ごつい指先でスルメを裂きながらひとり酒。
スルメを軽く火であぶり、醤油をたらす。
そこへ荒びきの赤トウガラシ粉を少々。
この辛味が、酒の味を引き立てるのですよね。
食文化史研究家・永山久夫さんが、スルメについて解説していました。
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スルメは、イカを開いて干したものです。
古くから祝賀の膳にのり、神にも供えられるほど、おめでたい食でありました。
スルメは漢字で、「鯣」と書きます。
江戸時代は縁起をかついで「寿留女」とする場合が多かったそうです。
寿留女は、「寿」を「留」る「女」として縁起を担ぎます。
「寿」は長寿と幸福を、「留」には一生嫁ぎ先に留まることを、「女」には良い妻であるようにとの3つの意味があります。
そんな事から、スルメは結納の時にも用いられ、幸せな家庭を作る女性をあらわしています。
元禄時代(1688〜1704)の「本朝食鑑(ほんちょうしょっかん)」という書物にも、「古来より、祝いの膳に用いられてきたが、現今でも同様である」と書かれています。
干すと平たく広がることから、幸せがいっぱいに広がりますようにという願いが込めて、祝いの膳にのせたのです。
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江戸の町では、スルメはスナック風に食べられたり、居酒屋などの酒の肴として人気でした。
当時の川柳にも、しばしば登場します。
「熱そうに 足を縮める 焼きするめ」
「胴焼きへ 文鎮を置く するめ焼き」
「まきするめ 口へ入れて 困るなり」
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スルメには、タウリンという特集なアミノ酸が多く含まれています。
タウリンは、疲労回復や気力・体力の強化に役立つ成分です。
また、肝臓の機能を活性化する作用もあります。
酒飲みがスルメを好むのは、健康的な根拠があったのですね。
また、若返り効果の高いビタミンEも豊富ですよ。
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スルメは、噛めば噛むほど味が出てくることから、
「最初はあまり印象には残らないが、後になってだんだん良く感じるようになる」
という意味に用いられることがあります。
例えば、「スルメ曲」。
最初聴いた時にはあまり印象に残らないのですが、何度か聴くうちに、次第に曲の良さや深みを感じられる曲のことを指します。
私もそんな人物になりたいものです。
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