2012年01月21日

脳科学・茂木健一郎さん「アウェーの状態が脳の潜在能力を引き出す」〜"脳は全体の10%しか使っていない"はウソ

脳科学・茂木健一郎さんが、「アウェーの状態が脳の潜在能力を引き出す」と題した解説をしていました(雑誌・PRESIDENTより)。

●茂木健一郎 クオリア日記
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茂木 健一郎(もぎ けんいちろう、 1962年(昭和37年)10月20日 - )は、株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科特別研究教授。学位は博士(理学)(東京大学・1992年(平成4年))。血液型はO型。

【"脳は全体の10%しか使っていない"はウソ】

良く、「脳は全体の10%程度しか使っていない」といわれていますが、これは嘘なんだそうです。

実際は、脳の神経細胞は目一杯活動しています。
それぞれに役割があり、無駄な細胞はありません。

間違った俗説が広がったのは、神経細胞の区別が誤解されてしまったかららしい。
神経細胞には、ニューロンとグリアの二種類あります。

ニューロンは活動膜電位という形で情報を伝えます。
一方、グリアの働きは、以前は分かりませんでした。
グリアはニューロンの10倍あります。
このことが誤解され、10%しか使われていないという俗説になったらしいのです。

【グリアの働き】

グリアはニューロンのネットワークを支えたり、脳内の環境を調整したりと、重要な役割を果たしています。

自然の中にあるものに、無駄なものはありません。
表面的には何もしていないように見えても、実は大切な機能だったということは、よくあるケースです。

ただし、私達が脳の潜在能力をフルに使っているかといえば、そうでもありません。

【脳のオン・オフ】

脳には、さまざまな機能の「モード」があります。

脳の各領域の活動がオン、オフすることで、異なるモードが立ち上がり、その時々の状況に対応します。

脳の中に30の領域があるとしたら、単純にオン・オフを考えただけでも10億通り以上の組み合わせになります。
実際、どれぐらいのモードがあるかは分かりませんが、私達が全てを使っていないのは確かです。

【アウェーでこそ脳がフル回転する】

普段使っていないモードは「アウェー」の状況でこそ立ち上がります。
慣れ親しんだ「ホーム」の状況では、脳の活動はマンネリ化してしまいます。

どうしたら良いのかすぐに分からない状況に置かれてこそ、私達の脳はフル回転するのです。

普段と違う取引先へ行く。
外国を訪問し、なれない言葉でビジネス交渉をする。
初対面の人と、気を使うような会食の席。
自分があまり経験の無い分野での商品開発。

そんなアウェーな状況でこそ、脳の潜在能力が活きるのです。
そう考えれば、未知の領域へ積極的に飛び込めるというものです。

【人生の構造問題】

年を重ねるにつれて、次第に「ホーム」の領域が増えていきます。
淡々と業務をこなす日常も大切ですが、胸がドキドキする「アウェー」があってこそ、脳の潜在能力は引き出されるのです。

脳の細胞は目一杯働いていますが、使っていないモードは沢山あります。
積極的にアウェーの状況に挑戦してみましょう。

※※※

会社員をやっていて良かった事は、アウェーでの戦いを経験できることです。
それも、自ら挑むと言うよりも、巻き込まれ型です。
仕事の選択に余地はありません。

特に人事異動による転勤・配置換えが大きいですよね。
自分が予想だにしなかった部署へ行くと、最初は戸惑うものです。
仕事は分からないし、右も左も知らない人ばかり。
けれど、皆さんの協力や、慣れないことを克服しようと意気込む力で、季節の経過と共に馴染んでいくものです。

また、同じ部署にいたとしても、外部との仕事上のトラブルによって、アウェー感を経験することがあります。
相手があることだし、自分勝手に決めることが出来ない。
更に法的な問題まで絡んでくると、どうしたら良いのか分からず胃が痛くなります。
そういう時こそ、新たな知識を得たり、新たな仕事上のパートナーとの出会いがあったりします。
自分がはじめて経験することは、やはり戸惑うの。
けれど、それはそれで経験値としてスキルアップできます。
場数をいくつも踏むと、度胸もつくし、知識も人脈も増えますよね。

本人の予想とは大きく違う展開であればあるほど、アウェー感が増し、任務遂行と同時に達成感を覚えます。
いろいろな仕事を同時並行で進めていますと、任務完了時の達成感を覚える間もなく、別の仕事をこなさなければいけない。
達成感不足が、満足感不足になってしまいますが、きちんと色んな面で成長が出来ているのは間違いありません。

ここしばらく、仕事で脳をフル活動させており、休みもとらないで働いています。
完全にアウェーな中での戦いなので、覚えることばかりです。
この年になって、経験値を積む機会があると、こなすのは確かに大変です。
でも、若い時の躍動感みたいなものを味わえていたりもします。

未知の領域へ、自ら飛び込む若さを取り戻さないとね。

Posted by kanzaki at 2012年01月21日 23:45