2016年02月18日

童話集「くまの子ウーフ」の一編「くま一ぴきぶんは ねずみ百ぴきぶんか」〜足元を見る心構え「脚下照顧(きゃっかしょうこ)」

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●くまの子ウーフ (くまの子ウーフの童話集) _ 神沢 利子, 井上 洋介 _ 本-通販 _ Amazon.co.jp
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童話集「くまの子ウーフ」。
その一編に「くま一ぴきぶんは ねずみ百ぴきぶんか」があります。

・日照りに困った動物たちのお話し。

・大きなクマ(ウーフ)は普段、水も木の実も、ネズミ100匹分飲み食いしています。
小さなネズミはそれが不満でした。

・雨が降ったのでこれ幸いと、みんなでため池を作ることにしました。

・ウーフは、ネズミ100匹分働くつもりでした。
ネズミの苦言を気にしていたからです。

・ウーフのお父さんは、こう諭しました。

「誰が誰の何匹分なんかじゃなくて、みんなが自分1匹分の仕事をすればいいんだよ」

・普通に働けば結果的に、みんなの役に立つ。まずは自分の責任を。


(新潟日報朝刊にて紹介)


※※※


貢献する、もてなす、人の役に立つ。
これだけで十分、働く動機、生きる意味になります。


上記の童話にて、「ネズミ100匹分働く」というのは、競争・欲にも似た考えなのかもしれません。
だからお父さんは諭したのかなと。


人は煩悩(我欲・怒り・妄想)に執着すれば、必ず苦しみ、満たされなさが生まれます。


欲望は、自分を見失い、本来の生き方、良き心を忘れさせてしまいます。
この競争社会で、多くの人が正しい生き方を忘れています。


実際、ネズミ100匹分働くと意気込んで働いたら、だんだんイライラして、「なんで俺だけが・・・」と怒りがわいてくることでしょう。
賞賛されることはありません。



いろんな組織でも、同じようなことがあるものです。
相手の事情も知らず、「隣の芝生は青い」と不満を持つものです。


以前は私も、公私ともにそういう感情を向けられた際、気にしていました。
ある意味、これもコンプレックスになって嫌でした。


今はというと、同じ土俵にのって、負の感情を返さないようにしています。
そういう感情から降りる、手放す。
他の方へ意識を向け、衝突しないで、距離を置く。
そうすれば、気にしないでいられます。
無理して迎合しません。


現代人のボトルネックは、「嫉妬」「承認欲求」です。
成功した相手がうらやましい、それに比べて自分は・・・。
なんとしても世間に認められたい、注目を浴びたい。
自分の感情の条件に、相手が必要というのは切ない生き方です。


相手の目は意識しない、考えない。
足元を見て、できることを積み重ねる。改善していく。
自分の内側を見て、今立っている場所からスタートする。


禅の世界では、この足元を見る心構えを「脚下照顧(きゃっかしょうこ)」と言います。

Posted by kanzaki at 2016年02月18日 21:59