2012年08月26日

さわやかな感性で心地よく悩む〜パスカルの随想録「パンセ」

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本田コンサルタント事務所の本田さんが、フランスの哲学者・パスカルの随想録「パンセ」について考察されていました。

【もし命が一週間しかなかったら】

随想録「パンセ」にこんな言葉があります。

・断章203
「情念に邪魔されないために、一週間の命しかないもののように行動しよう」

・断章204
「もし一週間なら、あることの全力を傾けるというなら、百年でも傾けるべきである」

・断章172
「われわれは幸福になる準備ばかりいつまでもしているので、現に幸福になれなくても致し方ないわけである」

のんびり思い煩っている時間がいつまでもあると思うからいけない。
今なすべき唯一の事に全力で集中せよと言っています。

日々、私達の思いは、現在に対するものと将来に対するものとが渾然一体となっています。
将来の幸福への準備のため、現在を犠牲にしているところもあります。
パスカルは、過去でも未来でもない、「この今」を大切にするべきだと考えていました。

【下手の考え休むに似たり】

作家・三島由紀夫もかつて、こんなことを語っていました。

「若者の悩みなど取るに足らないもので、たいていはランニングをすれば解決する。
それでも解決しない悩みだけが、真剣に悩むに値する悩みである」

つまり、「下手の考え休むに似たり」ということでしょうか。
多くの場合、考えこむより走っているほうが調子よく物事が運ぶものです。
あれこれ悩むより、とりあえずどちらか選択し、それに徹するとうまくいきます。

【さわやかな感性で心地よく悩む】

では、ランニングや仕事への没頭でも解決しない悩みには、どうすればいいか?

本田さん曰く、「さわやかな感性で心地よく悩むこと」

そのために有効な演出をほどこすこと。
いつもと同じ場所で、いつもと同じように考え込んでいても良いアイディアは浮かびません。
思い切って場所を変えてみる。

正面から悩みと向き合う時間と場所を決めておけば、心は意外と落ち着くもの。
逃げるのではなく、意志的に問題と対処しているという自覚があれば、人は安んじて自分を支えることが出来ます。
さらに、その日がくるのが楽しみにさえ感じられるようになります。

【パスカルとパンセ】

パスカルは思想家である前に、天才的な科学者でした。
16歳で幾何学の最先端に達し、19歳で計算機を発明。
20代にして、「パスカルの原理」をはじめとする多くの物理学上の発見をしました。

その洞察力が人間探求に向けられたのが、モンテニューの「エセー」と並ぶフランス・モラリズムの古典「パンセ」なのです。

パンセは名言の宝庫です。


「人間は一茎の葦にすぎない。しかし、それは考える葦である」

人間は自分自身の弱さを自覚し、考えることができます。
そこが人間が宇宙より唯一偉大な点だとパスカルは説いています。


「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、世界の歴史も変わっていたであろう」

人間とは、またその存在が紡ぎ出す歴史とは、何か少しを変えてしまうだけで何もかもが変わってしまう。
それほど、それらは絶対的指針を持たぬ流動的で儚いものなの。
それを「クレオパトラの鼻」で例えました。


●ブレーズ・パスカル - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%91%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%AB

※※※

私自身、過去を振り返ってみますと、無駄な悩みの繰り返しでした。

実行する前に頭の中で、あーだこーだとループして、苦しむものでした。
さっさと、実行に移していれば良かったのにと、今では思います。
動かないと分からないことも多いですしね。

最近は、体を鍛えているせいか、無駄な悩みの前に行動するようになりました。

しかし、単に行動へ移るだけではありません。
行動の前に、「紙に自分の文字で、やらなければいけない事を書く」ことをしています。

ノートの見開き全部を使い、目標達成に必要な事、その為に何を準備すればよいか、手伝ってもらうことは何があるか等を書き込みます。
頭のなかでループしていたものをアウトプットすることで、「全体を見える化」ができます。

これを行ってからの方が、方向を間違えないで進める事ができます。
無駄に悩むために行なっているのではなく、この行為そのものが「目標達成のための行動」です。

もう、逃げることをやめよう。

Posted by kanzaki at 2012年08月26日 22:36