2017年03月28日

夏目漱石の講演集「私の個人主義」〜人間が行う広義の仕事とは、「道楽」と「職業」に大別できる

「私の個人主義」とは、夏目漱石の講演集です。


●人間が行う広義の仕事→「道楽」と「職業」に大別。

・・・「道楽」:己のためにする仕事

・・・「職業」:人のためにする仕事

・・・・「道楽」と「職業」の間にある折衷的なもの:道楽的主義という一種の変体


●「道楽的主義という一種の変体」とは?

職業とは、他人のために汗水を流す「苦役」だった。
芸術家や学者は、ワガママに己の道を貫いて成功する。
彼らにとって道楽=本職。
自分の好きなことに打ち込むのは「道楽」であり、遊びの領域。
絵描きや物書きが、一般市民から尊敬を集めるなど、歴史的観点からみればついこの前までなかったのである。


※※※


今は、自己本位の道楽そのものが、他人本位の職業として成立し、多くの報酬を得られる時代です。
昔ならテレビに出てくる人(歌手とか芸人、文化人)ぐらいでしたが、今では、ユーチューバーなんてものもあり、子どもたちのあこがれの職業だとか。


その半面、自分がなりたい職業の1位は「公務員」というのが、今の日本です。
学生には、気軽な職業の割に給料が高くて、他人に自慢できる職業だと思われているのかもしれませんね。


仕事なんて、どの会社に入ったかではなく、そこでなにをやったか、なにを考えたか、誰と出会ったかが大切です。
どの職業であろうが、いろんな体験はできるし、いろいろと深く考えられます。


現実をきちんと受け止めて、自分なりに前向きに解釈できるようになるのが社会人だと思います。


社会人になって、もう何度目の春になるのか忘れました。
けれど、心はいつも、春のような穏やかさで満ち足りていたいものです。

Posted by kanzaki at 2017年03月28日 23:26