●『バカの壁(新潮新書)』(養老孟司 著)より
反面教師になってもいい、嫌われてもいい、という信念が先生にない。
なぜそうなったか。
今の教育というのは、子供そのものを考えているのではなくて、先生方は教頭の顔を見たり、校長の顔を見たり、PTAの顔を見たり、教育委員会の顔を見たり、果ては文部科学省の顔を見ている。
子供に顔が向いていないということでしょう。
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サラリーマンになってしまっているわけです。
サラリーマンというのは、給料の出所に忠実な人であって、仕事に忠実なのではない。
職人というのは、仕事に忠実じゃないと食えない。
自分の作る作品に対して責任を持たなくてはいけない。
ところが、教育の結果の生徒は作品であるという意識が無くなった。
教師は、サラリーマンの仕事になっちゃった。
「でもしか先生」というのは、子供に顔が向いていなくて、給料の出所に対して顔が向いているということを皮肉に言った言葉です。
職があればいい、給料さえもらえればいいんだと、そういうことで先生に「でも」なったか、先生に「しか」なれなかった。
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【コメント】
現在の先生の全員がダメだとは思いません。
今の若い人は、私の頃より品格も知識も兼ね備えている。
昔の先生が良かったかと言えば、無茶苦茶で暴力(言葉・体罰)で生徒をねじ伏せていた人が多かったです。
大体、今の環境を作ったのは、今の年配者たちですよ。
職人をかなり持ち上げていますが、それはちょっと違うような。
職人は「お金を稼ぐ手段」として、自分のスキルを提供しているのです。
お金、銭、ゼニです。
芸術家じゃないのですよ。
いろんな縛りのある世の中で、どれかに秀でているよりも、バランス感覚が大切だと思います。
現代の先生たちは、そういう面で素晴らしいと思いますよ。
学校の先生は学者じゃないのですよ。
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