●『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』(マシュー・サイド 著)より
不都合な事実を無視する傾向が最も顕著に見られる例は、おそらくユダヤ・キリスト教思想の「イヴ」像に関するものだろう。
旧約聖書の創世記では、イヴはアダムの肋骨から創造されたことになっている。
そのため、かつては男性の肋骨は女性より1本少ないと信じられていたのである。
本当に少ないかどうかは、調べようと思えば簡単に調べられたはずだ。
数えればいい。
男女ともに肋骨の数が同じであることは、すぐに明らかになる。
しかし1本少ないという「事実」は、1543年にベルギー人の解剖学者アンドレアス・ヴェサリウスが否定するまで、一般的に受け入れられていた。
間違いを恐れ、現状を維持しようとする思いがあまりに強いと、その間違いは消えることなく、ほぼ永遠に存在し続ける。
しかしフランシス・ベーコンは、何世紀もの間人類を縛り付けてきた「知識は神の啓示によるもの」という独断的な思想に異議を唱えた。
古代ギリシア人同様、彼も「科学とは真実を擁護することではなく、真実に挑むことだ」と主張した。
勇気を持って検証し学ぶことが肝心だと訴えた。
ベーコンは言う。
「科学のしかるべき真の目標は、人類の生活が新たな発見や知識に満たされることである」
※※※
【コメント】
「男性の肋骨は女性より1本少ない」・・・この考えがずっと信じられてきて、調べようともしなかったことに驚きです。
医療に携わる人、本当は事実を知っていたけれど、云わなかったのかもしれませんね(批判や混乱を恐れて)。
「間違いを恐れ、現状を維持しようとする強い思い」・・・私にもそういう面があると思います。
受け入れることは、自分を全否定されたかのようにショックを受けてしまうからです。
すんなり、「はい、そうです」とはなかなか認められないですよね。
しかし、認めないといけない時はあるもの。
大きく一呼吸し、冷静に、冷静に。
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