2007年11月20日

エセ関西弁

弟の家に、みかんを箱単位で贈りました。
到着した当日の夜、弟から私宛に、お礼の電話がありました。

最近、弟と会っていないので、久し振りの会話でした。
基本的に私と弟は、関西弁か敬語で話します。

父親が長崎生まれ、母が新潟生まれなので、その中間である関西の言葉になった訳ではありませんよ。
私は小さい時から吉本新喜劇が好きで、よくテレビ中継を見ていたし、弟はダウンタウンが好きなので、出演しているテレビをよく見ていました。
テレビで身につけたものであり、生活に根付いたものではないので、当然「エセ関西弁」です。

他の人と話す時、絶対にエセ関西弁を使いません。
弟との間だけです。
なんで二人の間で、そうなったのでしょうか?

きっと、このエセ関西弁が「クッションワード」になっているのだと思います。
「クッションワード」とは、感情的に自分の考えを相手に伝えるのではなく、やんわりとした印象にする言葉・単語のこと。
具体的なことは以前、神ナナで書いたのでご参照ください。


●神崎のナナメ読み: 断り上手の決めゼリフ〜クッションワード
http://kanzaki.sub.jp/archives/001345.html


小さい頃はズケズケとお互い言い合ったものですが、さすがにこの年齢になると、相手の感情を無視した発言はできません。
クッションワードの根底は、相手への思いやりや敬意。
決して、距離をとってけん制しているわけじゃなく、エセ関西弁を使うことで、かえって素直に相手に物事を伝えられるのです。

たとえば、兄弟同士で「ありがとう」とか感謝の言葉って、言いにくいですよね。
本心ではそう思っても、なかなか口に出てこない。
エセ関西弁を使うことにより、感謝の言葉を素直に口から出せるのです。

だから今回の電話での会話も、弟から感謝の言葉を聞けたし、私は私で、風邪に気をつけてねと言えました。
関西弁って、キツイ言葉のように感じる人もいるけれど、感謝の言葉やねぎらいの言葉をとても言いやすくて好きです。
「ありがとさん」「きいつけてな」とかね。

新潟弁は基本的に汚い印象がありまして、なかなか使いにくいです。
それに私たち兄弟の父親が長崎の人間だったためか、小さい頃からあまり新潟弁を使った記憶がなく、単語そのものを知らないのです。
きっと、イントネーションは新潟弁なのでしょうけれどね。
仕事をするようになってから、新潟市以外の人と話す機会が多くなりました。
市外の人は、私の知らない新潟弁を多用し、最初は本当に意味がわかりませんでした。
私の場合、新潟弁より関西弁の方が耳に馴染んでいるので、今でも新潟弁にちょっと抵抗があります。

仕事をしていると敬語を使うことが多いですよね。
私は普段の生活のほとんどが、敬語になっているような気がします。
目上の人に対してだけではなく、年下の人に対してもそうです。
敬語はある意味、相手との距離を感じさせるかもしれませんが、私はそういう意味で使っているのではなく、本当に相手を敬っているからこそ使っているのです。
年下だからとか関係ありません。
むしろ若い人達のパイタリティや環境適応能力には感心するものがありますから。
自分より劣っている人なんているとは考えていないので、必然的に相手に対して敬語を使います。
敬語は、少なくとも相手に敵意を感じさせることはないと思いますし、自分自身がどんな立場になろうとも、敬語を使わなくなることはないでしょう。

毎年、大晦日の夜には、弟夫妻が実家に顔を出します。
その時もまた多分、紅白歌合戦を見ながら、エセ関西弁で他愛もない会話をしていることでしょう。

Posted by kanzaki at 2007年11月20日 19:48