日本の東西で違うものと言えば、蕎麦などの"つゆ"の味ではないでしょうか。
東日本は、濃口しょうゆとカツオ出汁。
西日本は、淡口しょうゆと昆布とカツオの合わせ出汁。
このつゆの境界線は、天下分け目の関ヶ原付近だそうです(日清食品の調べ)。
味の違いが生まれたのは、江戸時代。
この味の違いについて、時代小説家・車 浮世(くるま・うきよ)さんが解説していました。
理由は3つあります。
「水質の違い」「濃口しょうゆの発明」「職種の違い」です。
※
【水質の違い】
日本の水は、沖縄県を除いて軟水です。
しかし、関西圏の軟水に対し、関東は硬水寄りの「やや軟水」に分類されます。
関東の方が、ミネラル(カルシウム、マグネシウム)が多いのです。
このミネラルは、食材を煮た時に、うま味が外へ出るのを邪魔します。
その為、関西より関東の方が、昆布出汁が出づらいです。
けれど反対に、肉や魚のアクを出しやすくするので、カツオ出汁は関東の方が適しています。
関西は、昆布出汁を中心としたまろやかな味。
関東は、カツオ出汁を中心としたキリッとした味になりました。
※
【濃口しょうゆの発明】
江戸時代中期より、野田や銚子といった関東近郊で、しょうゆ造りが盛んになりました。
この時から、濃い口でした。
江戸の人々は、この安価で味の強いしょうゆに釘付けになりました。
それまで、上方(京・大坂)から船で運ばれた淡口しょうゆを使っていました。
けれど高価な為、料理の味付けは、塩、酢、味噌などを利用してました。
カツオ出汁の取り方は、大量のカツオ節を長めに煮て、エグみも旨味とばかりに、濃く出していました。
その為、淡口しょうゆでは、物足りなかったのです。
※
【職種の違い】
上方は、商人の町。
一方の江戸は、職人や大工など体力を使う仕事が多かったのです。
体力仕事なので、塩分を必要とする濃い味つけが求められたのも、西との違いです。
※※※
どちらの味付けも好きな私としましては、全国どこの料理も美味しくいただいております。
甲乙つけ難く、これは 「きのこの山」と「たけのこの里」どっちが人気なのかと同じぐらい不毛な戦いです。
昔から慣れ親しんだ味の方が、自分の舌にしっくりくるもの。
背景が違えば味が違うという事を、むしろ楽しみたいものです。
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 |
14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 |
28 | 29 | 30 | 31 |