●『僕らが毎日やっている最強の読み方―新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける70の極意』(池上 彰, 佐藤 優 著)より
佐藤:
池上さんは、熟読する本と速読で済ませる本の選別は、どうしていますか?
池上:
「本の種類」によって変えています。
基本書となる「タネ本」はじっくり読みます。
ほとんどがそのジャンルの初期に出版されたものなので読みにくいこともありますが、理解できるまで何度も読みます。
速読で済ませるのは、これまでに読んだ関連本よりも内容が薄かったり、新しい発見があるとは思えない本ですね。
ただし、どの本も「はじめに」と「おわりに」には必ず目を通します。
熟読する本なら全体像を俯瞰できてスムーズに読めますし、速読で済ませる本も「はじめに」「おわりに」に目を通しておくことで、のちのちの記憶に大きな差が出てくるので。
佐藤:
私は基本的に、読み飛ばす本もすべてのページをめくるようにしています。
熟読するに値する本かどうかを見極めるコツは、最初に本の「真ん中」部分を開いて、そこを少し読んでみることです。
冒頭と末尾は、著者と編集者が「売る」ために一生懸命力を入れてつくりますが、真ん中は書き手も編集者も緊張と集中力が続かず、中だるみしがちです。
だから、あえてその本のいちばん弱い真ん中の部分を拾い読みすることで、本の水準を知るんです。
真ん中あたりに誤植が多かったり、文章が論理的につながっていないような本は、あらかじめ排除して読まないようにしています。
■佐藤流「超速読」と「普通の速読」のやり方
──超速読は1冊5分、「普通の速読」は1ページ15秒で処理する
池上:
「超速読」でも「普通の速読」でも、「すべてのページに目を通す」という原則は変わらないわけですよね。
佐藤:
そうです。
「超速読」は1冊を5分程度で読むやり方で、「はじめに」の1ページと目次を読み、それ以外はひたすらページをめくります。
このとき、文字は読まずにページ全体を見るようにし、目に飛び込んでくる見出しやキーワードを頭に焼き付けます。
そして結論部分の1ページを読みます。
そうすることで、本全体の印象をつかむと同時に、熟読に値する本かどうかを見極め、その本で読むべき箇所のあたりもつけます。
池上:
そのジャンルの基礎知識さえしっかりしていれば、それでも本のおおよその内容はつかめそうですね。
「普通の速読」というのは?
佐藤:
「普通の速読」は1冊を30分程度で読むやり方で、文字をできるだけ速く目で追い、1ページ15秒で読むことを目標にします。
まず「はじめに」と目次、そして「おわりに」を読み、その本のどこが重要かのあたりをつけ、その箇所は1ページ15秒、それ以外は超速読で済ませます。
同じ行を何度も読まないようにするために定規を使うこともあります。
※※※
【コメント】
多読の人でも、買った本を隅から隅までじっくり読んでいるわけではないのですね。
最初に本の「真ん中」部分を開いて少し読んでみるというのは、面白い着眼点ですね。
中だるみしている部分で、その本の水準を測る。
人には1日24時間しかありません。
限られた時間でやりくりするには、今回みたいな速読や本の取捨選択は良いアイデアですね。
これに、10分とかの「スキマ時間」、公共機関での「移動時間」等を上手に使って本を読んだり学習すると効果的だと思います。
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