シンポジウム
・日時: 平成23年1月10日(月・祝)13時30分〜16時30分
・場所: 新潟市生涯学習センター・映像ホール
・プログラム:
(1)表彰式
(2)川島蓉子さんによる基調講演
(3)4名によるパネルディスカッション


新潟市のホームページで、今回の内容を議事録にしたものを公開するそうです。
詳しくは、そちらをご覧ください。
下記は、自分なりににまとめたものです。

●川島蓉子さんによる基調講演

(1)講演をした人:川島蓉子(かわしまようこ)さん
・伊藤忠ファッションシステム(株)マーケティングマネージャー
・1961年 新潟市生まれ
・NIIGATAショップデザイン賞審査員。「おしゃれ消費ターゲット」他著書多数。グッドデザイン賞審査委員。
・川島蓉子 プロフィール - あのひと検索 SPYSEE [スパイシー]
http://spysee.jp/%E5%B7%9D%E5%B3%B6%E8%93%89%E5%AD%90/1029616/


(2)講演の内容:今まで携わったお店や取材したお店を紹介し、魅力的な店づくり・町づくりを考える

・在籍している会社名に「ファッション」という言葉があるので、よく洋服の会社と勘違いされます。

・広義のファッションとは、「町と店と人のトレンドが最も早い段階で現象化するもの」と定義しています。
今回受賞されたお店が取り扱っている食べ物や飲み物、インテリアデザイン等も含まれます。
つまり、私たちの暮らし全てがファッションとも言えます。

・川島蓉子さんの「町の見方」とは?
(1)使い手の視点を持ち続けています。その視点を大切にしてお店や町を見ています。
(2)当たり前の事ですが、広い視野を常に養っています。好奇心旺盛なので、色んな人に会って聞きに行ってしまいます。気になったお店があれば取材を申し込みます。

・最近取材して気にいったお店は?
→「イソップ」という化粧品ブランドのお店です。

●イソップ オフィシャル サイト (Aesop Official Site)
http://aesop-japan.com/

イソップは1987年にオーストラリア・メルボルンで誕生した、お肌タイプに合わせてお使いいただけるユニセックス ボタニカルスキンケアブランドです。50品以上におよぶイソップのスキンケア、ヘアケア、ボディケア製品のラインナップは、世界中の高級デパートや専門店でご提供しています。

●ブランド#04 イソップ(特別編) | Web Magazine OPENERS - コスメの殿堂
http://openers.jp/beauty_health/hall_of_cosme/aesop03.html

このお店は、その土地の良さを生かしたお店作りをしています。
オーストラリアのブランドですが、日本ならば日本風にお店を作っています。
古い日本家屋の廃材、昔のタンスの棚などをうまく使ったインテリアデザインが施されています。

・「編集(エディトリアル)」について:
編集と言うと本や雑誌をイメージしますが、これからのブランド・商品・お店にとって「編集」という言葉が重要になってくると思います。
「編集(エディトリアル)」とは、商品を選んでくるだけではなくて、それをどう並べるのか、どうやって一つの物語を作りだすかという考え方の事です。


・「編集」の実例(1):羽田空港にある空港ショップ

以前は全国の名産お菓子を売っていました(東京ばなな等)。
ある時、羽田空港はブランド化をはかろうと考えました。
その為に新しいショップを考える必要がありました。
思い切って、若手チームに任せることにしました。

お客様の目線に立って、空港ショップはどういうシーンで使うのかを考えてみました。
結果、「旅に出る前のショップ」であり、「旅から戻ってきた時のショップ」であると考えました。

例えば新潟へ行くとします。新潟の事をちょっと知りたい時に、このショップに寄ってみよう。あるいは、新潟から帰ってきたけれどお土産を買い忘れたので、ショップへ寄って買おう。

それに対応する為、ショップの奥の棚を地域別にしました。
四国コーナー、北海道コーナー等のエリア別に分かれています。
そのエリア別に商品が「編集(エディトリアル)」されています。

具体的な編集方法は、四国コーナーですと、夏目漱石の小説、讃岐うどん等が陳列されています。
このやり方ですと、四国を知るのにも便利だし、四国のお土産を買うのにも便利です。

東京コーナーですと、東京タワーの形をしたミネラルウォーター(315円)を販売しています。お役所が販売になかなかO.Kを出してくれなかったのですが、販売したら大ヒットしました。ただの水がお土産になってしまったのです。他にも東京タワーを模した洗濯バサミなど、楽しいグッズが並んでいます。

●タワー型のペットボトル入りミネラルウォーター :PRONWEB WATCH
http://www.pronweb.tv/modules/newsdigest/index.php?code=1335
(神崎がネットで調べてみたのですが、これの事じゃないでしょうか?)


・「編集」の実例(2):相反する二つの商品の陳列:
谷崎潤一郎の「東西味くらべ」という文庫本があるのですが、なかなか手を出しづらい感じです。
一方で、チョロQというクルマの玩具がありますが、そのシリーズで「寿司Q」というものがあります。いくらの軍艦巻きが走ったりしてユニーク。
参考サイト→http://www.geocities.co.jp/Playtown/4937/models/q.htm

お店に「東西味くらべ」と「寿司Q」を並べて陳列してみました。
そうすると、なんだか「寿司Q」がかっこ良く見え、「東西味くらべ」は読んでもいいかなとカジュアルさを感じさせます。

そんな風にお店側が工夫することで、お客様が喜んだり、想像力を広げてくれるのではないか・・・これが「編集(エディトリアル)」という考え方です。


・昨年、生まれてはじめて、デパートの売り場を作りました。
池袋にある西武百貨店で「パーソナルギフト売り場」という場所を作る機会を得ました。
その際、「編集(エディトリアル)」という視点でお店売り場を作りました。
川島さんが全体のプロデュース。
どういう商品を置くかはプランナーに任せました。
売り場を作るということは、何かをお客様へメッセージとして届けなければいけないという事で、メッセージを作るコピーライターも選任しました。
売り場のコンセプトは「be my gift」。
どんな感じなのかは、下記の公式サイトを御覧ください。

●be my Gift ビー マイ ギフト(西武池袋本店6階)
http://www2.seibu.jp/ikebukuro/bemygift/index.html#head_box

コンセプトは、「デパートに置かれている品物は、すべてがギフトになる」。
デパートに元気がないと言われています。
しかし、デパートの良さというものはあると考えます。
デパートは良い意味で敷居があります。
デパートにあるものを贈るということは、デパートに安心感、保証感があるからだと思います。

そこに作ったギフト売り場なので、「編集(エディトリアル)」という視点で考えました。
日本ならではの季節・ 歳時にあわせて、幾つものストーリーを感じてもらえる売り場にしました。
それを一つの商品ではなく、三点で一つの物語にしてみました。

・be my Gift「三点で一つの物語」の例:テーマ「お花見」

(1)日本酒の櫻正宗(さくらまさむね。ラベルが桜)
(2)「さくらさく(正式表記不明。底が桜の形になっている。結露すると底に桜の跡が残る)」というグラス
(3)桜クラッカー(桜の花びらを模したものが封入されており、ひもを引くと飛び出す)
この三点が揃うと、なんだか楽しい花見になるのではないかと考え(編集)ました。


(続く)

●次回の記事: 2010 NIIGATAショップデザイン賞関連企画「魅力ある店づくりから始まるまちづくり」シンポジウム〜川島蓉子(かわしまようこ)さんによる基調講演【2】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002258.html

Posted by kanzaki at 2011年01月10日 23:07