2021年12月07日

現状維持への固執

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●『働くみんなの必修講義 転職学 人生が豊かになる科学的なキャリア行動とは』(中原 淳, 小林 祐児, パーソル総合研究所 著)より


先に言及した「転石苔を生ぜず」という格言は、日本では「転がってばかりいると、地位や財産を失う」という意味で用いられることが多いのですが、異なる文化・社会背景の国に行くと、その意味はまったく異なります。


「転がってさえいれば、能力やスキルが錆びつかない」と解釈する国もあるのです。


このように意味が異なるのは、格言はたとえ同じセンテンスであっても、その解釈は文化や社会に埋め込まれていることが理由ですが、長きにわたって日本における転職とは、「苔がつかない(地位や財産を失う)」、すなわちできれば避けたほうがよい行為であり、そうした文化のもとで、人々は仕事をしてきたのです。

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行動経済学の知見によれば、人は多くの場合、「現状維持バイアス(バイアス=歪み)」を抱くことが知られています。


これは、人間は合理的で数量的な判断よりも、「現在」を基準として、その判断を「歪んだかたち」で思考してしまうクセのようなもの(「ヒューリスティクス」と呼ぶ)をもっている、ということです。


たとえば、二〇〇二年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンとエイモス・トべルスキーが提唱した「プロスペクト理論」の実験では、人間は新たに二〇〇ドルをもらうチャンスよりも、いまもっている一〇〇ドルを失うリスクのほうに関心を向けることが明らかになりました。


人が何かを「得ること」よりも「失うこと」のほうに気をとられ、それを避ける意思決定を行なってしまうことを「損失回避性」と呼んだりします。

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「サンク・コスト効果」と呼ばれるバイアスも有名です。


サンク・コストとは、すでに過去から投資を行なっていて、いまからではそれが回収できないコストのことを指します。


ある人が、「バレリーナになりたい」という目標をめざして頑張り、多額の費用や時間を投資してきたとします。
しかしある日、なんらかの理由で自分はバレリーナになれないことを悟った、それでも簡単にはバレリーナになる目標を撤回できない、というような例が、わかりやすいでしょうか。


これらを転職時に置き換えれば、これからの転職でプラスのメリットが得られるとしても、これまで組織内で苦労して手に入れてきたメンバーシップや人間関係資産を失いたくないという「現状維持」へのバイアスが働くことである、と理解できるでしょう。


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日々の生活・仕事の中で、「現状維持への固執」というのは往々にあるものですよね。


私はプライベートなことに関しては、現状維持とかこだわりはありません。
どうしても手放したくないというようなものは無いかなあ。
代替できるものがあれば、そんなに固執しない方です。


多分、お金が無いから高価なモノとか所有していないのが理由かもしれません。
その辺りから、生活全般に関してこだわりがない・・・どうでもいいという感じです。
それ故に、上昇志向がないのでしょうね。


現状維持というより、もう「あきらめた」という感じでしょうか。
Posted by kanzaki at 2021年12月07日 06:58