2011年03月01日

知的障害や発達障害のある社員たちの成長〜横河ファウンドリー・箕輪優子(みのわ・ゆうこ)さん

「独立行政法人 高齢・障害者雇用支援機構」が発行している冊子「障害者と雇用 働く広場」を読みました。
そこに、横河ファウンドリーという会社の障害者雇用に関するエッセイが書かれていました。

エッセイを書かれたのは箕輪優子(みのわ・ゆうこ)さんです。
箕輪さんは横河電機株式会社に入社して人財労政部に所属。
1999年9月、障害者雇用促進を目的とした特例子会社「横河ファウンドリー」の設立を会社に提言し設立、取締役に就任。
2006年4月〜2007年7月、厚生労働省社会・援護局障害福祉部障害福祉課就労支援係就労支援専門官に就任。
現在、企業倫理・CSR部CSR企画チームで社会貢献活動の企画・運営に従事。
著書に「チャレンジする心〜知的発達に障害のある社員が活躍する現場から〜」があります。

連載エッセイでして、第四回となる今回は「成長続ける社員たち」というタイトルでした。

横河ファウンドリーには知的障害や発達障害のある社員25名が働いています。
障害がある社員であっても、年月とともに経験を積んだだけ担える仕事が増え、社会人としても成長しています。
障害者だからと言って、決して加齢による能力の低下というものはありません。

仕事以外でも、入社前には出来なかったことが出来るようになったそうです。
例えば、自分で考えて、相手に伝えること。
考える時間や話しが長くなりがちな社員には「一番言いたいことを最初に話す」という習慣、5W1Hの手法活用を教えたそうです。

受身的な感じだった社員も、担当職務の目的や重要性を実感することで、自主的に報告、相談をするようになったそうです。
自閉的な傾向のある社員は、柔軟な対応が難しいと言われていますが、必要とされていることを実感することで、対応も出来るようになっていったそうです。

丁寧な言葉づかい、マナーについて。
これは、日頃から上司や同僚が常識ある言動を心がけることで、社員達は自然に習得していきました。

社員自身が得意なこと、苦手なことを把握。
そして同僚と互いに得意なことを認め合う機会を作ることで、チームワークによって協力しあうようになりました。

入社前は、ルールに違反しても容認されることが多かった社員。
そもそも、違反したことを知る機会が無かった人も多かったそうです。
もし、故意にルールを守らない場合は、いかなる理由でも事の重大さを伝え、自分の行動を振り返らせることで、ルールの尊守することの大切さに気づかせます。

「顧客満足度」「品質」「売り上げ」「利益」「コスト」等を一人ひとりの担当職務に置き換えて考えてもらうことで、意識できるようになっていったそうです。

実習生の受け入れ、配置転換を機に他者に教える事を経験し、大きく成長した社員もいるそうです。
言葉のオウム返し、吃音、体を前後に揺らす動作等が無くなった社員もいます。

現場の管理職が各社員の得意な仕事を新たに発見し、さらに伸びるよう一人ひとりに適正な目標を設定。
働きやすいように環境を整え、社会人として成長を本気で期待できるマネジメントをしているからこそ、横河ファウンドリーの社員は成長し続けているのだと書かれていました。

以上は、ハンディキャップのある社員達への指導内容と成長記録です。
読んでいて別段、ハンディキャップがある社員に特化した指導だとは思いません。
ごく普通の学生が会社へ就職し、経験を積んで成長していく過程となんら変わりませんよね。

若い頃の失敗というのは成長に必要な事です。
しかし、単に失敗を繰り返しているだけでは成長できません。
上司が適切に指導してあげて、フォローする事が必要です。
それは、単なる叱りでは駄目なのはお分かりですよね。
感情的な指導は、反感を買うだけで何も生みません。

うちの会社も昔と違って、常識的な人が殆どになりました。
「社会人としてこれはどうなの?」という人には、やはり誰もついていきません。
常識ある行動・言動をお互いがすることによって、良い人間関係、良い仕事を生んでいるように思います。
私が今の会社を辞めない理由の一つです。

私が若い頃、「あ〜あ、やだなあ」と思った仕事の経験・人間関係を自分より下の人達に絶対にしないと心に決めています。
勿論、下請けの会社さんや業者さんにも、絶対にしません。
負の連鎖は何も生みません。
断ち切るべきです。
そうすることで、悪い環境を変えていきました。
これは自分自身が決意すれば出来ることなのです。

もし会社で、自分が成長するのに必要な研修等が無ければ、本を読めば良いと思います。
本の良いところは、誰でもその知識に触れることが出来るチャンスがあることです。
ネットのお陰で、地方在住者であっても専門書・マイナーな本を入手しやすくなりました。

もし、値段等の問題から買うのに抵抗があるのならば、図書館へ行けばいい。
大抵、似たようなジャンルは同じ本棚にありますから、熟読までしなくても良いので、どんどん多くの本に目を通していきましょう。
似たようなジャンルの書籍は、似たような単語、似たようなルールで書かれている物が多いです。
そういった共通の物に気づくことで、普遍的な原則を知識として身につけられます。
私はそうしていきました。

読んだからといって、すぐに実践できる訳ありません。
まだ、頭の中で整理出来ていないからです。
そんな時は、自分自身のブログに読んだことをまとめてみて、自分なりの見解を書いてみれば良いと思います。
インプットしたものをアウトプットすることは、理解にとても役立ちますよ。

私は過去、会社で自分自身の成長の為、どんな指導を受けてきたのだろうかと振り返るに、正直な話し、そういうのはあまり無かったように思います。
けれど、ちゃんと話しを聞いてくれたり、協力してくれた人達は多かったです。
それだけでも違います。
無ければ自分で調べて考え、そして実践することで、自分が指導出来るように成長すればいい。
そして、実践する環境を調整してもらうのに、上司に協力してもらいました。

多分、冒頭の横河ファウンドリーだって、最初から完璧な社員指導の知識があった訳じゃないと思うのです。
少しずつ積み重ねて出来てきたのだと思います。
もし、会社の仕事や人間関係で不満がある事があったら、自分から動いてみましょう。
アクションには必ずリアクションがあります。
その繰り返しが、成長に繋がるのだと思いますよ。

Posted by kanzaki at 2011年03月01日 23:22