2015年01月03日

「嫌われる勇気」のまとめ(1)〜2014年、amazonで1番売れたベストセラー本。自己啓発の源流「アドラー」の教え

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2014年、amazonで最も売れた本は、ビジネス実用本である「嫌われる勇気」です。


●Amazon.co.jp: 嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え: 岸見 一郎, 古賀 史健: 本
http://www.amazon.co.jp/dp/4478025819/


フロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称される、アルフレッド・アドラー。
彼の思想(アドラー心理学)を青年と哲人の対話篇という物語形式でまとめたものです。
どうすれば人は幸せに生きることが出来るのかが書かれています。
タイトルがひとり歩きしてしまい、読んでいない人と、読んだ人では、その意味がだいぶ異なっていると思います。



【第1章:トラウマを否定せよ】


・人は変われる、世界はシンプルである、誰もが幸福になれる。


・「世界」が複雑なのではなく、ひとえに「あなた」が世界を複雑なものとしているのです。


・人は誰しも、客観的な世界に住んでいるのではなく、自らが意味づけをほどこした主観的な世界に住んでいます。


・いま、あなたの目には世界が複雑怪奇な混沌として映っている。
しかし、あなた自身が変われば、世界はシンプルな世界を取り戻します。
問題は世界がどうであるかではなく、あなたがどうであるか、なのです。


・あなたは、サングラス越しに世界を見ているのかもしれない。
暗い世界を嘆くのではなく、ただサングラスを外してしまえばいい。
世界は強烈に眩しく、思わずまぶたを閉じてしまうかもしれない。
再び、サングラスが欲しくなるかもしれません。
それでもなお、サングラスを外すことができるか。
世界を直視できるか。
あなたにその「勇気」があるか、です。
人は変われます。
のみならず、幸福になることもできます。


・アドラー心理学では、過去の「原因」ではなく、今の「目的」を考えます。
「不安だから、外に出られない」のではありません。
順番は逆で「外に出たくないから、不安という感情をつくり出している」と考えるのです。
「外に出ない」という「目的」があって、その目的を達成する手段として、不安や恐怖といった感情をこしらえているのです。
アドラー心理学では、これを「目的論」と呼びます。
我々は従来の原因論の住人であり続ける限り、一歩も前に進めません。
我々は皆、なにかしらの「目的」に沿って生きている。
それが目的論。


・アドラー心理学では、トラウマを明確に否定します。
トラウマに苦しむのではなく、経験の中から目的にかなうものを見つけ出す。
自分の経験によって決定されるのではなく、経験に与える意味によって自らを決定するのです。


・我々は感情に支配されて動くのではありません。
この「人は感情に支配されない」という意味において、更には「過去にも支配されない」という意味において、アドラー心理学はニヒリズムの対極にある思想であり、哲学なのです。


・過去にどんな出来事があったとしても、そこにどんな意味付けを施すかによって、現在のあり方は決まってくるのです。


・「このままのあなた」でいていいかというと、それは違います。
もしも幸せを実感出来ずにいるのであれば、「このまま」でいいはずがない。
立ち止まること無く、一歩前に踏み出さないといけません。
大切なのは、なにが与えられているかではなく、与えられたものをどう使うかに注目するのです。


・我々に必要なのは交換ではなく、更新なのです。
今のあなたが不幸なのは、自らの手で「不幸であること」を選んでいるからなのです。
「不幸であること」が、自身にとっての「善」だと判断したのです。


・アドラー心理学では、性格や気質のことを「ライフスタイル」という言葉で説明します。
人生における、思想や行動の傾向です。
あなたはあなたのライフスタイルを、自ら選んだのです。


・ライフスタイルが先天的に与えられたものではなく、自分が選んだものであるなら、再び自分で選びなおす事も可能です。
あなたが変われないでいるのは、自らに対して「変わらない」という決心を下しているからなのです。
つまり人は、いろいろと不満はあったとしても、「このままの私」でいることのほうが楽であり、安心だと思っているのです。


・アドラー心理学は、「勇気の心理学」です。
あなたが不幸なのは、過去や環境のせいではありません。
ましてや能力が足りていないのでもない。
あなたには、ただ「勇気」が足りない。
いうなれば「幸せになる勇気」が足りていないのです。


・あなたが今、一番最初にやるべきことは何か?
それは「今のライフスタイルをやめる」という決心です。
つまり、前へ進むことです。


・「もしも○○だったら」と可能性の中に生きているうちは、変わることなど出来ません。
なぜなら、あなたは変われない自分への言い訳として、「もしも○○君のような人間になれたら」といっているのです。


