2008年03月28日

「競争」より「平等」を望む社会

ようこそのお運びで。厚く御礼申し上げます。

NHK連続テレビ小説「ちりとてちん」も、いよいよ明日で最終回ですね。
最終回一つ前のお話で、既に号泣しましたよ。

若い頃は、母親の生き方を否定していた娘が、お腹に赤ちゃんを授かった今、「あの時はごめんなさい」「お母ちゃんみたいになりたい」と言えるようになりました。
朝ドラ初のネガティブ主人公が、落語の世界に身を投じて十数年。
昔ならば嫌がっていたことを肯定できるようになりました。

生き方を変えるというのは、自分の生活する場所を変えていくことじゃなく、今まで支えてきてくれた人や環境に対して感謝し、今までの歩みを肯定することなんじゃないかなあって思えました。

ちょっと最近、生き方に迷いが生じていたのですが、4月を目前に控え、ようやくこの先の自分の進むべき道が見え始めたように思えます。


さて本日のお題。


●「競争」より「平等」を支持 景気低迷で進む安定志向
http://www.j-cast.com/2008/03/25018223.html

調査によると、「意欲や能力に応じ自由に競争できる社会」よりも「貧富の差が少ない平等社会」を望む人が多いそうです。
そして、「終身雇用」という雇用の安定を望む声も多い。
そんな結果を見ると、「会社=家族」のような昔の組織形態を望んでいるかと思えば、今時らしいドライな考えとして、「仕事以外では会社に構って欲しくない」そうです。

私はこの結果を見て、自分で努力とか面倒なことはせず、チヤホヤされて楽にお金を貰いたいという事なんだろうと思いました。
でもまあ、そういう考えは誰にでもあるし、そういうポジションに就くには実は、それ相応の努力と才能が必要だからこそ、「願望」として思うのでしょう。

また、世の中の仕組みが以前と違ってオブラートに包まれておらず、悪い所や汚いところを知ってしまったが故に、安定を望むのだと思います。
「競争社会」と煽っておきながら、実は「搾取社会」なんだと気づいたのでしょう。

日本の実力主義、成果主義は正直、インチキですからね。
売り上げが落ち込んでいるから、賃金の総支給額を低くするための手段です。
全員を等しく下げたとしたら、従業員から反感を買います。
だから成績の良い人は、それなりに評価し、他の人より少しだけ賃金を上乗せするルールを作るのです。
それによって経営者は、従業員の意欲を上げようとします。
しかし、その導入によって問題が発生しました。
先輩社員が後輩を育てなくなったのです。
そして、技術の伝承がされなくなり、会社全体のスキルが下がったのです。
そりゃそうでしょう。
会社は勤続年数に関係なく、能力・成果で評価し、賃金に反映させるのですから。
全員が同じ土台に立たされた場合、後輩に技術を教えて、その後輩の業績が伸びてしまえば、自分より評価が高くなった結果、自分の賃金が減ってしまうのです。
自分の賃金が低くなるぐらいならば、教えることを止めてしまうのは当たり前です。
なにせ、競争なのですから。

●参照記事:神崎のナナメ読み: 出でよ! 骨太社員〜強い会社とは
http://kanzaki.sub.jp/archives/001540.html

賃下げの理由として「実力主義、成果主義」という言葉を経営者の都合のいい様に解釈されているのが現状です。
そのせいで、一般従業員の賃金は下がり、人が辞めていく。
辞めても従業員の補充はない。
あっても、パートや派遣などの補充ばかり。
そうすると、残った従業員達で仕事をカバーする。
労働環境は悪化するばかり。
競争に勝っても大して得をしない。
従業員が頑張っても利益は、会社や経営者に回るだけで、従業員には関係ないから。

成果が報酬に繋がるということを与えることで、やる気を出させる・・・インセンティブ(外部からの刺激)というのは、自分のスキルアップとして、どんどん会社を変えていくアメリカ社会のような環境ならば良いのでしょう。
しかし日本の場合、転職が非常に難しいです。
一度辞めると、今までと同じ給与をもらえる場所は、なかなか見つかりません。
スキルアップをして、それを賃金に反映させるならば、別の会社へ行くよりも、社内での自分の地位をあげた方が無難です。
もし、そんな構図が嫌で、尚且つ実力のある人は、外資へ目を向けるでしょう。

先日、別のニュースで、40代、50代になっても親から資金援助をしてもらっている人が大半だというアンケート結果がありました。
賃金が低く、自分達だけの収入では生活が維持できないので親に頼るのです。
親は親で、子供に頼られるのは嬉しい事ですから、二つ返事で援助します。
もう今の社会、「普通の生活」をするには、競争で1位とか2位をとらない限り成立しないのでしょうね。

会社が日本一・世界一になろうが、不幸な人間(従業員)を量産している会社は今後、内外から反感を買い、いずれ悪い結果が訪れるように思います。

そんな事を思っていた矢先、ちょっと良いニュースがありました。

●ヤマダ電機、元日営業廃止・全店実施、減収最大100億円も
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080326AT1D2505725032008.html

来年から全店で元日営業をやめることを決めたのだそうです。
人材確保に向け、労働環境改善が目的。
他社同様、契約社員の正社員登用も検討しているそうです。

元旦ぐらい、コタツに入ってお節や雑煮、ミカンなどを食べ、「あ〜腹いっぱいで死にそう。テレビはつまらないし、何もする事がね〜」とのんびりしたっていいじゃないですか。

最近、正月と言ったって、ただの連休ぐらいの扱いですよね。
全く風情がありません。
昔は、三が日にお店がやっていないから、年内中に沢山買い込んだりして、かえって商店街には活気がありました。

元旦から仕事をやるのって、やっている従業員にとってみれば、面白いものじゃありません。
会社の利益の為に、家族の笑顔が消えるのは、やはり変です。

従業員の家庭から愚痴が減り、笑顔が増える為の会社・社会を望みます。

Posted by kanzaki at 2008年03月28日 23:23