●『僕らが毎日やっている最強の読み方―新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける70の極意』(池上 彰, 佐藤 優 著)より
池上:
冒頭で佐藤さんがおっしゃったとおり、世の中で起こっていることを「知る」には新聞がベースになりますが、世の中で起こっていることを「理解する」には書籍がベースになりますね。
情報の新しさではネットに軍配が上がりますが、書籍には書き手によってきちんと精査、分析された情報が書かれていて、土台となる基礎知識を身につけようと思えば、書籍を読むことが必要不可欠です。
佐藤:
ベースとなる知識を身につけるには、「情報の新しさ」よりも「記述の信頼度」と「体系的」かどうかが重要ですからね。
「基礎知識は書籍でしか身につかない」というのが原則だと私も思います。
池上:
いい基本書を見つけ、基礎知識をしっかり身につければ、新聞やネットでニュースを見たときにも因果関係がすぐに理解できるようになります。
私自身、いまも基礎知識がない分野について下地をつくるときは、机に向かって一生懸命勉強するように本を読むこともあります。
一度基礎がわかってしまうまでが大変ですが、それをやっておくかどうかで、あとあと大きな違いが出てきますから。
佐藤:
なぜ書籍を読むことが大切かというと、書籍は基本的に、体系的にひとつのまとまった世界として内容を提示しようとしているからです。
そのうえ、新聞や雑誌と同様、「編集」「校閲」というフィルターが書籍にはきちんと機能しています。
土台となる基礎知識を身につけていくには、「記述の信頼度」と「体系的」かどうかの2つが重要で、それに最も適しているのが書籍です。
佐藤:
池上さんは、書店でまとめ買いした本は、全部きっちり読まれるんですか。
池上:
とても全部は読めませんが、まとめ買いした本を何冊か読んでいくと、それらの関連書籍の元になっている「タネ本」(基本書)がわかります。
多くは、そのテーマの初期に出版された本です。
それがわかったら、そのタネ本はしっかり熟読します。
どんなジャンルでもベースになるタネ本はせいぜい3冊以内なので、そこはしっかり読むといいですね。
佐藤:
タネ本って、関連書籍でもあまり言及されていないんですよね。
それを見て書いているのがバレると気まずいから、みんな言及を避けている。
そういった不自然さもタネ本探しのヒントになります。
佐藤:
私も「迷ったら買う」が原則です。
もちろんハズレの本もありますが、それでも本から得られる情報は「安い」ですからね。
どの分野の本でも、本1冊に書かれたものと同程度の情報を、人を通して得ようと思ったら、食事代や謝礼など、本代の何倍も費用がかかりますから。
佐藤:
アメリカの大学院に留学するには1000万円以上もの費用がかかりますが、そこで使われているテキストだったら数千円で買えます。
CIAのような情報機関が何億円もかけて収集した情報も、文庫本で読める時代です。
「本の費用対効果は非常に高い」ということを、もっと多くの人に認識してほしいですね。
※※※
【コメント】
・どんなジャンルでもベースになるタネ本はせいぜい3冊以内
・本から得られる情報は「安い」
本当、そのとおりですね。
自己啓発本系は、書いていることが大抵同じです。
元ネタの書籍や実験データが同じ。
そういう意味でも、興味の出た本があったら、関連書籍も併せて読むと良いですよ。
別の本なのに、同じ事が書かれていますから。
それだけ、そのジャンルでは重要な箇所だとも言えます。
本を1冊出版するのって、本当に大変なようです。
買う側からすれば、他のメディアよりコスパがいい。
反対に言えば、著者と編集者は値段に見合わない労力をつぎ込んでいます。
最近は、結論・要点だけ欲しい人が多いです。
そういう人にこそ、本が手っ取り早いです。
目次を見て、目的のところへ一瞬でページをめくり、最後の締めの部分を読めば良いのですから。
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