・シンプルな課題(やるべきこと)を前にしながら「やれない理由」をあれこれとひねり出し続けるのは、苦しい生き方です。
世界や自分への意味付け(ライフスタイル)を変えれば、世界との関わり方、そして人生までもが変わらざるをえなくなります。
この「変わらざるをえない」というところを忘れないでください。
あなたは「あなた」のまま、ただライフスタイルを選び直せばいい。
厳しいかもしれませんが、シンプルです。


・アドラーの目的論は、「これまでの人生に何があったとしても、今後の人生をどう生きるかについてなんの影響もない」といっているのです。
自分の人生を決めるのは、「いま、ここ」に生きるあなたなのだ、と。



【第2章:全ての悩みは対人関係】


・なぜ、あなたは自分が嫌いなのか?
自分の短所ばかり目についてしまうのは、あなたが「自分を好きにならないでおこう」と、決心しているからです。
自分を好きにならないでという目的を達成する為に、長所を見ないで短所だけに注目しているのです。
自分を好きにならないことが、あなたにとっての「善」なのです。
そうすることで、可能性のなかに生きることが出来るからです。


・あなたが他者から嫌われ、対人関係の中で傷つくことを過剰に恐れているからです。
あなたの「目的」は、「他者との関係の中で傷つかないこと」なのです。
アドラーはいいます。
「悩みを消し去るには、宇宙のなかにただひとりで生きるしかない」のだと。
しかし、そんなことは出来ないのです。
アドラーは「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」とまで断言しています。
内面の悩みなどというものは存在しません。
どんな種類の悩みであれ、そこには必ず他者の影が介在します。


・まずは「今の自分」を受け入れてもらい、たとえ結果がどうであったとしても前に踏み出す勇気を持つことです。
アドラー心理学では、こうしたアプローチのことを「勇気づけ」と呼んでいます。


・我々を苦しめる劣等感は「客観的な事実(ex:背が低い)」ではなく、「主観的な解釈」なのです。
その劣等感に思っていることについて、私がどのような意味付けをほどこすか、どのような価値を与えるかなのです。
主観はひとつだけ長所があります。
それは、自分の手で選択が可能だということ。
客観的な事実は動かなくても、主観的な解釈はいくらでも動かすことができる。
そして私達は、主観的な世界の住人である。


・「劣等感」と「劣等コンプレックス」は違う。
劣等コンプレックスとは、自らの劣等感をある種の言い訳に使い始めた状態のこと。
「私は学歴が低いから、成功できない」「私は器量が悪いから、結婚できない」と考える。
アドラーはこういった因果関係(Aだから、Bが出来ない)について、「見かけの因果律」と説明しています。
本来、なんの因果関係もないところに、あたかも重大な因果関係があるかのように自らを説明し、納得させてしまう。


・単純に、一歩前に踏み出すことが怖いのです。
また、現実的な努力をしたくないのです。
いま享受している楽しみ(遊びや趣味)を犠牲にしてまで、変わりたくない。
つまり、ライフスタイルを変える「勇気」を持ちあわせていない。
多少の不満や不自由があったとしても、今のままでいた方が楽と考えているのです。


・自らの劣等コンプレックスを言葉や態度で表明する人、「AだからBができない」といっている人は、Aさえなければ、私は有能であり価値があるのだと、言外に暗示しているのです。


・もっとも健全な姿は、劣等感という何かしら欠如を感じている状態を努力と成長を通じて補償しようとします。
勉学に励んだり、練習を積んだり、仕事に精を出す。
しかし、その勇気を持ちえていない人は、劣等コンプレックスに踏み込んでしまいます。


・「優越コンプレックス」というものがあります。
あたかも自分が優れているかのように振る舞い、偽りの優越感に浸ることです。
有名人・権力者と懇意であることをアピールする「権威づけ」。
権威の力を借りて自らの力を大きく見せている人は結局、他者の価値観に生き、他者の人生を生きているのです。
その他にも、わざわざ言葉にして自慢している人は、むしろ自分に自信がないのです。
もしも自慢する人がいるとすれば、それは劣等感を感じているからにすぎないのです。


・不幸自慢は、特異な優越感に至るパターンです。
不幸であることによって「特別」であろうとし、不幸であるという一点において、人の上に立とうとします。
自らの不幸を武器に、相手を支配しようとします。
アドラーはこう指摘しています。
「私達の文化においては、弱さは非常に強くて権力がある」
「私達の文化の中で、誰が一番強いか自問すれば、赤ん坊であるというのが理論的な答えだろう。
赤ん坊は支配するが、支配される事はない」
自らの不幸を「特別」であるための武器として使っている限り、その人は永遠に不幸を必要とすることになります。


