2012年06月04日

江戸っ子は初ガツオに熱狂していました

食文化史研究家・永山久夫さんによりますと、江戸っ子は当時、初ガツオに熱狂していたそうです。

カツオは、記憶力を高める成分や、からだの若さを保つビタミンEを豊富に含んでいます。

【江戸の初ガツオは高価】

「初ものを食べると75日長生きできる」と言われ、江戸っ子は出まわり始めたカツオやナスなどを買いにまわりました。

ホトトギスの鳴く新緑の頃、鎌倉沖で獲れはじめる、はしりのカツオはとても高価なものでした。
米1石(約150キログラム)が1両の時代、カツオ1本が2両〜3両もしたそうですよ。

初ガツオが高価な理由は、「鮮度」です。
刺し身で食べられるような新鮮なカツオを江戸の町へ運ぶためには、運送費用が高くついたのです。

【江戸のカツオの料理方法・1】

鮮度の落ちたカツオを生で食べると、食あたりもありました。
その為、「カツオのたたき」という技法が、江戸の初期にはできあがっていました。
これは、表面を火であぶって殺菌してから刺し身したものです。

【江戸のカツオの料理方法・2】

「料理物語」という江戸時代の料理書には、「さしみ」の作り方として「霜降り」という食べ方が書かれています。

これは、火であぶったり、熱湯をかけて、魚肉の表面のタンパク質を白く凝固させて食べる方法です。

●料理物語 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%99%E7%90%86%E7%89%A9%E8%AA%9E

料理物語(りょうりものがたり)は、江戸時代の料理書。儀式料理のレシピや作法が中心だった16世紀以前の料理書と大きく異なり、表現は簡潔で文章は格調高く、料理の網羅範囲も広い。江戸時代の代表的な料理書のひとつとされる。

【江戸のカツオの料理方法・3】

「焼き霜づくり」とか「火どりづくり」と言うものがあります。
皮目をあぶることによって、生臭さがとれ、香ばしさと旨みが出ます。

火であぶると味が濃縮されます。
また、皮に多いコラーゲンの消化が良くなるので、江戸の女性たちの美白効果に役立った(はず)。

※※※

「目には青葉 山時鳥(ほととぎす)初松魚(かつお)」

江戸前期の俳人・山口素堂(そどう)の作品です。
現在でも初ガツオの初夏になると、マスコミに登場する「季語」になっていますね。

江戸時代、「女房子供を質に出してでも食え」と熱狂された初ガツオ。
我々もこの時期の美味しいところをいただきたいものです。

Posted by kanzaki at 2012年06月04日 21:40