芥川龍之介の短編小説「藪の中(やぶのなか)」。
黒澤明監督が「羅生門」というタイトルで映画化したので、そちらのタイトルの方が有名かもしれません
(芥川龍之介の「藪の中」と「羅生門」をミックスしたもの)。
本田コンサルタント事務所・代表の本田有明さんが解説していました。
●藪の中 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%97%AA%E3%81%AE%E4%B8%AD
●芥川龍之介 藪の中 - 青空文庫
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/179_15255.html
人によって言い分が異なり、真相が分からない状況を「藪の中」といいます。
この小説に由来する表現です。
この小説はざっくり言うと、ある男性の殺害事件の犯人探しです。
事件の証人として3人の人物が尋問を受けます。
面白いのは、各人が罪を他人になすりつけるのではなく、それぞれが皆、「犯人は自分だ」と認めている点です。
さらに、罪は自分にあると認めているように見えて、実は各人が巧妙な論理で自分のプライドを守る工夫がほどこされているのです。
人間というのはどんな形であれ、最後まで自分のプライドを守ろうとする動物だという事を教えてくれます。
昨今、企業の内部告発が行われています。
自分も罪に荷担していたと認めたうえでの告発は、当人の不利益をも伴うだけに、信ぴょう性が高いと判断されがちです。
そこに心理的な落とし穴が生じやすいことを認識しておいた方がよいでしょう。
※※※
いや〜、現在でも通用する極上のミステリーという感じですね。
小説家・夏目漱石の名言に、こんなものがあります。
あせってはいけません。ただ、牛のように、図々しく進んで行くのが大事です。
これは夏目漱石が、避暑中の芥川龍之介に宛てた書簡です。
漱石が若き天才に贈った言葉。
数日後に送ったものには、こんな言葉もあります。
牛になる事はどうしても必要です。
吾々はとかく馬になりたがるが、牛には中々なりきれないです。
最近では、夏川草介の小説 「神様のカルテ3」でも引用されていましたね。
医者は「やさしい」ことも「かしこい」ことも大切だが、医者を辞めないで続けることが大切。
そのためには「つよい」ことが大事だと。
人間は窮地に陥ると、頭の細胞をフル回転させ、難を逃れようとします。
それは一発逆転を狙い、即効性な「悪」を生み出します。
自分が奈落に落ちるのを防ぐためには、こういう暗黒面は、どうしても出てくるものです。
特に、「組織の社風」で、大きく影響します。
けれど、それはあくまでも一時しのぎでしかありません。
結局、最後には、着実に一歩一歩進んだ人物、企業が勝つような気がします。
自分から悪人になる必要はないですよ。
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