2004年11月30日

埼玉県内で男性パートタイマーが急増、10年で5倍に

埼玉県内で男性パートタイマーが急増―りそな財団調査。
埼玉りそな産業協力財団によると、県内の男性パートタイマーの新規求職者数は一九九三年度に三千二百六十五人だったが、二○○三年度には一万六千百二十三人となり、十年間で約五倍に増加した。
同財団は「今後五―十年程度の間、男性パートタイマーは早いペースで増加していく」とみている。

一九九三年度から二○○三年度までの十年間の女性パートタイマーの新規求職者数をみると、増加率は一・七倍にとどまっていた。
九八年度から二○○三年度までの五年間をみても、男性パートタイマーの新規求職者数は増加数、増加率ともに女性を上回っている。

同財団はパート形態の就業比率は五十代後半から高まり、六十歳代から大幅に上昇するとし、この年代層が県内で急増しつつあることが、男性パートタイマーが増えていることの大きな要因と指摘している。
五十代後半、六十歳代の男性が定年や早期退職後、職場を自宅近くに求めることも背景にあるとしている。

多様な働き方を望む人が増えていること、一方で企業がパートタイマーに責任のある仕事をまかせたり、正社員への転換制度を設けるなど、企業側がパート雇用を前向きにとらえていることも背景にある。

埼玉県は女性パートタイマーの比率が全国一となっているが、同財団は女性パートタイマーの増加に頭打ち傾向がみられると指摘。
女性がパートタイマーとして働く比率が大幅に高まるのは三十代後半とし、この世代の人数が大幅に減ってきていることが背景にあるとみている。

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そういえば、スーパー・デパート・ホームセンターみたいな所って、正社員はほんの数人で、残りはみんなパートという状態が多いですよね。
正社員を減らしてパートを増やす。
理由は何か?
何のことは無い、企業側の人件費削減の現れです。
パートに対する保障(年金・保険など)みたいなものは、以前よりは改善されているものの、まだまだ十分とは云えません。
そういう保障を厚くすると、企業側の負担が増大しますからね。
それにパートだと、賞与とかもあまり支払わなくていい。
せいぜい寸志ぐらい。
ついでに退職金も考えなくていい。
そんな感じで、企業は収入が上がらないのを理由に、正社員の雇用を減らし、パート採用に重点を置きます。
うちの会社も、そういう傾向が見えてきました。
当社の場合、パートは事務関係に多いですね。
さすがに男性のパートさんはいませんが、いずれそういう時代が当社にも訪れるでしょう。

不況のせいで、仕事に就くのはなかなか難しいです。
会社を辞めたら、次を見つけられる保障はありません。
企業側も雇用に関しては強気になっている所があると思います。
だから、冒頭の記事にあるような『企業がパートタイマーに責任のある仕事をまかせたり』という事が起きているような気がします。
パートの範疇を超えた仕事と責任を押し付けているんですよね。
その内容が、どう考えてもパートとは思えないものがあります。
けれど、辞めて路頭に迷うぐらいならば、今の所で必死に働こうと真面目に考えている人達は、それに耐えます。
そうすればスキルもアップし、責任も増えてくる。
けれど立場は、あくまでもパート。
企業は、パートとしての賃金しか払わないのです。

『多様な働き方を望む人が増えていること、一方で企業がパートタイマーに責任のある仕事をまかせたり、正社員への転換制度を設けるなど、企業側がパート雇用を前向きにとらえていることも背景にある。 』
こんな言葉は、企業側の方便だと思う。
「多用な働き方」と云うけれど、雇われる方ではなく、企業側が様々な形態を作り出しているのが実状だと思う。
雇われる方は、安定・安心が出来る・・・そんな誰もが望むシンプルな雇用を求めているのです。
しかし企業側は経費削減の為に、パートなどの複数の形態を生み出した。
前向きでは無く、明らかに後ろ向きですよ。
美化しすぎです。

企業にとっては、パートって「使い捨て」なんだろうなあ。正直な話し。
低賃金で雇い、過酷な仕事をさせて、使い物にならなくなったら即解雇。そして次を雇うの繰り返し。
「使い捨て社会」が出来つつあって、それが男性にも波及している事が、男性パートの上昇に繋がっているように思います。
モノに対して使い捨て志向な日本ですが、まさか人までも使い捨てになるとは・・・。
そのうち、道徳とか倫理とか、そういう日本人の美徳とされてきた綺麗な精神も崩壊しそうです。
だって人は、「他人に認められる。社会に貢献している事を実感できる」からこそ、生きがいを持って仕事が出来るのです。
ただ単にお金だけが目的じゃない(お金は、その後に続いてくる)。
なのに企業は「使い捨て」としてパートを見ている。
責任を与えていると云うよりも「押し付けている」だけなので、当の本人は重圧感ばかりで充足感が全く無い。
それでは、あんまりです。

パートの率が増えれば目の前の経費削減にはなります。
けれど、次世代を担う若き後継者育成を無視して正社員の採用を減らすと、企業は保守的な縮小経営になっていき、ひいては日本全体が近い将来、衰退することでしょう。

嫌な言葉ですが、日本は一握りの「勝ち組」と大多数の「負け組み」に両極化に進んでいます。
昨年、「年収300万円時代を生き抜く経済学」と云う書籍が大きく取り上げられました。

参考記事:年収300万円時代を生き抜く経済学
http://kanzaki.sub.jp/archives/000099.html

昔は日本人全員が中流意識を持っていましたが、最近の調査によると、自分を「中の下」又は「下」と思う人が増えているそうです。
これもまた不況により、パートやアルバイト、派遣社員の増加が一つの要因だと思います。

定年退職しても、すぐに年金は貰えません。
私が定年の時には、定年後10年経過しないと貰えないかも。
下手したら、年金制度そのものが無いかもしれません。
そうすると、働かなければご飯を食べていけません。
パートとして、どこかに改めて雇ってもらわないと駄目でしょうね。
しかし、体力と頭脳が衰えているでしょうから、そうそう高レベルな仕事は出来ないし、任せてもらえないでしょう。
自分自身がその衰えを感じているから気持ちも萎縮してしまい、パート先でも低姿勢で命令に甘んじる。
自分の息子よりも若い人に頭を下げるのも、最初はなかなか勇気がいるでしょうね。
しかし辛くても辞める訳にはいかない。
だんだん、心が沈みがちになっていき、幸せとは逆の方向へ進む。

・・・なんだか自分の将来に対し、明るい考えが浮かびません。
やっぱり、蓄えた知識と人脈を使い、雇われる側ではなく、どんな事でもいいから、自分が経営者・中心人物となるのが良いのでしょうね。
そのためにも今から、お金だけでなく、スキルアップをしないといけませんね。

まあ、もしも経営者・中心人物にはなれないとしても、少なくともこの「神ナナ」と云う、自分が中心になって自己表現を出来る場所があるのは、多分、幸せな事だと思います。
歳を重ねても、この空間は大事にしたいと思います。

Posted by kanzaki at 2004年11月30日 23:23 | トラックバック (0)