・人生は他者との競争ではない。
同じ平らな地平に、前を進んでいる人もいれば、その後ろを進んでいる人もいる。
みんな等しく平らな場所を歩んでいる。
誰とも競争することなく、ただ前を向いて歩いていけばいいのです。
他者と自分を比較する必要もありません。


・健全な劣等感とは、他者との比較の中で生まれるのではなく、「理想の自分」との比較から生まれるものです。
他者との間に違いがあることは積極的に認めましょう。
しかし、我々は「同じではないけれど対等」なのです。


・「お前の顔を気にしているのはお前だけ」
対人関係の軸に「競争」があると、人は対人関係の悩みから逃れられず、不幸から逃れることが出来ません。
対人関係を競争で考え、他者の幸福を「私の負け」であるかのように捉えているから、祝福も出来ないのです。


・「人々は私の仲間なのだ」と実感出来ていれば、世界の見え方は全く違ったものになります。
世界は危険な場所だと思うこともなく、不要な猜疑心に駆られることもなく、世界は安全で快適な場所に映ります。
対人関係の悩みも激減します。


・もし、面と向かってののしられたら、その人の隠し持つ「目的」を考えてみるのです。
直接的な面罵に限らず、相手の言動によって本気で腹が立ったら、相手が「権力争い」を挑んできているのだと考えて下さい。
勝つことによって、自らの力を証明したいのです。
もし、相手が争いに敗れたら、いったんは引き下がっても、次に「復讐」の段階に突入します。
親から虐げられた子供が非行に走るのもそうです。
これは、子供が隠し持っている目的、すなわち「親への復讐」という目的です。
親は慌てふためき、深刻に悩む。
子供はそれを知った上で、問題行動に出ます。
対人関係が復讐の段階になると、当事者同士で解決は不可能になります。
そうならないためにも、権力争いを挑まれたら、絶対に乗ってはならないのです。


・相手が闘いを挑んできたら、そしてそれが権力争いだと察知したら、いち早く争いから降りるのです。
人は、対人関係の中で「私は正しいのだ」と確信した瞬間、すでに権力争いに足を踏み入れているのです。
相手のアクションに対してリアクションを返さない。
我々に出来るのは、それだけです。
怒ってはいけない、ではなく「怒りという道具に頼る必要がない」のです。


・負けたくないとの一心から自らの誤りを認めようとせず、結果的に誤った道を選んでしまう。
誤りを認めること、謝罪を述べること、権力争いから降りること、これらはいずれも「負け」ではありません。


・アドラー心理学では、人間の行動面と心理面のあり方について、はっきりとした目標を掲げています。

行動面の目標:
(1)自立すること
(2)社会と調和して暮らせること

行動を支える心理面の目標:
(1)私には能力がある、という意識
(2)人々は私の仲間である、という意識


・「人生のタスク」とは?
成長していく過程で、さまざまな交友関係を持ちます。
それらの過程で生まれる「仕事のタスク(仕事上での対人関係)」「交友のタスク(仕事と離れた、広い意味での友人関係)」「愛のタスク(恋愛関係、親子関係)」の3つに分け、まとめて「人生のタスク」と、アドラーは呼びました。
一人の個人が、社会的な存在として生きていこうとする時、直面せざるをえない対人関係が、人生のタスクです。
今の段階で言えるのは、逃げてはならない、という事。
向き合うことを回避し、先延ばしするのはいけません。
一番いけないのは、「このまま」の状態で立ち止まる事です。


・アドラー心理学は、他者を変える為の心理学ではなく、自分が変わる為の心理学です。
他者が変わるのを待つのではなく、そして状況が変わるのを待つのでもなく、あなたが最初の一歩を踏み出すのです。


・アドラーは、さまざまな口実を設けて人生のタスクを回避しようとする事態を「人生の嘘」と呼びました。
今、我々が語るべきは、善意でも道徳でもなく「勇気」の問題なのです。


・フロイト的な原因論は「所有の心理学」なのに対して、アドラー心理学は「使用の心理学」です。
自らのライフスタイルを自分の手で選ぶのです。
我々には、その力があります。


【次回へ続く】


●次回の記事: 「嫌われる勇気」のまとめ(2)〜2014年、amazonで1番売れたベストセラー本。自己啓発の源流「アドラー」の教え
http://kanzaki.sub.jp/archives/003260.html

Posted by kanzaki at 2015年01月03日 19:30