2014年02月05日

90歳を過ぎても筋トレは有効

今日は、90歳を過ぎても筋トレは有効というお話しです。
(順天堂大学大学院・加齢制御医学講座・白澤卓二教授の解説)


三浦雄一郎さんは、80歳の最高齢でエベレスト登頂に成功しました。
絶壁の岩肌がむき出しになったヒラリーステップをよじ登るため、ロッククライミングの練習もしていたそうです。


日本人男性の平均寿命は79歳です。
それを考えると、80歳で登頂に成功した三浦さんは凄いですね。


毎日、トレーニングをすれば、誰でも三浦さんのようにスポーツを楽しむことができるのでしょうか?


高齢期に寝たきりの介護状態で過ごすより、前日まで元気に暮らし、ピンピンコロリで亡くなることが出来れば、日本の医療費の削減にも貢献するでしょう。



【90歳を過ぎても筋トレは有効】


90歳を過ぎても筋トレにより筋力を増強し、転倒予防効果があることが分かりました。


スペインのナバラ公立大学理学療法学部のミケル・イズクイエルド教授らの研究グループが、医学雑誌「加齢」に発表して話題になっています。


高齢者に週2回、筋トレや平衡性(バランスの力)改善運動を組み合わせた高齢者用エクササイズプログラムを12週にわたり指導しました。


筋トレは、最大筋力の40%〜50%にあたる負荷を8〜10回反復する筋トレプログラムを実施しました。


12週間後、上肢・下肢の筋力、歩行速度、椅子から立ち上がるのに要する時間、平衡感覚、転倒頻度を調べました。


上肢の筋力は平均11%、下肢の筋力は平均20%増強していました。
また、CTスキャンで脂肪浸潤の減少も確認されました。


つまり、筋トレにより筋肉量が増加して筋力が増強しただけではなく、メタボも改善したのです。


また、歩行速度も増加、平衡感覚機能が改善され、転倒回数が減少しました。


高齢期には、骨・筋肉などの運動器機能、心血管機能、認識機能などが徐々に低下することが、衰弱のリスクにつながります。
運動不足がこの衰弱リスクを加速する重大な要因だと考えられています。


高齢者向けのエクササイズプログラムは、健康を改善し、生活の質を高めることに有益です。
高齢化社会の日本でも普及するかもしれませんね。


※※※


【高齢者の骨折・転倒は生活破綻のきっかけ】


社会福祉法人の職員を経て、大学教授になった西垣千春さんは、高齢者の生活破綻の現状をよく知っています。


80歳を超えると余暇の楽しみ方は、テレビのみという人が多くなるそうです。
体が効かなくなり、生活範囲が狭まり、社会とつながる機会が減っていくからです。


介護が必要になるきっかけは、脳血管疾患がトップです。
この他に、認知症、老衰、関節疾患、骨折、転倒などがあります。
脳血管疾患や骨折、転倒は突然起きることが多く、生活が急変します。


不慮の事故による死亡率は、70歳を超えるころから急に高くなります。
死亡に至らなくとも、怪我、障害を持つきっかけになります。
事故をきっかけに生活破綻に陥る高齢者の数が増えています。


以上から身体的な健康が大切なのが分かりますよね。
健康・・・更に言えば、高齢者も筋トレによる筋力増強は大事なんじゃないかなあ。


高齢になってからの骨折は、本当に大変ですよ。
交通事故で足を骨折した自分の母を見て、とても痛感します。
自分自身の肉体的痛みだけではなく、当たり前だった日常生活ができなくなるのですから。
しかも、ある日突然です。


「終活」という言葉がありますが、あれは緩やかに訪れる死を前に、前もって準備しておく内容です。
けれど、骨折・転倒での生活の急変に備えている人なんて、あまりいません。
それに対処する意味での「終活」は、冒頭でご紹介した高齢者向けのエクササイズプログラムによる筋トレなのでしょうね。

Posted by kanzaki at 2014年02月05日 22:01