2009年11月09日

豊臣秀吉が一夜城を築くことが出来た理由

木下藤吉郎(のちの豊臣秀吉)が墨俣城(すのまたじょう)を一夜で築いたという逸話があります。
織田信長の密命を受け、敵方最前線に短時日で城を築いたというあれです。

一夜城と言われていますが、実際には三昼夜半を費やしました。
この時、木下藤吉郎は30歳。
この功績により、頭角を現しました。

わずか数日間で作るために、配下の者達をどのように動機付けたかについて書かれていたコラムがあり、興味深く読みました(本田コンサルタント事務所代表 本田有明さんの執筆)。

彼はまず、「これから面白いものをつくるのだ」と部下や地元の衆に向かって熱く説きました。
信長と敵の斎藤道三を共にびっくりさせてやろうじゃないかと。
そして、夜を徹しての重労働になるから、そのぶん報酬もはずむと約束しました。
皆のヤル気をかきたて、自分も参加することで大いに雰囲気を盛り上げました。

この工事に関わった者は総勢2,000人。
これらの人達に無理強いをするのですから、下手をすれば離反の憂き目にあいます。
だから、「黙ってやれ」の命令だけでは共感は得られません。
それでは、どうすれば皆に気持ちよく働いてもらえるのでしょうか?
そういった場面で、秀吉は常に抜群の冴えを見せました。

この一夜城のエピソードから教訓を抽出しますと、次のようになります。

(1)なぜこの仕事をするのか、丁寧に説明をする。

(2)完成したらどうなるのか、夢の見取り図を描く。

(3)仕事に見合った報酬を約束する。

(4)率先垂範(そっせんすいはん・自分がすすんで手本を示す。模範を見せること。)することで協働意識を高める。


説明責任、動機付け、率先垂範など、リーダーシップの用件がここに揃っています。
経営学において「管理」とは、人、物、金、情報、技術などの経営資源を効率的に用いて、定められた目標を達成することを意味しますが、その際にとくに大切なのは、「人の自発的な協力を引き出す」という事です。
リーダーには様々なタイプがいますが、この点に関しては秀吉の方が信長を大きく上回っていました。


私も管理職の端くれですので、上下関係、本社と支店の関係などに苦慮しながら仕事をしています。
今、私が行っている計画のひとつは、全店規模で実施され、各店所の人達にも色々とやってもらわなければいけません。
自分一人、もしくは目の前にいる数人の人達と協力して話しを進めるだけならば問題ないのですが、全店所だけではなく、更に複数の業者も巻き込んでの全国的な話しになりますと、どうやって皆に理解をしてもらい、事を進めていけばいいのかで悩みます。

こういう場合、単純な話しを100名に説明したとしても、必ず何人かは勘違いするもの。
しかし、その勘違いが命取りになってしまうので、100名全員に理解してもらわなければいけない。
なるべく簡易な形で説明・指示をするのですが、簡易になったら簡易になったで、細かい指示ができなくなったりと、うまく両立させるのが難しいです。

冒頭の「(1)なぜこの仕事をするのか、丁寧に説明をする」をはじめとする四つの内容は非常にいいですね。
全く無駄が無く、相手に内容と誠意を伝えることが出来ます。
うーむ、この事を事前に知っていれば、今の計画ももっとすんなり進んでいたかもしれません。
でもまだ、計画は始まったばかり。
秀吉をお手本に、仕事を進めていきたいと思います。

※※※

●関連記事: 豊臣秀吉の性格の明るさは、セロトニン(幸せホルモン)にありました
http://kanzaki.sub.jp/archives/002485.html

Posted by kanzaki at 2009年11月09日 22:07