【市民大学講座とは?】
「市民大学講座」という言葉を聞いたことがあるかと思います。
市民のために開設される講座の集合体のことです。
以前ですと、自治体主催の講座が中心でした。
最近はそこから派生して生まれた学習サークル団体が、自分たちの力で学習会を行っているところが増えています。
しかも、定員数や年間回数が多く、広域で開催し、学習レベルの高い講座を市民大学という名を冠して実施している学習団体の増加が目立ちます。
市民大学について、桜美林大学の名誉教授・瀬沼克彰さんが解説していました。
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【1番有名な市民大学「清見潟大学塾」】
市民大学の中で、歴史が古くて定員数も多く、尚且つ知名度が高いのは、静岡市にある清見潟大学塾(きよみがただいがくじゅく)です。
●「清見潟大学塾」公式サイト
http://www.kiyomigata.sakura.ne.jp/
1985年に開設されました。
当時は12講座、160名の受講者でした。
現在は、134講座、3000名の受講者数という巨大な組織になっています。
大きな特徴として、行政からの資金的援助を一切受けていないことです。
行政からは、市内公民館を無料で借用しているだけです。
毎年1月、講座(市民教授)を募集し、パンフレットとチラシを作成し、受講者を募集します。
4月から開講し、月に1回〜2回の講座を継続し1年間で終了。
月1回の講座料として年7,000円 (運営費2,300円含む) 、月2回の講座は年13,000円 (運営費3,500円含む) を支払います。
1回当たりに換算すると500円台という低価格です。
講師は、受講料を最初の講義で集め、1割を事務局へ収めます。
塾は、受益者負担で進められます。
「良貨が悪貨を駆逐する」を合言葉に、優れた講師は何年でも受講者を獲得できますが、魅力のない講座は1年で受講者が来なくなり続けられません。
単年度が終わった後、継続・新規を含めて10人以上の受講者を集めることができなかった場合、その講座はそこで閉鎖されます。
また、開講した後も、最初の2ヶ月以内に受講者から請求があれば全額返金のうえ解約されてしまいます(クーリングオフ)。
講師が市民だからといっても、運営に甘い考えは皆無。
受講者が講座を淘汰する市場原理が働いています。
巧みな運営手法ですね。
これとは別に、「清見潟ゼミナール」というものも開講しています。
これは、受講生の男性比率を高める為に考案されたものです。
県内の大学の協力を得て、月1回大学教授による専門講義を実施しています。
受講料は年間で5000円。
受講生の男性比率は50%を超えています。
●清見潟ゼミナール | 清見潟大学塾
http://www.kiyomigata.sakura.ne.jp/29_zemi.html
※
【住民主導だから経費が安い】
清見潟大学塾は住民主導なので、経費があまりかかっていません。
年間240万円です。
●清見潟大学塾の年間経費内訳:年間240万円
・事務所家賃=60万円
・パート、アルバイトの人件費=180万円
もし、清見潟大学塾を自治体が運営しようとすると、ものすごい経費が必要になります。
試算しますと、ざっと3500万円かかります。
●自治体が運営した場合の年間経費内訳:年間3500万円
・職員2名+アルバイト3名の人件費=2000万円
・134講座の講師料(1回1万円と計算)=1340万円
・その他にPR、雑貨費
住民主導で行うと、経費が安いだけではなく、「自分たちのもの」という愛塾心も大きいです。
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【コワーキングスペースを増やして欲しい】
私は、生涯学習事業を自治体がすべきではないと考えています。
場所だけ提供すればいい。
理由は上記の通り、経費が莫大になるからです。
しかも、その恩恵を受けられるのは受講者だけです。
このようなものに、税金を多くかける必要はありません。
市場にて知恵を出しあい、しのぎを削って争えばいいと思います。
そうすれば、質の高い講座だけが生き残りますから。
大学を出た後、現役で会社員をやっている人間から見ますと、自治体が行っている市民大学の講座の多くは「ぬるい」です。
「大学ごっこ」にもなっていません。
そのくせ講義料も高いし、平日の昼間にしか開講していません。
講義よりも、「コワーキングスペース」を駅前に設けて欲しいです。
何年も前から提案していますが、動く素振りが1ミリもありません。
なんで、学生や年配者の為の場所はあるのに、お金を稼いでくる現役ビジネスマンの為の施設がないのでしょうか?
首都圏と違い地方都市は、ビジネスマンに最悪な町づくりです。
コワーキング(Coworking)とは、事務所スペース、会議室、打ち合わせスペースなどを共有しながら独立した仕事を行う共働ワークスタイルのことです。
それを行うコワーキングスペースは個室ではなく、図書館のようなオープンスペースです。
コワーキングスペースは、起業家やフリーランス、出張が多い職に就く人の利用が多いです。
しかし、会社員だって、会社のデスク以外で仕事をしたり、サイドビジネスや能力開発をしたいのです。
そういった場所が増えることを期待したいです。
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