2011年02月03日

リスクをとって前へ進む勇気

車中、AMラジオを聴いていたところ、いわゆる「テレフォン人生相談」の番組がはじまりました。
切実な内容を聴くのはいたたまれないので、スイッチをオフにしました。

「もう終わったかな?」と思って再びスイッチをオンにしてみると、残念ながらまだオンエア中でした。

話しが途中からだったので詳細は分からないのですが、どうやら離婚とかそういう問題じゃないらしい。
相談者は女性で、病院から学費を負担してもらって看護(or介護)系の学校へ通いました。
学費負担の条件として、卒業後はその病院に最低2年間は勤めるというものらしい。
しかし、そこの病院の理事長が、その女性をレイプしました。
レイプされた時に警察へ伝えたものの、その理事長の権力等の強さから怖くなり、訴えることはしませんでした。

そんな事があった為、学校卒業後の数年間はショックで、その病院に働く事ができませんでした。
しばらくして、ようやくその病院で働きはじめたものの、ささいな失敗から給料を大幅に減額されました。
そして、どうやらこの病院は、自分を追いだそうとしているらしい雰囲気を感じ取り、辞めることにしました。
辞める数日前、その病院は顧問弁護士を通じてその女性に、学校へ通う為に負担した約300万円を請求してきたのです。

かなり端折って書いたので、上記通りではありません。
とにかく、その女性が苦しい立場にあり、さらに病院や理事長を恐れおののいている事だけ分かってください。

ラジオ番組の中で相談を受けた弁護士は、「裁判で戦うべきだ」と女性に伝えました。
これは感情的にも法律的にも許されることではないと。

しかし女性は、理事長の社会的権力から、怖くてそういう事が出来ないと言い続けます。
弁護士は女性へ、「リスクをとって前へ進む勇気を持ってください」と言いました。
逃げてばかりいちゃ駄目だと。
逃げてばかりいるから、理事長のような人間がのさばっていられるのだと。
裁判は心身ともに大変かもしれないが、必ずあなたを擁護してくれる弁護士がいるはず。
訴えることで表面化することもあり、それで心を痛むこともあるでしょう。
しかし、そういうリスクはあるけれど、前へ進める。
裁判の勝ち負け関係なしに、それ以降の人生が絶対に変わると。

女性は、弁護士の言葉に力をもらい、番組は終わりました。



新潟では本日まで、「僕の生きる道」というドラマの再放送をしていました。
ガンの為、余命一年と宣告された学校の教師が、限られた時間を必死に生きる話しです。
主人公は学生たちに、「ずっと読もうと思ってて、結局読まなかった本の話し」をしました。


「この本の持ち主は、これを読む時間が無かったのでしょうか?
多分、違います。
読もうとしなかった・・・それだけです。
その事に気づかない限り、5年経っても10年経っても、持ち主はこの本を読むことはないでしょう。
だから、一年しか無いなんて言っていないで、やってみましょう。
この一年、やれるだけの事をやってみましょう」


それを生徒達に話した時、生徒達は何も共感できませんでした。
しかしその後、先生の命が短い事を知ってしまいました。
先生と一緒に合唱を続けたいけれど、親達が受験の妨げになるからと反対をします。
合唱を続ける条件は、クラス全員が模試の成績でA判定をとるという難問でした。

先生の病気や合唱、受験・・・いろいろな事が一度に生徒達を襲いかかり悩みます。
その時、以前に先生が話した「本の話し」を思い出しました。
そして、やらないで逃げ出す事をやめ、全員がA判定をとれるように挑みました。
結果、全員A判定。
先生と合唱を続けられることになったのです。
クラスが一つになった瞬間でした。



私がストレスで胃腸が弱いのは、多分、逃げてきたからなんでしょうね。
「リスクをとって前へ進む勇気」を持っていなかった。
ああ、そういう事か・・・。
車中、「リスクをとって前へ進む勇気」という言葉を頭の中で繰り返しつぶやいていました。
外出先から会社へ戻ると、一つ難問が発生。
ほんの一時間前だったら、リスク回避とばかりに、逃げるにはどうしたら良いかを考えていたでしょう。

けれど今回は違いました。
どうやったら、みんなが満足できる方法があるか、実践しながら模索してみようという事になりました。
多少のリスクはあります。
今までより仕事が増えます。
しかし、それによって前へ進める事は、おぼろげながら感じました。

みんなが手間をとる事になるけれども良いかを聞いたところ、全員が快く承諾してくれました。



甘い思いだけして、何もリスクを取らないで行えることなんて僅かしかありません。
何かしらリスクを背負うのを覚悟の上じゃないと前へ進めないことの方が多い。

「望むモノ」と「背負うモノ」。
この相反するものを内包しているのが人間ではないかと。
そして、社会ではないかと。

最近、前へ進もうとしていなかった事に気づきました。
リスクをとる事で萎縮してしまうかと思っていたのですが、逆になんだか勢いがついたように思いました。

胸を張り、やれるだけの事をやってみましょう。

Posted by kanzaki at 2011年02月03日 22:54