2008年10月28日

マイカーを減らそうという提言(勝間和代(経済評論家・公認会計士))

●マイカー 減らそう:勝間和代のクロストーク - 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/biz/katsuma/crosstalk/2008/10/post.html

私は、公共交通のあまりない地方や、高齢者・子どもなどの社会的弱者がいる家庭を除き、保有について慎重に考えるべきだと思います。レンタカーや自転車などの併用で、車にかかるコストを減らし、家計の圧迫を防ぎます。一方、車が必要な家庭への、重い税負担は緩和すべきでしょう。


少し前に神ナナにて、経済評論家・勝間和代さんを取り上げてみました。

●神崎のナナメ読み: 勝間和代(経済評論家・公認会計士)さんが注目される理由 in 情熱大陸【1】
http://kanzaki.sub.jp/archives/001656.html

勝間さんは「毎日jp」にコラムを連載しています。
一方通行的な書き方ではなく、その内容について読者から意見を求めて後日、総括しています。

最近の記事の中で興味深いのは、2008年10月05日掲載の「マイカー 減らそう」というもの。
勝間さんの著書を読みますと、モノを所有するぐらいならば、そのお金を投資(主に投資信託)へ回すべきだと書いてあります。

現在、長時間労働などの過酷な環境の中で働いている人が多くいます。
そんな環境でも頑張り続けているのは、その職場からしか収入がないからです。
投資をすることによって、もう一つの収入源を確保し、ゆとりのある生活をしましょうと言っています。

考え方の方向性には賛同できるのですが、投資に関しては、ここ数週間の激動を見ている限り、とても素人が手を出せる状況じゃないですよね。
こんな中でも、素人に投資を勧めるのでしょうか?

勝間さんは著書の中で、マイホームをローンで購入する事を否定しています。
やはりこれも、頭金があるならば、投資へ向けるべきだとあります。

私は経済評論家ではないので、理論的・金銭的な面からは説明できませんが、「モノを所有する時代ではなくなった」と言う世間の空気は感じています。

一般に自己所有の象徴としてあげられるのが、「マイホーム」「マイカー」です。
どちらも買わずに借りたりする事で、家計の圧迫から開放されます。

マイホームは特に金食い虫であります。
一時的な出費ならばともかく、35年なんて長期ローンを組むと、ローンの為に生活している感じになります。
生きがいになるならば、それは良し。
しかし、こうも世の中が不安定になり、5年後ですら自分の将来が見えないというのに、35年も先の事なんて全く分かりませんよ。

マイホームを所有している人は、そのマイホームに見合った家具等もそろえます。
それに見合ったクルマや、自分達の服なんかも新調したりします。
これもまた大きな出費。

また、子供の養育費も馬鹿になりません。
不景気になって多くの部分で出費を抑えても、子供の養育費は減ることがありません。
それが親ってものですからね。

マイホームには「平成20年問題(2008年問題)」というものがあります。
ご存知でしょうか?
私は先日、テレビで紹介していたのを見て、はじめて知りました。

その問題の根源は、平成4年から開始された「ゆとりローン」という名の住宅ローンです。
最初の5年間は超低金利(当時2%程度)なのですが、その後は段々と高くなります。
そして、ステップアップ金利(4%程度)の為、11年後には超低金利の時の2倍近くの返済金額になるそうです。
平成10年の利用者数が多いことから、ちょうど10年目が平成20年なので、「平成20年問題」と呼ばれています。

テレビのインタビューに答えていた人は、今年から毎月の返済が3万円近く増え、ボーナス時には6万円ぐらい支払額が増えると嘆いていました。
これは国ぐるみの詐欺的行為と言っても過言ではありませんね。

私はスナフキンみたいな生活に憧れる人間なので、自分が所有しているモノは、意外と多くありません。
目立つのは、ロードバイク、デジタル一眼レフカメラ、ノートパソコンぐらいでしょうか。
それらはある意味、趣味的なモノで、生活必需品ではありません。
しかし、私は他にお金を費やす方ではありませんので、この程度の出費で家計を圧迫するような事はありません。
ゆとりがあるから、そういうモノを買えるとも言えます。
もし、家や車のローンを支払っていたら、まず買っていなかったでしょう。

