2012年04月14日

歌人・橘 曙覧(たちばな の あけみ)に見る幸福論〜人の幸福は貧しさとは関係ない

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【歌人・橘 曙覧とは】

江戸末期の歌人に、橘 曙覧(たちばな の あけみ)という人がいます。

●福井市橘曙覧記念文学館 ホームページ
http://www.fukui-rekimachi.jp/tachibana/index.html

あの正岡子規が「曙覧こそ実朝以後のただ一人の歌人である」と絶賛したことで有名です。
彼の歌を編纂した「独楽吟」は、「たのしみは」で始まり、「時(とき)」で終わる一連の歌を集めたものです。

●独楽吟
http://www.fukui-rekimachi.jp/tachibana/dokurakugin.html

幾つか取り上げますと・・・、

・たのしみは 艸(くさ)のいほりの 莚(むしろ)敷(し)き ひとりこころを  静めをるとき

・たのしみは すびつのもとに うち倒(たふ)れ ゆすり起(お)こすも 知らで寝し時

・たのしみは 珍(めづら)しき書(ふみ) 人にかり 始め一(ひと)ひら ひろげたる時

・たのしみは 紙(かみ)をひろげて とる筆の 思ひの外(ほか)に 能(よ)くかけし時

・たのしみは 百日(ももか)ひねれど 成(な)らぬ歌の ふとおもしろく 出(い)できぬる時

・たのしみは 妻子(めこ)むつまじく うちつどひ 頭(かしら)ならべて 物(もの)をくふ時

・たのしみは 物をかかせて 善(よ)き価(あたひ) 惜(を)しみげもなく 人のくれし時

・たのしみは 空暖(あたた)かに うち晴(は)れし 春秋(はるあき)の日に 出(い)でありく時

・たのしみは 朝おきいでて 昨日(きのふ)まで 無(な)かりし花の 咲ける見る時

・たのしみは 心にうかぶ はかなごと 思ひつづけて 煙艸(たばこ)すふとき

平成6年、天皇皇后両陛下がご訪米された際の歓迎スピーチにて、クリントン大統領が、「独楽吟」の中の一首を引用して話題になりました。
引用したのは、「たのしみは 朝おきいでて 昨日(きのふ)まで 無(な)かりし花の 咲ける見る時 」です。
そして、「日米両国民の友好の心の中に、一日一日新たな日とともに、確実に新しい花が咲くことを期待する」と述べました。
日本文学研究者・ドナルド・キーンの「日本文学選集」にて、独楽吟の八首が紹介されており、それをホワイトハウスのスタッフが注目し、クリントン大統領も共感したのが引用のきっかけです。

橘 曙覧は、地位を捨て、清貧の心で生きた人です。
人の幸福は、貧しさとは関係ないと考えました。
彼の歌にある「たのしみ」とは、平凡な日常生活の中で、探せばどこにでもあるもの。
気づかないのは、「たのしみ」の思想が無いからと考えました。

私自身、シンプルライフや断捨離などの、スマートな生活を意識して生きています。
見栄をはって高価なモノを買うような性格でも無いし、知ったかぶりして生きることもありません。
昔は、その真逆な性格だったのですが、年齢を重ねていくうちに変化しました。
そんな性格へ変化する過程で行った事は、ひたすら所有物を捨てまくった事だったような気がします。
自分の中の、凝り固まったものを抜き出す良い機会となりました。

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【友達10人の法則】

漫画「エンゼルバンク ドラゴン桜外伝」に、こんな言葉があります。

「愛情の反対は無関心(マザー・テレサ)」
「成功の反対は挑戦しないこと」

愛情の反対は憎悪では無いし、成功の反対は失敗でもないのですね。
「無関心」や「しない」は、静寂故に恐怖を感じるし、現代を象徴している負のキーワードだと思います。

劇中、「友達10人の法則」というものがあります。
「いつも一緒にいる友達10人の年収の平均が、あなたの年収」だそうです。
また、最近会った人達が同級生ばかりの場合、その精神的理由は「楽チンだから」です。
自分と同等な人とばかり会うのは、自分の地位に安心したり、優越感を味わいたいからです。
反対に、新しい人物との出会いや、新しい人脈が多いのは、向上心が高いことのあらわれです。

おかげ様で私自身ここ数年、新しい出会いに恵まれており、自分の人生の中で最もホットな気がします。
年齢や生業等全く違う方々ばかりでして、どの方にお会いしても、その度に新しい発見、驚き、感動があります。

私自身、特に何かに秀でている部分はありません。
それどころか平均以下かもしれません。
何にもない乾いたスポンジみたいなものだから、色々と吸収出来るのかもしれないと思います。
それはそれで良かったのかな?

【快感ホルモン・ドーパミン】

不満が多いと人は疲れやすいそうです。
これは脳がガス欠で、脳細胞にカスがたまった状態です。
また、快感ホルモンのドーパミンが分泌されていません。
ドーパミンは、満足感を得た時に分泌されます。

疲れをためない生き方とは、どのようなものだと思いますか?
脳力開発研究所の所長・志賀 一雅さんの解説によりますと、どうも歌人・橘曙覧の生き方そのもではないかと思ってしまいます。

食事ですと、食事前は「おいしそう」、食事中は「おいしい」、食後は「おいしかった」と思うことです。
別に、特別な事ではありません。
食事は精神的な満足感を得られるベストな時間でして、家族と一緒に食事したり、昼間にお気に入りのお店へ行ってみるのも良いです。

仕事ですと、「できそう」「できる」「できた」で取り組みましょう。
期待感が膨らむとチロトロピン(知力を高める物質)、手ごたえを感じるとコルチコトロピン(集中力を高める物質)、満足感でドーパミンが分泌します。

小さな幸運に感動できると満足感が得られます。
また、他人の成功に共感し、自分の成功のように喜んでも満足感は得られます。

「どうせ」という口癖は、未来を期待しない事なので、脳が活性化をやめてしまいます。
使うのは、やめましょう。
欠点を気にせず、長所を伸ばしたほうが、脳は活発化します。

否定を生活から抜いて、身近なものに感動を見つける。
シンプルで何も元手は必要ありません。
考え方一つなのですね。

Posted by kanzaki at 2012年04月14日 23:28