芥川龍之介が書いた「蜘蛛の糸」。
超短編ながら印象的で、教訓めいたお話しです。
●青空文庫:蜘蛛の糸
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/92_14545.html
地獄に垂れ下がった一本の蜘蛛の糸。
それを昇る罪人たちの末路・・・。
ここに登場する「地獄」を「ブラック企業」に置き換えてみると、なんとも救いようのない現実に涙が出る人が多いことでしょう。
※
【あらすじ】
・地獄の底でうごめいている罪人たちがいます。
・お釈迦様が見ていると、一人、かつて小さな善い行いをした男がいました。
・この男は以前、道で踏みそうになった蜘蛛を助けてやったのです。
・その善に報いてやるため、お釈迦様は蓮池から彼の頭上に一本の糸をおろしました。
・男はすぐに糸をつかみ、するすると昇りました。
・すると、あとから次々と地獄の罪人たちが昇りはじめ、細い蜘蛛の糸は鈴なりの様子となりました。
・男は「この糸は俺のものだぞ。みんな降りろ!」と言いました。
・すると次の瞬間、糸はぷっつりと切れて、男はまっさかさまに地獄の底へ落ちていきましたとさ。
※
教訓:
人間はわずかな善行によっても釈迦の慈悲心によって救われる存在。
しかし、人を蹴落として自分だけが救われようとするエゴイズムによって罰せられる存在でもある。
この「蜘蛛の糸」という作品には元があります。
ポール・ケーラスの短篇集「カルマ」に収録された「ザ・スパイダー・ウェブ」。
1895年に邦訳が刊行。
芥川はそれに基づき、1918年に「蜘蛛の糸」を発表しました。
これって盗・・・。
※
【いろんな考察】
印象的でシンプルであるが故に、この物語をどう解釈・考察するかを楽しめるというものです。
例えば・・・
・なんでお釈迦様は、もっと丈夫な糸を用意してやらないんだよ。
それぐらい出来る万能能力があるのに。
・実は、お釈迦様が用意した糸は、元から切れやすいようにしてあったのかも。
わざと希望をもたせておいた上で、絶望にたたきつける方が、絶望が何倍にもなるから。
それぐらい、背負った罪は深いのだから、もっと反省して欲しかった。
たかだか小さな一つの善い行いで、帳消しになんてならないのだ。
・いやいや。最後、男が地獄の底へ落ちていっても、お釈迦様は何事も無かったかのように立ち去っているのだよ。
これってつまり、どうでもいいお釈迦様の、サディストな暇つぶしだったのかも。
いろんな考察ができますね。
特に、現在の社会状況においては、この物語が改めて再認識されているように思います。
この「地獄」を「ブラック企業」・・・っていうか、自分の勤めている会社と重ねあわせてしまう人も多いかも。
その場合、お釈迦様は、企業のトップになるのでしょうかね。
切れやすい糸を垂らして、小説のような事をされてしまうと、ゴールは絶望しか見えません。
この場合、「蜘蛛の糸」はなにになるのでしょうね。
もの凄く魅力的だけれども、もの凄く危ういもの。
それぞれの立場で違うでしょう。
小説に出てくる地獄にいるのは罪人です。悪い人です。
しかし、現実の我々は、別に悪いことなんてしていないのです。
むしろ、善いことを日々やって、慎ましく生きているのです。
それでも、この小説と現実をリンクさせてしまうのは、色々と現状に不満があるからです。
※
【まじめな子が損をするのがAKB48?】
●情熱大陸 公式動画「アイドル(AKB48)・渡辺麻友」
https://youtu.be/8TjJkfQqw40
(番組まるまる公開しています)
この前の「情熱大陸(TBS系列)」は、AKB48の渡辺麻友さんでした。
同番組で、今年2番めに高い視聴率でした。
インタビューにて、こう答えています。
AKBはまじめに頑張ったり、一生懸命やったりストイックにやったり、それが正解じゃないところなんで。
まじめな子が損をするような世界でもあるので。
でも私はいつか絶対、報われると信じて諦めないでやってきた。
この言葉がネット界隈で絶賛されています。
正直者が馬鹿を見る日本。
それに嫌気がさしてるのが原因だといわれています。
「いつやるか? 今でしょ!」で有名な林修(はやし おさむ)先生がいますね。
先生の言葉で、下記が一番印象に残っています。
努力は裏切らないっていう言葉は不正確だ。
正しい場所で、正しい方向で、十分な量なされた努力は裏切らない。
それ故に、大人たちが、正しい道しるべを指し示してあげないといけないのでしょうね。
決して、暇つぶしに蜘蛛の糸を垂らし、失敗したら知らんぷりするようでは駄目ですよね。
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