勝間さんの提案は、マイカーを減らそうという内容でしたね。
確かにマイカーを手放せば、自動的に日々の維持費が0円になります。
その浮いたお金を投資に回せば、複利の力で資産を増やせます。

しかし東京等の都会ならばともかく、新潟のような地方都市は難しいでしょうね。
なにせ、公共機関が壊滅的な状況ですから。
私も一応、マイカーを持っていますが、殆ど使わなくて済むのは、駅も会社も自宅から近くで、徒歩や自転車で移動できる立地条件だからです。
新潟でそういう場所に住んでいる人は限られています。
多くは毎朝、渋滞したバイパスをマイカーで通勤しています。

以前は、会社へマイカーで通勤していました。
あまりに近すぎて通勤費が出ませんでした。
それなのに、会社の駐車料金はしっかりとられていました。
それでも、雨風の強い日なんかはマイカーの方が便利だよなあと考えて使っていました。

ある時から、自転車や徒歩での通勤に切り替えました。
最初は、天候が悪い日は嫌だなあと思っていましたが、距離が近いのも幸いして、さして不便でもありませんでした。
まあ、なんとかなります。
通勤にマイカーを使わなくなると、日常でも使わなくなってしまいました。
計算しましたところ、年間10万円のガソリン代が浮くようになりました(ガソリン代の高騰分も含んでの話しですが・・・)。
そうしますと、自転車やカメラを買ったところで、金銭的には問題ないのです。

実は私にとって、金銭的なものは二の次です。
元々、それほどお金を使う方ではないですから。

マイカーを殆ど使わなくなって何が嬉しいって、「交通事故」から縁遠くなった事です。
勿論、徒歩や自転車でも事故はありえます。
しかし、加害者になる確率は極端に減ります。

実はマイカー通勤をやめたきっかけの一つが、交差点での貰い事故でした。
向こうの車が一方通行を無視して突進してきて、私の車にぶつかってきたのです。
この時、事故の修理代の負担額が、8対2でした。
当然、私の方が2割なのですが、それでも納得がいきません。
だって、交通ルールを守らなかったのは相手の方ですよ。
こちらは、標識に従って徐行していただけなのに。
保険屋からは、こちら側が完全に停止した状態でも無い限り、10対0にはならないと言ってきました。

あれからかもしれません。
自動車の運転に対して、リスクが高すぎて馬鹿らしいと感じたのは。

私はコスト意識とか、環境への配慮とか、健康の為という側面よりも、自動車事故に対する恐怖心が、徒歩・自転車で移動する生活へシフトさせたと思います。

加害者になって、相手の人生をめちゃくちゃにするのは嫌です。
また、自分自身が事故で死ぬのも嫌です。
病気とか身体的な理由ではなく、ある日突然、自分の人生が終わっちゃうなんて、本当に嫌ですよ。

徒歩・自転車通勤のおかげで、天候の悪い日は多少辛いかもしれませんが、それ以外はいたって普通。
もう何十年もこうやって生活してきたかのようにさえ感じます。

また、自動車事故に対するリスクが軽減されたので、日々の生活の中で、「ヒヤリ」、「ハッ!」なんていう恐怖心がありません。

世間が騒がしい昨今、穏やかに生きるのが本当に難しくなってきました。
けれど、ちょっとした日常の変化で、その穏やかさを手に入れることができるものです。
私の場合、徒歩、自転車通勤がそれです。

この季節、雨上がりの道を歩いていますと、近所の庭に生えている木々の果実に視線が行きます。
その果実が、雨のしずくで濡れている様を見ているだけでも、なんだかホッとするんですよね。

マイカーを手放すのは勇気が必要です。特に地方では。
だからたまにで良いので、もし可能な距離ならば、自転車・徒歩・公共機関等で通勤してみませんか?
ちょっとした発見があると思いますよ。

Posted by kanzaki at 2008年10月28日 21:39