2011年10月02日

福島のヒマワリに込められた絆と復興への想い〜ファイトレメディエーションとは?(植物を使った土壌浄化技術)

9/29〜10/11まで新潟市「蔵織」にて、蔵織のアイドルゆうこりんによる「水上祐子小品展」が開催中です。

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●蔵織
http://www.craole.jp/

●蔵織のお知らせ : 蔵織・スタッフ水上祐子(細密画)の作品展が始まります。
http://craole.exblog.jp/14655206/

●蔵織のお知らせ : 『水上祐子小作品展』のポスターとアリスのウサギ3と新潟漆器・竹塗り
http://craole.exblog.jp/14661559/

今日、蔵織に行ってきたのですが、たくさんの人が訪れていました。
ものすごい精密な絵なので、是非、実際にご覧になってください。

後日、各作品をマクロレンズで撮影し、デジタル化しなくては。


※※※

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(近所に咲いていました。iPhone4で撮影)

放射能汚染の土壌浄化にヒマワリを使う動きが、大きなムーブメントになっています(日系ビジネスより)。
まだ、科学的根拠は固まっていません。
今後、検証と正しい活用が求められています。

仮に科学的効果が見つからなかったとしても、復興のシンボルとして、心理的効果は十分に発揮していると思います。

【ヒマワリに注目】

ヒマワリを使った土壌浄化は、福島県で大きなムーブメントになっています。
代表的なものはと、「福島ひまわり里親プロジェクト」です。

●福島ひまわり里親プロジェクト
http://www.sunflower-fukushima.com/

農業・食品産業技術総合研究機構でも、ヒマワリの効果を測定しています。

【土壌を剥ぎ取る】

東日本大震災による原発事故。
あれから半年が経過し、原発からの放射性物質の放出は半減しました。
ヨウ素は殆ど検出されなくなり、放射線源の大半が地面に残るセシウムと見られています。

セシウムは土壌の表面から5cmほどの深さでとどまっています。
つまり、表面の土壌を剥ぎ取ってしまえば、放射線量を大幅に減らすことが出来ます。

しかし、福島県の地面を剥ぎ取るには、1兆円のコストがかかると推定されます。

【ファイトレメディエーションとは?】

土壌を剥ぎ取るにはお金も手間も掛かりすぎです。
そこで注目されているのが、ファイトレメディエーションです。

ファイトレメディエーションとは、植物を使った土壌浄化技術のことです。

植物は成長する為、地面の栄養分を吸い上げますよね。
その力を利用し、地面の中の汚染物質を植物に吸収させ取り除いてしまおうという事です。

【ファイトレメディエーションの実績】

過去、ファイトレメディエーションが実用化された例として、稲によるカドミウム汚染水田の浄化があります。

1970年代、亜鉛精錬工場から、カドミウムを含んだ排水が放出された事がありました。
イタイイタイ病は、カドミウム汚染が原因です。

国は玄米に含まれるカドミウム濃度の規制値をもうけました。
基準値を超えていれば焼却処分したり、政府が買い取りしました。

汚染された水田は、土壌の入れ替え(客土)を実施しました。

2006年、FAOとWHOが、日本の規制値よりも低い基準を策定しました。
今まで対象外だった低濃度の汚染浄土も浄化が必要になったのです。

そこで、低コストの浄化技術として注目されたのが、ファイトレメディエーションでした。

農林水産省が進めるカドミウム汚染水田の浄化事業では、農業環境技術研究所が開発した手法を採用しています。

カドミウムを吸収する能力の高い「長香穀」と呼ぶ品種の稲を使用します。
現在、秋田県など11の県で、稲による浄化が進行中です。

1作当たり年間約25万円の低コストです。
しかも、土を入れ替えないので、すぐにでも農作物を育てられます。

【ヒマワリに浄化効果はあるのか?】

1990年代、米ファイトテックが発表したリポート。
米ラトガー大学の報告(植物がチェルノブイリ事故の後に浄化効果を発揮した)。

これらが、ヒマワリの浄化効果の根拠として引用されています。
しかし、能力検証としてのデータが圧倒的に少ないのです。

1999年、ウクライナ生命・環境科学国立大学 農業放射線学研究所のS.ドゥシェンコフ氏の論文によると、ヒマワリの能力は、上記の稲「長香穀」の10分の1以下でした。
土壌から除去できる率は、0.2%となります。

例えば、セシウム134は、何もしなくても年間約2.3%の放射線量が低減します。
この数値に比べると、0.2%という数値は、昨今のヒマワリムーブメントに対する期待より小さいです。

【研究のもうひとつの意味】

農水省は現在、福島県で放射能汚染農地の浄化技術を検証しています。
ヒマワリの他、性能が高いといわれているアマランサス、繊維材料となるケナフも栽培・検証しています。

農研機構の狙いは、吸収能力の高い植物を探すことだけではありません。
「バイオ燃料」を作るためでもあります。

チェルノブイリでもそうだったのですが、農作物が作れない土地でも、資源作物で生計を助けることが出来るからです。
バイオ燃料は、今の段階では現実的な選択です。

とにかく今は、検証を重ねることが大切。
冷静に植物浄化を普及させることが必要でしょう。

※※※

原発事故の後、いつからか「ヒマワリ」というキーワードを多く聞くようになりました。
上記の経緯があったからなんですね。

「福島ひまわり里親プロジェクト」の公式サイトでも、公に発表された「ヒマワリの浄化能力」について、ショックは隠せていません。

しかし、「復興のシンボル」「全国との絆」としてのヒマワリは、非常に象徴的です。
何十年後も、ヒマワリは咲き誇っているでしょう。
毎年、毎年、生命の営みがそうさせるからです。

はるか未来になっても、ヒマワリが咲き誇る限り、2011年に築き上げられた「絆と復興への想い」は忘れることなく、受け継がれていることでしょう。

その未来の笑顔が生まれる為のスタートが、今なのです。

Posted by kanzaki at 2011年10月02日 22:30