●『河合隼雄の「幸福論」』(河合 隼雄 著)より)
昭和三十四年(一九五九年)から三十七年まで児童詩誌「きりん」に掲載された作品から「おかあさん」にまつわるものをまとめて出版されたものである。
子どもたちの目は温かく鋭く、今読んでも実に素晴らしい。
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おしろい 内田ひろ子(五年)
お母さんの顔にあざがある。
やけどだ。
でも、おしろいを
つけると
すこしはきえる。
私は、やっぱり
おしろいをつけない
お母さんの方がいい。
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「おしろいをつけない お母さんの方がいい」というところに、内田さんのお母さんに対するおもいがよく出ている。
「やけど」のところを、親の欠点として読みかえてもいいのではないか、と思う。
欠点がどれほどあっても、「そのまま」のお母さんが好きなのである。
子どもに会うのに厚化粧をすることはない。
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【コメント】
「アナと雪の女王」以来、「ありのまま」という言葉をよく聞くようになりました。
「ありのまま(ここでいう"そのまま")」の反対語は、「厚化粧」なんでしょうね。
若い時は、いろんなことをやりながらも「厚化粧」をやる余力があります。
エネルギーがありますから。
ある意味、そのエネルギーは反骨精神。
だんだん老いてくると、「厚化粧」をすることが面倒くさくなります。
ある意味、「ありのまま(そのまま)」が普通になります。
「ありのまま(そのまま)」の究極が、認知症ともいえます。
その方たちは、私たちと同じ場所にいても、別の時間軸で生きています。
その際、表面に出てくる行動や感情は、本能に直結した「ありのまま(そのまま)」になります。
精神が豊かでおだやかな人は、そういう表情・行動が表に出ます。
すさんだ感情で暮らしてきた人は、残念ながら他者が距離を置きたくなる表情・行動が表に出ます。
どちらが、幸せな人生だったと言えるでしょうか。
「厚化粧」に力を入れるより、「ありのまま(そのまま)」でも他者から好かれるような人生を歩んだほうが良いのは当然でしょうね。
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