2015年01月04日

「嫌われる勇気」のまとめ(2)〜2014年、amazonで1番売れたベストセラー本。自己啓発の源流「アドラー」の教え

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前回の続きです。

●前回の記事: 「嫌われる勇気」のまとめ(1)〜2014年、amazonで1番売れたベストセラー本。自己啓発の源流「アドラー」の教え
http://kanzaki.sub.jp/archives/003259.html


「嫌われる勇気」とは、2014年にamazonで最も売れたビジネス実用本です。


●Amazon.co.jp: 嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え: 岸見 一郎, 古賀 史健: 本
http://www.amazon.co.jp/dp/4478025819/


フロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称される、アルフレッド・アドラー。
彼の思想(アドラー心理学)を青年と哲人の対話篇という物語形式でまとめたものです。
どうすれば人は幸せに生きることが出来るのかが書かれています。



【第3章:他者の課題を切り捨てる】


・「あの人」の期待を満たすために生きてはいけない。
他者からの承認を求め、他者からの評価ばかりを気にしていると、最終的には他者の人生を生きることになります。


・アドラーは、賞罰による教育を厳しく批判しました。
(適切な行動をとったら、褒めてもらえる。不適切な行動をとったら、罰せられる)
他者の期待など、満たす必要はないのです。
また、他者もあなたの期待を満たすために生きているのではない。
相手が自分の思う通りに動いてくれなくても、怒ってはいけません。
それが当たり前なのです。


・ただし、傍若無人に振る舞えと言っているのではありません。
アドラー心理学における「課題の分離」という考え方を知る必要があります。
我々は「これは誰の課題なのか?」という視点から、自分の課題と他者の課題とを分離していく必要があるのです。


・課題を分離して、他者の課題に踏み込まない。
対人関係のトラブルは、他者の課題に土足で踏み込む事、あるいは踏み込まれる事で引き起こされるからです。


・誰の課題かを見分ける方法はシンプル。
その選択によってもたらされる結末を最終的に引き受けるのは誰か? で考えます。


・子供が「勉強をしない」という選択をした時、その決断によってもたらされる結末(授業についていけなくなる。希望の学校に入れない)を最終的に引き受けるのは、親ではなく子供です。
勉強は、子供の課題。
「あなたの為を思って」と言う親は、明らかに自分の目的(世間体や見栄、支配欲など)であり、その欺瞞を察知するからこそ、子供は反発するのです。


・アドラー心理学は、放任主義の推奨はしていません。
子供が何をしているかを知った上で、見守ること。
勉強についていえば、それが本人の課題であることを伝え、もしも本人が勉強したいときには、いつでも援助をする用意があることを伝えておく。
頼まれもしないのに土足で踏み込んではいけないのです。
自分を変えることが出来るのは、自分しかいません。


・自らの生について、あなたが出来るのは「自分の信じる最善の道を選ぶこと」、それだけです。
一方で、その選択について他者がどのような評価を下すのか。
これは他者の課題であって、あなたにはどうにも出来ない話しです。
分離するとは、そういう事です。
他者の課題のはずの事まで、自分の課題と思い込んではいけません。
他者の課題には介入せず、自分の課題には誰ひとりとして介入させない。
これは具体的で、なおかつ対人関係の悩みを一変させる可能性を秘めた、アドラー心理学ならではの画期的な視点です。


・どうしてそんな不自由な生き方を選んでいるのか?
要するに、誰からも嫌われたくないのでしょう。
他者の期待を満たすように生きて、自分の人生を他人任せにすること。
これは、自分に嘘をつき、周囲の人々に対しても嘘をつき続ける生き方なのです。


・「自由」とは何か?
自由とは、他者から嫌われることである。
他者の評価を気にかけず、他者から嫌われる事を恐れず、承認されないかもしれないというコストを支払わない限り、自分の生き方を貫くことは出来ない。
つまり、自由にはなれないのです。
嫌われることを恐れるな。
幸せになる勇気には、「嫌われる勇気」も含まれます。


・対人関係のカードは常に「私」が握っているのです。
まずは「自分」なのです。
私が変わったところで、変わるのは私だけです。
その結果として相手がどうなるかは分からないし、自分が関与するところではない。
これも課題の分離です。



【第4章:世界の中心はどこにあるか】


・アドラー心理学の正式名称は「個人心理学」。
ここでいう「個人」とは、これ以上分けられない最少単位という事です。
精神と身体を分けて考えない。
理性と感情を分けて考えない。
意識と無意識を分けて考えない。
心と身体は一体であり、これ以上分割出来ない一つの「全体」なのです。
心の緊張で手足が震えるといったように。


・人間をこれ以上分割出来ない存在だととらえ、「全体としての私」を考えることを「全体論」と呼びます。


・課題の分離は、対人関係の出発点です。
対人関係のゴールは、結論だけを答えよというならば「共同体感覚」です。
他者を仲間だと見なし、そこに「自分の居場所がある」と感じられることを共同体感覚といいます。
幸福なる対人関係のあり方を考える、もっとも重要な指標なのです。


