●『「自分」の壁(新潮新書) 「壁」シリーズ』(養老孟司 著)より
本当に社会を変えたいと考えた場合、それを政治運動と直結して考える必要はない。
私はそう思います。
「国があなたに何をしてくれるかではなく、あなたが国に何ができるかだ」
これはケネディ大統領の有名な言葉です。
私が若い頃、学生運動をしていた人たちも、自分たちの運動で政治を変え、国を変え、良くするのだと考えていたのでしょう。
しかし、自分で稼ぎもしていないうちから何を言うのか、という気もするのです。
「なにかを良くしたい」という気持ち、そのものを否定するつもりはありませんし、からかうつもりもありません。
しかし、そういう気持ちが実現できるのは、小さい集団において、ではないでしょうか。
少なくとも国家のような大きなものが、簡単に動くとは思わないほうがいい。
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本当はたいていの人はフラフラ生きているものです。
目の前のことをやるので精一杯。
ただし、その精一杯をやっていくうちに、ときおり世の中に役立つ、世の中を変えることにつながることも出てくる。
それくらいでいいのではないでしょうか。
そして、そういうことに出会う時期も若いうちである必要もない。
ある程度年を取ってからでいい。
大器晩成でいいのです。
一生役に立たないこともあるかもしれません。
それを中国では「英雄時を得ず」と言ったのです。
どんなに立派で才能のある人でも、時代によっては十分に活躍できないことはある。
それでもいいのではないでしょうか。
※※※
【コメント】
英雄時を得ず。
SF小説『銀河英雄伝説』の主人公の一人、ヤンウェンリーを思い出します。
天才戦略家である彼は、「魔術師ヤン(ミラクル・ヤン)」と言われていました。
しかし劇中、戦争の中でこそその才能は活かされるが、もし平穏時ならば全く役に立たない人物だと揶揄される場面がありました。
生まれた時代でこうも人生が冷遇されるのかと思う場面はたくさんあります。
氷河期世代はまさにそれです。
恨んでも仕方がないし、現実は「異世界転生モノ」みたいな一発逆転人生なんてものはありません。
流れと縁と運に身を任せ、その中で可能な行動をしていくしかないのかなと。
メディアにもてはやされている人のような人生をトレースする必要はないし、心を不安にさせる必要もないと思います。
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