2021年03月11日

新入社員へ教えなければいけないのに、ついうっかり忘れてしまう大切なこと〜それは「暗黙知」というそのグループ内での「当然の知識」

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来月、新入社員が入ってくる職場も多いことでしょう。
教えることはたくさんあるかと思います。


社会人の知識。
この会社の知識。
この部署の知識。


意外とみなさん気づかない事があります。
それが「暗黙知」です。


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●『仕事が速いのにミスしない人は、何をしているのか?』(飯野謙次 著)より


【「当然」は絶対、伝わらない】


「伝達不良」を防ぐ条件のひとつが、「暗黙知」を理解することです。


この言葉は、「未だ言葉になっていない知識」(野中郁次郎先生)の意味で使われることが多いですが、ハンガリーのマイケル・ポラニーという人が「言葉で表現できない知識」という定義に基づいています。


少数の人間が共通の目的に向かって作業をしていく中で、繰り返し確認され、やがてそのグループの中で「当然の知識」として共有されるのが暗黙知です。


「当然の知識」ですから、言葉になることもありません。


初期のメンバーで仕事をずっと進めていくうえでは問題は起こりませんが、厄介なのがこのグループに新しい人が来たときです。
「当然の知識」はもともと言葉にしにくいものも多く、新参者にはなかなか伝わりません。


前からいる人には至極当然のことなので、教えてあげなきゃいけないという意識も湧かないのです。


このときに中間的な人──自分も以前に、途中からそのグループに参加して、暗黙知がわからずに苦労した記憶を持っている人──がいると、親切に教えてくれるわけです。


組織を強くするためには、この「暗黙知」を「形式知(知識として、皆が共有しているもの)」に落とし込まなければいけない、というのが、野中先生の主張です。


人の流動も少なく家族的だった昔の日本企業は、この暗黙知を駆使して、効率よく市場を開拓していました。


しかし、企業のグローバル化とコスト削減のための人の流動化が当たり前となった今では、知識は明確に文書に落とし込んで共有しなければ、どこかで内部情報のずれが起こり、失敗が発現して厳しい競争に負けてしまいます。


暗黙知による「伝達不良」を防ぐ手段としては、見えたときに書き留めて「形式知」にしていくことしかありませんが、今の情報過多の時代で、普通にメモをしていたのではなくしてしまいます。


そこで、メモやマニュアルを工夫する必要があるわけです。


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「暗黙知」は盲点だと思います。
当たり前にやっていることなので、相手も知っていて当然と勘違いしてしまいます。


教える内容の項目にすら、載せるのを忘れてしまう事。


相手は新入社員。
「知っていて当然」は通用しません。


そのためにも、マニュアルやチェックリストなどで「言語化」しておく方が良いと思います。


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Posted by kanzaki at 2021年03月11日 06:36