・「共同体」とは、学校、職場、地域社会だけではなく、国家や人類、過去から未来、動物から無生物まで全てを含みます。
アドラー自身、共同体について「到達できない理想」だと認めています。


・自己への執着を他者への関心に切り替えていきましょう。
「他者からどう見られているか」ばかりを気にかける生き方こそ、「私」にしか関心を持たない自己中心的なライフスタイルなのです。


・「私」は、世界の中心に君臨しているのではありません。
「私」は人生の主人公でありながら、あくまでも共同体の一員であり、全体の一部なのです。
自分にしか関心のない人にとって他者は、「私のために何かをしてくれる人」でしかないのです。


・我々は皆、「ここにいてもいいんだ」という所属感を求めています。
アドラー心理学では、所属感とは、ただそこにいるだけでは得られるものではなく、共同体に対して自らが積極的にコミットすることによって得られるものだと考えます。
「人生のタスク」に立ち向かう事です。
仕事、交友、愛という対人関係を回避するのではなく、自ら足を踏み出していく。
「私はこの人に何を与えられるか?」を考えなければなりません。
それが共同体へのコミットなのです。
所属感とは、生まれながらに与えられるものではなく、自らの手で獲得していくものなのです。


・我々が対人関係の中でぶつかった時、出口が見えなくなってしまった時、まず考えるべきは「より大きな共同体に聴け」という原則です。
学校なら学校という共同体のコモンセンス(共通感覚)で物事を判断せず、より大きな共同体のコモンセンスに従うのです。
目の前の小さな共同体に固執する必要はありません。


・どうすれば互いに協調し合って、協力し合うような関係につながるのか?
ここで登場するのが「横の関係」という概念になります。


・親子関係における子育て。
アドラー心理学では、子育てをはじめとする他者とのコミュニケーション全般について「褒めてはいけない」という立場をとります。
体罰も、叱るのも、褒めるのもダメ。
褒めるという行為には、「能力がある人が、能力のない人に下す評価」という側面が含まれています。
褒めたり叱ったりする背後にある目的は「操作」です。
アドラー心理学が賞罰教育を否定しているのは、それが子供を操作する為だからです。


・アドラー心理学ではあらゆる「縦の関係」を否定し、全ての対人関係を「横の関係」とすることを提唱しています。


・劣等感とは、縦の関係の中から生じてくる意識です。
「同じではないけれど対等」という横の関係を築く事ができれば、劣等コンプレックスが生まれる余地は無くなります。


・なぜ人は、他者の課題に対して土足で踏み込むのか?
対人関係を縦で捉え、相手を自分より低く見ているからこそ、介入してしまうのです。
この介入は、操作に他なりません。
ex.勉強しなさいと子供に命令する親


・目の前で苦しんでいる人がいたら、見過ごすわけにはいきません。
介入にならない「援助」をする必要があります。
援助は介入と違い、大前提に課題の分離があり、横の関係があります。
強制ではなく、あくまでも課題を分離したまま、自力での解決を援助していきます。
「馬を水辺に連れて行くことはできるが、水を呑ませるこはできない(イギリスのことわざ)」
課題に立ち向かうのは本人、その決心をするのも本人。
褒めるのでも、叱るのでもない。
こうした横の関係に基づく援助のことをアドラー心理学では「勇気づけ」と呼んでいます。


・人は褒められることによって、「自分には能力がない」という信念を形成してしまいます。
褒めてもらうことが目的になると、他者の価値観に合わせた生き方を選ぶことになってしまいます。
まずは課題の分離をすること。
そして互いが違うことを受け入れながら、対等な横の関係を築くこと。
「勇気づけ」は、その先にあるアプローチになります。


・他者の事を「行為」のレベルではなく、「存在」のレベルで見ていきましょう。
他者が何をしたかで判断せず、そこに存在していること、それ自体を喜び、感謝の言葉をかけていくのです。
素直に「ありがとう」と声をかければ、相手は自らの価値を実感し、新しい一歩を踏み出すかもしれません。
誰かが始めなければならない。
他の人が協力的でないとしても、それはあなたには関係ない。
あなたが始めるべきだ。
他の人が協力的であるかなど考えることなく。


・まず、他者との間に、ひとつでもいいから横の関係を築いていくこと。
そこからスタートしましょう。
それはライフスタイルの大転換です。


・会社組織などがあります。
この場合、上司などに親友のように振る舞いなさいと言っているのではありません。
意識の上で対等であること。
そして、主張すべきは堂々と主張することが大切なのです。


【次回(ラスト)へ続く】

●次回の記事: 「嫌われる勇気」のまとめ(3)〜2014年、amazonで1番売れたベストセラー本。自己啓発の源流「アドラー」の教え
http://kanzaki.sub.jp/archives/003261.html

Posted by kanzaki at 2015年01月04日 07:20